2023年05月08日

先週は4本、王道西部劇「シルバラード」、ガン殺陣「ジョン ウイック」シリーズ3本一気観

◆(自宅で鑑賞)「シルバラード」
(★★★★☆)(1985年米国)(原題:Silverado)
脛に傷を持つガンマン4人が家族と友と正義のために立ち上がる

05シルバラード

凄腕のガンマン エメット、仲間に裏切られた無法者のペイドン、差別を受ける黒人ガンマンのマル、そして絞首刑目前のエメットの弟ジェイク、偶然知り合った4人は力を合わせて窮地を脱出、それぞれの目的のために一旦離ればなれになるが、利権を独り占めする牧場主と悪徳保安官の悪行に耐えかね再び集結、正義のために闘うことになる、、、



王道の西部劇です、まだまだ法の支配が及ばない西部開拓時代、4人のガンマンも聖人君主では無い、それでも弟や姉、母親、友人のための正義の心を持っている、かたや、利権をむさぼる牧場主と暴力で町を支配しようとする悪徳保安官は悪行三昧、悪と正義という分りやすい構図は、今はもう観れなくなった王道の西部劇ならでは、

1985年制作、ガンマンのキャラクターと4人が出会っていく過程は「荒野の7人」か?、力を合わせて悪の支配者と対決する構図は「スターウォーズ」も連想させました、なんとなくですがそんな気がします、

若き弟役にケビン コスナー、4人をサポートする博打打ちにジェフ ゴールドブラムと、懐かしい顔を観る楽しみもあります、今も色褪せない西部劇、面白かったです、


◆(自宅で鑑賞)「ジョン ウィック」
(★★★★☆)(2014年米国)(原題:John Wick)
無敵度合いが半端ない伝説の殺し屋ジョン ウィック シリーズ1作目

05ジョンウイック01

どんな仕事も完璧に実行する殺し屋のジョン、妻にする女性と巡り会い今は暗殺者組織を引退、静かに暮らしていたのだが妻が病死、さらにロシアンマフィアの放蕩息子がジョンの愛車を強奪、愛犬を殺害する、復習に燃えるジョンは暗殺者組織のルールを破りロシアンマフィアに闘いを挑み、ボスと放蕩息子を追い詰めていく、、、



とにかく強すぎるジョン、劇中に何度もある大量の敵との戦闘ではガンと格闘術で次々と倒していきます、ある意味、日本の時代劇で一人の剣豪がバッタバッタと切りまくる殺陣と同じ感じ、これが結構新しくて楽しめます、

この殺陣、モノの解説によると“ガン”と“カンフー”を組み合わせた「ガンフー」なんていう呼び方もあるそうです、なるほどね、たしかにカンフーもあるけど、ワタシの観た印象は“時代劇の殺陣”と“マーシャルアーツ”の合体かな、とにかくワルモノは撃たるためにバンバン飛び込んで来ます^^)

人が死に過ぎますけど、ま、理屈抜きの大型連休鑑賞にはピッタリでした、


(★★★!☆)(2017年米国)(原題:John Wick: Chapter 2)
シリーズ2作目、暗殺者組織への復活を迫られたジョンの選択は?

05ジョンウイック02

引退していながら私事の復讐を行ったジョン、組織内の内輪もめから望まない理不尽な暗殺実行を迫られる、やむなく完璧に実行したが、依頼人は暗殺を実行したジョンをも抹殺しようとする、またもや怒りに燃え上がったジョンは徹底抗戦、次々と刺客を倒し、組織の中枢に迫っていく、



物語は続いています、厳しいルールで規律が保たれている暗殺者組織、誓約の重要性や暗殺オーダーのシステムが出てきます、そこには無数の登録者(暗殺者)が存在、ジョン ウィックは彼らの畏敬と尊敬の的、と同時に多額の賞金が掛ったターゲット、窮地に追い込まれたジョンに力を貸す組織内の協力者も現れ、闘いはさらにエスカレートします、

“ガンフー”アクションもさらにヒートアップしますが、さすがに2作目となっては、それだけでは盛り上がらないかも、後味の悪い暗殺もあり、1作目よりは少し低い評価になるかな、


(★★★★!)(2019年米国)(原題:John Wick: Chapter 3 - Parabellum)
組織のルールを破ったジョンは世界中の暗殺者から命を狙われることに

05ジョンウイック03

組織のタブー=唯一、誰も血を流していけない聖地で宿敵を倒してしまったジョンは追放処分に、ジョンの首には1400万ドルの賞金が掛り世界中の暗殺者がジョンを付け狙う事態に、ジョンは組織トップとの交渉を試みるも、提示された条件は組織内の協力者である友人を暗殺することだった、、、



シリーズ3作目、物語は2作目直後から一気に展開、組織を敵に回したジョンはあらゆるシーンで標的となってしまいます、戦闘シーンも3倍盛り、それでも死なないジョンって!?ナニモノ?笑) “ガンフー”も進化しています、“時代劇殺陣”+“マーシャルアーツ”+今回は“完全防弾兵士”や“日本風?忍者風”な強敵も出現、もうゲップが出るくらい戦闘シーンが続きます、

1作目から物語のエッセンスになっていた犬も活躍、パワーアップした見応えのある“ガンフー”と合わせて3作目が一番面白いかも!!と思わせる出来上がりになりました、



COVID-19他の影響で公開が遅れている4作目も完成しているようで、今秋に見ることができるかもしれません、それまでに予習しておきましょう、




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2023年05月01日

先週も5本、胸が痛む「トリとロキタ」「ザ ホエール」、新作公開前にインディジョーンズ シリーズ3作鑑賞

〇(スクリーンで鑑賞)「トリとロキタ」
(★★★★!)(2022年ベルギー・フランス合作)(原題:Tori et Lokita)
ベルギーで必死に生きていこうとするアフリカからの移民2人

04トリとロキタ

アフリカからベルギーに流れ着いた2人、年上のロキタは就労ビザがないため希望する家政婦の職に就けず、麻薬販売の手伝いをしながら年下のトリを護ろうと必死で生きている、しっかり者のトリもロキタを助けるために走り回る、しかし、渡航費を取り立てる移民仲介業者、麻薬ビジネスの片棒を担ぐ調理人など、2人が必死にもがいても抜け出ることが出来ない裏社会の泥沼、ビザの申請も上手く行かないロキタは仕送りのために過酷な麻薬ビジネスの下働きに出るが、、、



主役の2人は演技経験のない新人だそうです、このキャスティングが物語にリアリティとともに強い悲哀を与えています、普通に真面目に生きていきたいだけなのに、普通の生活が出来ない2人、容赦なく2人を追い詰める裏社会の大人たち、助けの手を差し伸べない行政、それでも健気に振る舞う2人に胸が締め付けられます、

ドキュメント風の“苦しむ移民”物語に終始するのかと思いきや、後半は静かでタイトロープなサスペンスがスクリーンに溢れ出します、2人の反撃、トリとロキタの奮戦が冷酷非情な大人たちを倒したかに見えますが、、、突然、思いがけない結末を迎えます、

圧倒的パワーのある作品、鑑賞推奨!



〇(スクリーンで鑑賞)「ザ ホエール」
(★★★★☆)(2022年米国)(原題:The Whale)
ほぼ1つのリビングルームだけで展開される壮絶な愛情物語、2023年アカデミー賞2冠

04ホエール

オンライン講師で生計を立てているチャーリー、実は体重272kg、パートナーを失ったショックから立ち直れずに過食症で体重が増え続け立つことさえままならない、心臓病の脅威から世話人のリズは入院を勧めるが頑として受け入れないチャーリー、8年前に分かれた妻との間に生まれた娘エリーは退学寸前の高校生、偶然訪問してきた新興宗教の伝道師、それぞれの悲しみを抱えながら“生きる”ためにもがき苦しんでいる、



チャーリーは心臓病の悪化で死期が近づいている、最期の1週間の物語、物語の95%はチャーリーのリビングルームで進行、チャーリー、世話人のリズ、娘のエリー、若き伝道師のトーマス、主要な登場人物はこの4人だけ、全員が心に深い傷を負っており、もがき苦しみ、お互いを傷つけ合ってしまう、その心情は難解、パートナーを失って生きる目的がなくなったチャーリーの心の奥底は計り知れませんが、それでも、誰もが心の奥深くに沈め込んでいる愛を浮び上がらせることが出来るのだと語っているような気がしました、、、

単調になりかねないシチュエーションドラマですが、ラストまで緊迫した画面に惹き付けられるのは監督の手腕か、

2023年アカデミー賞主演男優賞、メイク賞(272kgの巨漢特殊メイク)受賞作品、



(★★★★!)(1981年米国)(原題:Raiders of the Lost Ark)
「インディ ジョーンズ」シリーズ、記念すべき1作目

04レイダース

第2次世界大戦前夜の1936年、インディは世界各地の古代遺跡宝物の発掘実績で知られる考古学者、彼の元にアメリカ政府から、ナチが追い求めている「聖櫃」(アーク)の捜索依頼が舞い込む、モーゼの『十戒』の石版が収められており、神秘のパワーを持つと言われているアーク、インディはアークを求めてネパールへ飛ぶが、ナチの追っ手も迫っていた、、、



この夏、封切られるシリーズ最新作を前にシリーズを1作目から3作復習鑑賞、

この作品を劇場で初めて観たときは「スタウォーズ」以上にワクワクドキドキしました、古代遺跡宝物という今までにない世界観の物語、学者であり冒険家でもあるインディの魅力溢れるキャラクター、大仕掛けな古代遺跡アクション、コメディセンス溢れるサスペンス、今観ると少し色褪せているところもありますが、映画史に残る快作であることは間違いありません、

ハリソン フォードが若い!そりゃそうか、42年前の作品、観応えあります、ぜひ休日に鑑賞してみてください、



◆(自宅で鑑賞)「インディジョーンズ 魔宮の伝説」
(★★★★☆)(1984年米国)(原題:Indiana Jones and the Temple of Doom)
インドに不時着したインディは、子どもたちを救うため邪教が支配する魔宮へ乗り込む

04魔宮の伝説

1935年上海、秘宝取引がトラブルになり命からがら脱出したインディだが、飛行機がインドに不時着、近くの村にたどり着くと、村人が大切に護ってきた霊力がある石が奪われ、子どもたちも連れ去られていた、石の奪還と子どもたちの救出のためマハラジャの宮殿に乗り込むインディ達、しかし宮殿は邪教の復活を目指す悪の集団に支配されていた、、、



シリーズ2作目、1作目の1年前の1935年の設定、今回の宝物は不思議な力を持つ“石”、伝説の宝物探しというよりは邪教集団との闘いがメイン、1作目のヒットを受けて制作された感が強く、公開時に観たときはあまりピンと来なかった記憶があります、

が、今回観直すとかなり面白いです、ウジャウジャする昆虫集団はホントに気持ち悪い^^)コメディタッチがはっきり意識されるようになり、笑えるネタが満載、最後までハラハラドキドキの鑑賞、休日のお気楽鑑賞にピッタリ!


(★★★★☆)(1989年米国)(原題:Indiana Jones and the Last Crusade)
「インディ ジョーンズ」シリーズ3作目、父親役にショーン コネリーが登場

04最後の聖戦

大学で教鞭を執るインディ、そこへ父親ヘンリーが行方不明になったという報が入る、ヘンリーが追い求めていた“聖杯”の手掛り求めてベニスへ向かうインディ、そしてオーストリアでついにヘンリーを発見するが、そこではナチによる聖杯捜索が行われていた、永遠の命を得ることが出来るという聖杯を追うインディとナチはついに聖杯を発見するが、、、



父親役にショーン コネリーを迎えて完成度が高まったシリーズ3作目、父と息子というテーマはこのシリーズに限って云うと、コメディタッチを強調するためのエッセンス、面倒くさいお話はありません、いつも通り暴れまくるインディ、いやヘンリーとインディ、

冒頭では若き日のインディの冒険談も、3部作完結にふさわしい謎解きや楽屋落ちも満載、休日のお気楽鑑賞にぜひ!




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2023年04月24日

先週は5本、必見「パリタクシー」秀作「エアー」「聖地には蜘蛛が巣を張る」「マルモイ ことばあつめ」「インディジョーンズ クリスタルスカルの王国」

〇(スクリーンで鑑賞)「パリタクシー」
(★★★★★)(2022年フランス)(原題:Une belle course)
たまたま乗せた92歳女性とさえないタクシー運転手の一期一会のお話

04パリタクシー

激務だが儲けが上がらないパリのタクシー運転手シャルル、交通違反で免停まであと2点、兄とも反りが合わずストレスが溜まる毎日、この日乗せたのは92歳の女性マドレーヌ、彼女は目的地へ行く途中であれこれ我が儘な要求を突きつける、長距離客なので渋々付き合うシャルル、話好きのマドレーヌが自分の生涯を語り始めると、、、数奇で波瀾万丈の彼女の人生がシャルルの心を動かす、、、



久しぶりに劇場で観てヨカッタ!!と思える良心的な秀作です、

パリの反対側までタクシーで行く92歳のマドレーヌ、彼女自身の回想の形でファーストキスから始まり、出産、家庭内暴力、夫への反撃と、これまでの彼女の人生が語られます、渋々付き合っていたシャルルも徐々に彼女の話にのめり込んでいきます、お互いに敬意を払いながら楽しむタクシーでの小さな旅という感じ、悲惨な回想もありますが観ていて微笑ましい善人の2人、

ラストは想定内、それでも涙がこぼれてきます、あ~、2人の出会いがあってヨカッタ、原題は「素晴らしい旅」とか「素晴らしい軌跡」という感じでしょうか、

ぜひ劇場で鑑賞してください、



〇(スクリーンで鑑賞)「AIR エアー」
(★★★★☆)(2023年米国)(原題:Air)
伝説のシューズ“エア ジョーダン”を生んだナイキ社員の奮闘物語

04エアー

1984年、バスケットシューズのシェアでアディダスやコンバースの後塵を拝するナイキ、事業の建て直しを命じられたソニーはドラフトに上がった新人候補から、未だ無名に近いマイケル・ジョーダンを全予算をつぎ込んでも獲得すべきと主張、しかしマイケルはナイキ嫌い、上司も経営者もリスクが高いその計画に首を縦に振らない、ソニーは独断でルール破りのマイケルの母親との直談判に乗り込むが、、、



事件は何も起こりません、それでも映画的サスペンスが持続する会話劇、英語が理解できればもっと面白いんだろうな、と思わせる軽妙でユーモア溢れる、そして真摯で激しい会話の連続、周りの全員と反りが合わないように見えるソニー、それでも自らの眼力を信じて(ビジネスマンとして)暴れ回るのが痛快、

実話を基にしているので、アディダスもコンバースも実名で登場、後にナイキはコンバースを買収しているようなので良しとしても、アディダスのことをこっぴどくこき下ろしています、日本なら実現出来ない表現です、この交渉までスポーツ選手に商品化ロイヤルティが支払われていなかったことにもビックリ、40年前だもんね、そういう時代か、

マット デイモンが太っちょのソニーを好演、お腹に詰め物入れているかな^^)観て損は無し、


〇(スクリーンで鑑賞)「聖地に蜘蛛が巣を張る」
(★★★!☆)(2022年デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス合作)
(原題:Holy Spider)
聖地で起こる連続殺人事件の真相に迫るジャーナリストの闘い

04聖地には

2000年頃のイラン、聖地マシュハドで娼婦連続殺人事件が発生、10数人の被害者が出ても一向に犯人が捕まらない、“スパイダーキラー”と名乗る犯人は「聖地の浄化」を目的に犯行声明を重ねる、ジャーナリストのラヒミは長引く事件の真相に迫るが、警察は重い腰を上げようとしない、取材を続けるラヒミの周辺でも被害に遭う娼婦が出るに至り、ラヒミは自らが囮になって犯人をおびき寄せることにする、、、



犯人捜しがテーマではありません、劇中では早々に犯人の目星は付きます、だが、なぜか何度も同じパターンで犯行を繰り返す犯人は捕まらない、「聖地の浄化」という大義に犯人を支持する者さえ現れる、警察も本気で捜査していないのか?とも思える、正義感溢れる女性ジャーナリストの行動が事件解決の糸口になるが、、、犯人逮捕後にこの映画のテーマとサスペンスが溢れ出てきます、いったい結末はどうなるのか?不安定な終盤にハラハラ、

正義はどこにあるのか? 原題は『聖なる蜘蛛』、



(★★★★☆)(2019年韓国)(原題:Malmoe: The Secret Mission)
日本統治下の朝鮮半島、朝鮮語辞典を編纂しようと奮闘する人たち

04マルモイ

1940年代、日本の統治下にある朝鮮半島、日本国は朝鮮国民に日本語の使用、日本名への改名、そして皇軍の一員としての出兵を命じていた、母国語を残したいジョンファンは密かに朝鮮語辞典の編纂を企て朝鮮語を集めていた、そんなジョンファンの鞄を盗んだパンスは盗みの常習犯、パンスはひょんな縁から辞書編纂を手伝うことになるが、日本軍の取り締まりは辞書編纂チームにもジワジワと迫ってくる、



物語自体はフィクションです、しかし、日本国の統治下で行われた同化政策は朝鮮民族にとっては極めて屈辱的であったことは想像に難くありません、

物語は母国を愛する者たちの辞書編纂への熱意と、満足に読み書きできないパンスと学者肌のジョンファンの友情物語、この縦糸と横糸で上手に物語が織り上げられていきます、とくに無教養でがさつ、読み書きもできないパンスが徐々に向上心と愛国心に目覚め、身を以て辞書編纂資料を護る、という映画的レトリックがよく効いています、

秀作、Amazonプライムで配信中、


(★★★☆☆)(2008年米国)
(原題:Indiana Jones and the Kingdom of the Crystal Skull)
シリーズ4作目、南米の謎の王国に眠るクリスタルの頭蓋骨を巡る冒険

04クリスタルスカル

ソ連の諜報組織に拉致された考古学者インディはクリスタルの頭蓋骨(スカル)を見つける、命からがら追っ手から逃れたインディの元に若者マットが訪ねてくる、母親のマリーからの言付けをインディに伝えるためだ、その内容に好奇心をかきたてられたインディはマットと共に南米へ向かう、そこには想像を絶する古代文明国家が存在した、



大好きなシリーズ、毎度の危機一髪の連続のアクションは楽しめますが、シリーズのコアである古代文明の摩訶不思議なパワーといったエッセンスは正直ちょっと弱い、ラストの謎解きも、ま、なんでもありという感じ、

シリーズ1作目(1981年)は名作、スクリーンでワクワクドキドキしたものです、シリーズ3作目「最後の聖戦」(1989年)も父親役ショーン コネリーが嵌り役で上々の仕上がり、これでシリーズ完結かと思いきや19年振りに本作が作られました、出来映えは???

そして2023年今年には今度こそ最終作になりそうな5作目が公開(6月30日日米同時公開)されます、これは楽しみ!

5作目の前に1作目から復習しておきましょう^^)




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2023年04月17日

先週は5本、「わたしの幸せな結婚」「キル ボクスン」「パッチギ!」「GOLDFISH」「ジャスティスリーグ」

(スクリーンで鑑賞)「わたしの幸せな結婚」

(★★★★☆)(2023年日本)

文明開花時の日本、謎の悪霊から首都を護る超能力者たちの闘いと愛情物語

04わたしの幸せな結婚


帝を中心に首都の治安を護る超能力を持つ“異能”者たち、その家系に産まれながら異能を持たない美世は継母から強烈ないじめを受け、異能者の軍人清霞の元へ婚約者として家を出される、冷徹で知られる清霞は悪霊から首都を護る特殊部隊長、これまで何人もの婚約者が清霞から去っている、しかし、日々謎の災いに対応する清霞と、それを一途に支える美世の間に不思議な愛情が芽生え始める、そんな時、首都に謎の疫病が蔓延、美世は異能家系の謀略に巻込まれ誘拐される、清霞は美世を救い出すための闘いに挑む、、、

コミック原作、アイドルキャスト、柔なタイトルなのに和風超能力者モノ?結婚物語?う~~ん、どうかな、、、と、なんの事前情報も無く、まったく期待せずに鑑賞したのが効奏したか?最後まで集中して観られました、

 

「帝都物語」のような世界観、明治期の日本?“ゴッサムシティ”的な東京、悪霊との闘いは観慣れた感じ、それよりも異能家系の派閥争い、継母と異母妹の壮絶なイジメ、清霞の意外な性格、美世の一途さなどが印象に残りました、そして、終盤は“やはり美世は・・・”な展開、シリーズ2作目も作られるのでしょうね、

たまには
2時間ほど肩の凝らない異能な世界へ没入するのもヨカッタかな、

 


(自宅で鑑賞)「キル ボクスン」

(★★★★☆)(2023年韓国)(英題:Kill Boksoon)

シングルマザーで完璧な暗殺者ギル ボクスンを悩ませる正義感と娘の教育

04キルボクスン02


A
級の暗殺を仕事にしているギル ボクスン、彼女の仕事に失敗はなく組織内でも尊敬の的、しかし、家では思春期の娘ジョヨンの教育には頭を痛めている、ジョヨンのために引退を考え始めたギル ボクスン、最後の仕事を請負うが、その暗殺の裏にある陰謀に気付いたキル ボクスンは任務を放棄、組織や仲間、同業者からも狙われるハメになる、、、

 


完璧な暗殺者も思春期の娘の不安や不満を上手に受け止めることができない、娘の教育に悩む暗殺者というちょっとコミカルなシチュエーション、そして、韓国映画お得意の接近戦でのギル ボクスンの圧倒的な強さ、この落差がサスペンスの源泉、仲間や同業者を次々と倒していく辺りはちょっと日本的感覚でいうと素直に受け入れられないかも、、、とくに、協力者の後輩の顛末はちょっと可哀想かな、

 

タイトルは「キル ビル」をなぞっていて、『ボクスンを殺せ』ということかと思っていたのですが、映画.comではキル=金?名字の扱い、日本語字幕もそうだったかな?どうもしっくり来ないと思っていたら、なんと彼女の名字、正しくはギル=Gilのようです、韓国表記での映画タイトルは「Gilbogsun」、英題は「Kill Bok-soon」、ややこしいですが、英題の段階で「ボクスンを殺せ」になったようです、なんとなく納得、

 

そうそう、主演女優が撮影中の事故で負傷、完成が遅れたようです、格闘アクションの撮影も大変ですね、

 

新作、Netflixで配信中、

 



(自宅で鑑賞)「パッチギ!」

(★★★★!)(2004年日本)

1960年代の京都、日本人と在日朝鮮人高校生の青春群像劇、井筒監督の最高傑作

04パッチギ!


1960
年代の京都、高校生の康介と紀男、ひょんなことから朝鮮高校へサッカーの親善試合を申し込みに行く事になる、そこで康介は番長の妹キョンジャを見初める、「イムジン河」という曲を頼りに徐々に朝鮮人との交流を深める康介、しかし、日本の高校と朝鮮高校の抗争は激化、事故で友だちのチェドキが死んだことから最後の決戦が始まる!

 

井筒監督の最高傑作!数奇な運命で発売中止になった「イムジン河」、訳詞者の松山猛のエピソードを元に日朝の高校生の青春を見事に描ききっています、もう78回目の鑑賞、

 

60年代アルアルの小ネタを仕込んで、物語はスピーディに展開、グループサウンズ、朝鮮高校生徒の暴走、日教組の先生、フリーセックス、11PM、レオポン、3時間待ちのボーリング場、女体の神秘、フォークギター、ベトナム戦争、京大西部講堂、観慣れた風景のロケ、ほぼリアルタイムのわたしはとても楽しく鑑賞できます、

 

主役の2(塩谷瞬・沢尻エリカ)以外の若手俳優が今や大活躍、高岡蒼佑、波岡一喜、桐谷健太、小出恵介、尾上寛之、真木よう子、江口のり子と蒼々たる顔ぶれ、脇をベテランが固めています、キムラ緑子、前田吟、笹野高史、大友康平、光石研、余貴美子、徳井優、木下ほうか、そしてオダギリジョー、音楽はもちろん加藤和彦、「悲しくてやりきれない」は泣けます、

 

ラスト、それまでのエピソードが一点に収束していく辺りはお見事です、タイトルの「パッチギ」は頭突きのことかな、

 


(スクリーンで鑑賞)GOLDFISH

(★★★☆☆)(2023年日本)

1980年代に活躍した伝説のパンクバンド「ガンズ」の再結成とその結末

04ゴールドフィッシュ


メンバー“ハル”の不祥事で活動を休止していた「ガンズ」、30年振りに再結成の機運がたかまり、メンバー4人が終結、5人目のハルの説得に乗り出す、しかしハルは酒に溺れる日々、なんとかリハーサルにこぎ着けるがハルは満足に演奏も出来ない状態、それでもなんとかライブは決行されることになるが、、、

 

パンクバンド「アナーキー」のギタリスト藤沼伸一の初監督作品、「アナーキー」の自伝的物語のようです、スイマセン、パンクはまったく聴かないので知らないのです、でも藤沼さんはずっと泉谷しげるのステージで拝見しています、知り合いもエキストラ出演している、とか縁があったので鑑賞、

 

「アナーキー」やその背景を知らないのでどっぷり物語に浸かることは無し、バンド内のいざこざや表現者の悩みなんかはなんとなく分る^^)ので、それなりに最後まで鑑賞、

 

監督の手腕、上手だなと思ったのはまずはやはり音、ライブ演奏はもとより、台詞は聞きやすいし(録音が悪い映画はNG)、劇判も良い、映像的には心象シーンの風景カットやラストの壁画などにはセンスを感じました、

パンクファンはぜひ!

 


(自宅で鑑賞)「ジャスティスリーグ」

(★★★!☆)(2017年米国)(原題:Justice League)

最強の敵にスーパーヒーローも一致団結して闘います

04ジャスティスリーグ

人類を滅ぼす力のあるスッテペンウルフが再び姿を現す、バットマンとワンダーウーマンはスーパーマン亡き後、新たなジャスティスリーグを作るべく、アクアマン、サイボーグ、フラッシュを招集、なんとか5人が揃ったとき、ステッペンウルフの最終攻撃が始まる、圧倒的な力の前に5人も絶体絶命、、、、

 

DCコミックのスーパーヒーローもの、どうやら前作でスーパーマンが死んでしまったようだ、ワンダーウーマンはとっても強い、バットマンは基本人間で超人とは違うんだ、とかそんなレベルで鑑賞、

 

お金は掛っているので安心して観られます、休日のお気楽鑑賞にピッタリ、

 

 



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2023年04月10日

先週は4本、「RRR」「生きる」「生きる LIVING」「フラッシュ ゴードン」

〇(スクリーンで鑑賞)「RRR」
(★★★★!)(2022年インド)(原題:RRR)
植民地時代のインド、不思議な因縁で結ばれた英雄2人の壮大な物語

04RRR

1920年代、英国の植民地下のインド、横暴な英国総統に娘を略奪された部族は最強の戦士ビームに娘の救出を指示、ビームは首都デリーに潜入しチャンスを窺う、一方、別の部族出身のラーマは警察官として英国統治に協力、出世を目指している、街で偶然出逢った2人はお互いの正体を知らずに友情を育んでいくが、ビームが娘救出のため英国総統のパーティーの席に乱入、ついに警官ラーマと対決する事になる、



2時間59分という長さに怖じ気づいて公開時に観られなかったのですが、アカデミー賞受賞(インド初・歌曲賞受賞)で再び上映回数が増えたおかげで、時間が合ったので鑑賞、いや、3時間近くの大河ドラマでしたが、最後までスクリーンに釘付けになりました、

おそらく日本なら3部作くらいになる物語です、友情編・対決編・完結編みたいな?物語の発端で英国統治への民衆の不満が描かれます、そんな中、偶然に導かれた戦士2人は熱い友情で結ばれます、しかし、2人の立場はその友情さえも切り裂き非情な対決へ、事態は2転3転、ビームもラーマも一時は囚われの身になりますが、不屈の精神力が折れることはありません、

あるだろうなと思ったら、やはりいきなり踊りまくりインド映画、タイトルバックには植民地解放の英雄たち、そういう想いのアクション映画なんですね、尺は長いですが中身は濃いので最後まで楽しめます、

スクリーンでも、そのうち自宅ででも、絶対観ておきたい1本です、



◆(自宅で鑑賞)「生きる」
(★★★★★)(1952年日本)
淡々と勤め上げた役所の係長、ガン宣告を受けてもがき苦しんだ先にあるのは

04生きる

市役所の市民課長渡辺、30年間無遅刻無欠勤、淡々と日々の仕事をこなしている、役所には“仕事は適当にやって忙しいふりをする”空気がまん延、市民からの水溜まりの改善と公園設置の陳情も各課でたらい回しが当たり前、そんなある日、渡辺は胃に不調を感じ検査を受ける、医者は胃潰瘍だと言うがガンである事を直感した渡辺、これまでの人生を振り返り、なにも為し遂げてこなかった自分を恥じ自暴自棄になる、そして行き着いた先は、、、



2023年に英国でリメイク(映画評はこの下にあります)されたのをきっかけに鑑賞、「羅生門」(1950年)と「七人の侍」(1954年)の間に作られた黒澤ヒューマンドラマの傑作、これ以降しばらく時代劇が続くので、とても貴重な1作となっています、

物語はとてもシンプルなんですが143分とやや長い、渡辺が自暴自棄になって夜を徹して盛り場を彷徨うシークエンスや、部下の女性とのエピソードはやはりちょっと長い、普通なら無駄に長いと評されそうなところですが、これが黒澤の粘着度合い、お付き合いください、死期迫る渡辺の表情もなんともいえない迫力を生み出しています、

この時代、ガンは不治の病、医者は患者本人や家族にガン告知をしないのが当たり前だったようです、後半では渡辺がガンである事を知っていたのか?が関係者の興味の焦点になりますが、、、このシークエンスの主眼は役所の非生産的な組織的問題への皮肉のように見えます、渡辺が死の直前に闘ったのは自分の人生を形作った役所という組織、その反逆に個人の尊厳が垣間見えます、

この映画も必見です、



〇(スクリーンで鑑賞)「生きる LIVING」
(★★★!☆)(2022年英国)(原題:Living)
黒澤作品「生きる」を1950年代のロンドンを舞台にしたリメイク

04Living

1953年ロンドン、仕事一筋のウィリアムズはガン宣告を受ける、最後の数カ月を有意義に過ごそうと考えるウィリアムズだが、散財しても飲み歩いても満たされる事はない、役所の部下のマーガレットと再会し、快活な彼女の生き方に触発されたウィリアムズはふたたび役所に戻り、新しい一歩を踏み出すことにする、



黒澤作品1952年「生きる」のリメイク、ノーベル賞作家 カズオ・イシグロが脚本を担当し、アカデミー賞候補にもなった作品、上質なドラマに仕上がっています、

「生きる」の雰囲気を上手に再現しています、でもやはり英国、ガンはしっかり本人に告知されるので、「生きる」にあった映画的レトリックだけでは物語が平板になりそうだったからか、いくつかの新しいエピソードも用意されていますが、ウィリアムズからの手紙のエピソードはちょっと分りにくかった、

驚いたのは1952年のロンドンにUFOキャッチャーがあったこと、それで吊り上げるのは「生きる」でも登場した“白いウサギ”のおもちゃ、これにはニンマリ、上手でした、



〇(スクリーンで鑑賞)「フラッシュ ゴードン」
(★?☆☆☆)(1980年米国)(原題:Flasu Gordon)
1980年のカルト的人気!?作品の4Kリマスター版、ついうっかり観てしまいました

04フラッシュゴードン

突如、月が地球に接近、衝突の危機が発生、科学者のロケットの偶然乗り込んだフラッシュ ゴードンは地球の危機を救うべく謎のエネルギーを操る皇帝ミンと闘うことになる、、、



1980年制作、「スターウォーズ」1作目が1978年に公開され予想外の大ヒット、このSFブームにあやかろうと作られたとんでもなく怪作、4Kリマスタが観れるというので、うっかりスクリーンで鑑賞しましたが、、、観なくて良い映画でした^^)(一部のカルトファンを除く^^)

皇帝軍、異星人、クリーチャー、ポスターデザイン、あちこちにSWから引用(というか真似し)したアイデアが散見、でも、、、キッチュというよりチープ、コスチュームは「ショッカー」か「地球防衛軍」(東宝1957年)レベル、ひたすら悪趣味なカラーコーディネイト、チープな小道具やセット、陳腐な物語、笑い飛ばすことも出来ません、眠たかった、、、クイーンのキャッチーな主題歌を聴いてもむなしさだけが残ります、

怖いものが観たい方はどうぞ、





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2023年04月03日

先週も5本、「雑魚どもよ、大志を抱け!」「ロストケア」「タレンタイム」「ザ・タウン」「ロマンス オン メニュー」

〇(スクリーンで鑑賞)「雑魚どもよ、大志を抱け!」
(★★★★☆)(2023年日本)
小さな町に暮らす小学生たちの日常と冒険、大人よりも息苦しい少年達の世界

03雑魚どもよ

瞬ら小学生4人組、入院中の母親、前科者の父親、宗教にのめり込む母親、そして望まない塾通いと母親のガン再発と、それぞれに息苦しい日常を送りながらも溌剌と遊び回っている、裕福な家庭の西野は映画制作が趣味、4人組は西野と一緒に映画作りする事になる、しかし西野は同学年の番長からカツアゲを受けていた、そこから4人と西野、さらに距離を置いていた番長グループとの関係がギクシャクし始める、、、



今年も1本、良い少年映画が出て来ました、少年映画を観る度に“男の子はアホやな~^^)”と思うと同時に、彼らの瑞々しい心持ちと行動力、友を思う気持ちに感動させられます、

映画的レトリックとしての“悪魔のトンネル”や“中学生の政ちゃんの恐怖”よりも、4人組や西野の何気ない言動や、悩める子どもらしい思考回路が映画の核になっています、幼いが故の悩みや後悔、何も出来ない自分への腹立たしさ、男の子たちの小さな胸は怒りと悲しみと喜びでいつも張り裂けそうなのです、そして思いが溢れ出した時、彼らは疾走します!

映画のマル必テーマ「恋の話」はほとんど出てきません、そう、あくまでも男の子たちの胸の内の物語、必見です!



〇(スクリーンで鑑賞)「ロストケア」
(★★★★☆)(2032年日本)
優秀な介護ケアマネージャーの犯罪を追いつめる女性検事、法はこの罪を裁けるのか?

03ロストケア

斯波は優秀なケアマネージャー、誠心誠意お年寄りの介護と向き合っている、ある日、介護センター所長が介護老人自宅で死体となって発見される、捜査にあたる検事大友と事務官の椎名、事故死の線で捜査を終わらせようとするが、過去に斯波が担当する老人が次々と死亡していることが判明、斯波を尋問すると彼はあっさりと犯行を認める、しかし、それは殺人では無い、究極の介護だと主張、正義感の強い大友はそんな斯波を絶対に許せないのだが、、、



老人介護、おそらくこれからの20年くらいは日本社会の構造的問題としてずっと続いていくのでろう大きな課題、介護に疲れ果て崩壊していく家族の生活、それを支える介護事業者にも限界がある、そんな先が見えない介護生活から患者と家族を救うために殺人を繰り返した斯波、それを絶対に許せない大友、

物語の主眼は捜査サスペンスでは無く、この殺人の意味を問うという視点、そういう意味では地味な物語、日本が直面している大きな問題ではありますが、禅問答のような取り調べだけではたかぶらない、しかし!

とても効果的な映画的レトリックがラストで炸裂、尋問では決着が付かなかった物語の様相がいきなり生身の出来事として眼前に拡がります、冒頭の伏線も上手、ここがこの映画の観所でしたね、長澤まさみ好演、



(★★★!☆)(2009年マレーシア)(原題:Talentime)
学校の至芸発表会=タレンタイムの出演者の群像青春物語

03タレンタイム

学校の一大イベント“タレンタイム”の開催が決まり、教師や生徒も浮き足立つ、決勝進出者の練習時間をとるために出演者一人ひとりにバイクでの送迎役の生徒が割り当てられる、ピアノ演奏で出場するムルーの担当は耳が不自由なマヘシュ、2人は恋に落ちるのだがお互いの家庭はそれを認めない、成績優秀なハフィズの母親はガンで入院中、ライバルの優等生のカーホウは二胡で出演、それぞれの想いを乗せながらタレンタイム当日を迎える、



マレーシアは多民族国家、その多様性がこの映画の底流に流れているそうです、なるほど、そう思ってみると少し理解しやすくなる、それでもやはり、ほとんどマレーシアのことを知らないワタシにとっては細かなニュアンスはちょっと分りにくいかな、

登場人物はみんな饒舌です、大人も子どももよく喋る、良く喋るのにホントの心の内はストレートには明かさない、マレーシアの国民性?そんな生活風景を監督は少し引いた目線で淡々と綴っていきます、そしてタレンタイムのステージ、心に響く歌唱、副題を付けたくなるのも頷けます、

ムルーの父親の描き方が秀逸、エエ奴やったんや^^)



◆(自宅で鑑賞)「ザ・タウン」
(★★★!☆)(2010年米国)(原題:The Town)
銀行強盗専門犯が襲撃した銀行の美人支店長と恋に落ちるが、、、

03ザタウン

全米でもっとも銀行強盗が多い街ボストン、ダグはそんな銀行強盗専門チームのリーダー、ある日襲った銀行の支店長クレアを予定外の人質に取り逃走、もちろん無傷で開放するのだが、仲間からの心配を受けてクレアにそ知らぬ素振りで接近、警察との捜査状況を確認するだけのつもりがクレアに恋をしてしまう、、、



銀行強盗サスペンスと、強盗と被害者とのラブロマンス、ちょっとバランスをとるのが難しいテーマだったかも、ダグは心からクレアを愛し、組織から足を洗う決意をしますが、警察の捜査も迫り、ことはそう簡単には運びません、

ラスト近くのクレアの咄嗟の機転と、ダグの罪滅ぼしが観後感を良くしてくれました、


(★★★☆☆)(2020年オーストラリア・米国合作)(原題:Romance on the Menu)
NYのレストランシェフがオーストラリアの田舎町へ、もちろん恋に落ちます

03ロマンスオンメニュー

NYのレストランのシェフ キャロライン、料理評論家の来店を控えてナーバスになっている、そんな時、オーストラリアの田舎町で小さな食堂を経営する大叔母が亡くなり、残った食堂を引き継いで欲しいという話が舞い込む、懐かしい町に帰ってきたキャロラインは食堂を売る決意をしていた、シェフのサイモンや食堂のスタッフはなんとか食堂を継続したいのだが、、、



はい、とっても分りやすい物語、ハイエンドレストランの女性シェフと田舎町の小さな食堂のシェフ、レストラン売却を巡って対立する2人の恋の結末は?サイモンが粗野な田舎者、となればステレオタイプな展開になるのですが、サイモンは結構洗練されたシェフでDIYの才能と優しい気持ちを持ち合わせています、なので、平板ながらも結構安心して鑑賞できます、ハッピーエンド以外は考えられない^^)

休日のお気楽鑑賞にぜひ、




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2023年03月27日

先週は佳作5本、「オットーという男」「Winny」「ディヴォージョン」「刑事ジョンルーサー」「ケープタウン」

〇(スクリーンで鑑賞)「オットーという男」
(★★★★☆)(2022年)米国(原題:A Man Called Otto)
小うるさい町の嫌われ者、老人オットーとご近所さんの心暖まる物語

03オットー

町の小さな集合住宅、神経質でいつも不機嫌な顔つきのオットー、毎日町内を見回りちょっとしたルール違反も見逃さない、雪が降ればきっちり家の前の雪掻きもする、しかし、定年で職場を離れ、妻にも先立たれて生きる目的を無くしたオットーは自殺を考える、そんな時、向かいに引っ越してきた陽気なメキシコ人夫婦との交流が始まる、



とにかく几帳面で曲がったことが許せないオットーだが、案外近所の人達はオットーの事を気に入っているようだ、小うるさいが間違ったことはしていないということが分っている善良な住民達、オットーは何度も自殺に失敗、向かいのメキシコ人のペースにハマってしまい、ついついベビーシッターまで引き受ける人の良さも、

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」(2015)のリメイク、オリジナルに比べるとオットーはずいぶんとまあるく優しく描かれています、オリジナルはもっとエキセントリック、妻との幸せな思い出、近隣住民も善良、ちょっと予定調和が過ぎる感もあります、それでもオットー活躍の爽快感と別れの悲しみはある、こういう老人になれれば良いなあ、とか思いましたわ^^)



〇(スクリーンで鑑賞)「Winny」
(★★★!☆)(2022年日本)
ファイル交換ソフト開発者が著作権法違反ほう助で逮捕される、ソフト開発は罪なのか?

03Winny

2002年、画期的なファイル交換ソフト「Winny」が開発される、誰もが簡単にデータをダウンロードできることから一気に拡大、映画やゲーム・音楽などの違法ダウンロードが横行する事態に、京都府警は開発者の金子を著作権法違反ほう助罪で逮捕、社会を混乱させるために「Winny」を開発したとする調書を作成、金子は罪に問われることになる、、、



実話ベース、今や当たり前となったファイル共有のネット上でのルールが出来る前に登場した「Winny」、著作権者の権利を侵害したとしてソフト開発者が訴えられるという異例の事態、劇中での例え話が分りやすい、『包丁で刺殺事件が起こったとして、その包丁を作った職人が逮捕されるようなもの』、なるほど、そりゃおかしいですよね、

実際、海外でもソフト開発者が逮捕された事例はほとんど無いようなのですが、当時の日本の警察は金子さんが許せなかったようです、警察や検察の自白誘導取り調べ、純粋なプルグラマーである金子さんはまんまと甘言に欺されてしまいます、冤罪の典型的展開、怖い、

物語に映画的レトリックはあまりない、もう一つの警察犯罪の物語を入れ込んだ意図もちょっと分りにくく、映画としては物足りなさを感じましたが、それでも警察や検察の取り調べが毎度お馴染み違法性満載、そこのところが際立つ怖い作品になりました、東出昌大は好演、


(★★★☆☆)(2022年米国)(原題:Devotion)
朝鮮戦争で活躍した黒人戦闘機パイロットの物語、実話ベース、

03ディヴォージョン

1950年、空母レイテの航空部隊に配属されたジェシー、太平洋戦争での実戦経験は無い世代、部隊にいた黒人初の戦闘機パイロットのトムとペアを組むことになる、トムは白人からの差別や迫害を受けながらパイロットとしての腕を磨いてきた、ジェシーはそんなトムとの友情を育んでいく、そしてついに朝鮮半島での実戦、2人は困難な任務に向かうことになる、



日本が降伏、第2次世界大戦が終了した後のお話、次の戦争は朝鮮戦争、アメリカと中国が朝鮮半島で激突した代理戦争ですが、ワタシの世代の歴史の教科書にはほとんど記述がなかったかも、今はどうなんだろうね?この朝鮮戦争は今も終結していません(国際法的には休戦状態)、今も分断されたままの半島、、、

実話ベースということで映画的には抑えた表現、140分ほど有るので少々疲れます、でも戦闘機「ベアキャット」や「コルセア」の実機が飛行するのは素晴らしい、とくに「ベアキャット」はレシプロ機とジェット機の間の時代に生まれた傑作戦闘機、これが観られただけでワタシは満足です、

原題は“献身”というようなニュアンスかな?

(★★★!☆)(2023年英国)(原題:Luther: The Fallen Sun)
敏腕刑事ジョンルーサーが大量連続殺人事件に挑む

03ジョンルーサー

ロンドン警察のジョン、優れた洞察力で難事件を解決してきた、ある日事件現場から逃走した犯人を取り逃がしてしまったジョン、その犯人はある計画のため邪魔になるジョンの過去の違法捜査をマスコミに公表、ジョンは刑務所に収監されてしまう、刑務所内に犯人からジョンへの挑戦メッセージが届き、大量殺人を察知したジョンは脱獄!警察に追われながら犯人に迫っていく、



人気TVシリーズの映画化だそうです、TVシリーズではジョンの鋭い洞察力がウリのようですが、映画は結構荒っぽい展開となります、まず犯人が相当なサイコキラー、とにかく殺し過ぎです、ジョンも脱獄して捜査するという、ちょっとそれはどうでしょうか?的な展開、途中でジョンの的確な洞察が発揮されますが、ラストはちょっと、、、

個人的には退屈せずに鑑賞しました、が、やはりちょっと荒っぽすぎるかな、、、



◆(自宅で鑑賞)「ケープタウン」
(★★★!☆)(2013年フランス)(原題:Zulu)
少年少女の失踪や殺人被害が多発するケープタウン、2人の刑事が真実に迫っていく

03ケープタウン

海岸で少女の死体が発見される、捜査に乗り出す黒人アリと白人ブライアン、アリは黒人差別時代に少年期を過ごした、ブライアンは離婚して酒浸りの毎日、少女の死体には過度な暴力の痕跡、少年達もむやみに喧嘩騒ぎを起こす毎日、残されていた謎の薬物、いったいなにが起こっているのか?2人が現場近くの麻薬組織に探りを入れると事態は暴発、陰に隠された薬物を巡る陰謀が浮び上がってくる、



物語の底流には、1948年から1991年まで続いた南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離)政策があります、人種差別を法制化して認めていた南アフリカが舞台の物語、黒人のアリは被差別経験のトラウマを抱えて病んでいる、という設定ですが、そこのところが描ききれなかったのか?苦悩と事件との関わりがもう一つハッキリしないままラスト前の悲劇が起こってしまいます、アリの執拗な追跡が差別問題の根深さを語っているのか?

これまた集中して観ることが出来ました、南アフリカのことを知っていると、もっと面白いのかも、、、

原題は南アフリカで迫害された黒人部族名、ズールー族、





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2023年03月20日

先週も5本、「フェイブルマンズ」「エブリシングエブリウエア オールアットワンス」「サンタ ボックス」、他に「ブラック ライト」「特捜部Q知りすぎたマルコ」

〇(スクリーンで鑑賞)「フェイブルマンズ」
(★★★★!)(2022年)米国(原題:The Fabelmans)
映画を撮ることを夢見る青年の奮闘と家族の物語、スピルバーグ監督の自伝的映画、

03フェイブルマンズ

映画館で観た映画の魅力の虜になったサミー、母親に8ミリカメラを買ってもらい映画製作に没頭、その才能は回りの大人も楽しませるほどになる、しかし、撮影を進めるうちにサミーはある家族の秘密に気付いてしまう、そして、父親の仕事の都合で家族で映画の都LAへ引っ越すことになるが、、、



スピルバーグの自伝的映画、そこにある映画への憧憬と愛情、とびきりの映画製作の才能、大切な家族との時間、初恋、それぞれが才気溢れる両親の離婚など、、、映画的な盛り上がりはそれほど大きくは無いが、きっと現実でも起きたであろう様々な出来事、それに伴う痛みや悲しみが少年サミーの小さな胸の内には収りきれないのはよく分る、

才能としか云いようがないなあ、少年の頃の撮影アイデアにはビックリ、そりゃ周りも喜ぶはずだわ、そして、苦悩の暗闇に差し込む一筋の光、こんな偶然が偉大な映画人を生み出したのですね、

サミーが映画界へ入る前に物語は終わります、映画界出世物語ではなく家族の物語です、


(★★★★☆)(2022年米国)( 原題:Everything Everywhere All at Once)
マルチバース空間で悪と闘う母親!と見せかけて・・・アカデミー賞7部門受賞作品

03エブエブ

コインランドリーを経営する母親エブリンと離婚を考えている夫、行き先が見えない娘、頑固な父親と問題山積、支払えない税金の交渉で税務署を訪れたとき、突然別の宇宙から来たという別人の夫が現れ、全宇宙を破滅させようとしている悪と闘うように命じる、そして税務調査官が突然エブリンに襲いかかってくる、エブリンは無数の宇宙を行き来しながら、人類を救うため最大の悪と闘うことになるのだが、、、



先週のアカデミー賞で作品、監督、脚本、主演女優、助演男優、助演女優、編集の7部門を受賞、ハリウッドを席巻した作品、

舞台はマルチバース=パラレルに存在する無数の宇宙という概念なので、もうなんでもあり、特殊な戦闘能力を手に入れるためにエブリンはマルチバースを行ったり来たり、という奇天烈なお話、最初のうちは訳が分らず混乱しますが、そのうちに観客もマルチバースの世界を認識できるようになるので、何も考えずにカンフーアクションを楽しむのが良いのですが、、、

ラスト20分ほどになると、この映画の真のメッセージが姿を現します、如何にもアカデミー好み、岩になった2人を観てワタシもこの映画が好きになりました、ごった煮系おでん鍋のような映画なので好き嫌いが分かれそうですが、、、

ま、モノは試しです、観て損は無し、


◆(自宅で鑑賞)「サンタ ボックス」
(★★★★☆)(2020年米国)(原題:The Santa Box)
クリスマスを憎む少女に起こる奇跡、ハートウォーミングな1本

03サンタボックス

クリスマス間近のある日、火事で家を失ったケイリーと母親が新しい家に引っ越して来る、ケイリーはある理由からクリスマスを憎んでいる、お節介な隣人から謎の独居老人オットーには気をつけるように警告を受けるが、ケイリーはオットーが困っているところを目撃、手助けをしたことから交流を持つことになる、そして人生にとって大切なことをオットーから学んでいくことになる、、、



「サンタ ボックス」は望みを叶えてくれる箱、ケイリーは母親や同級生のためにプレゼントを望み、それを次々と実現していく、人のために「サンタ ボックス」を使うケイリーの優しさが周りに幸せを運んできます、

少々出来過ぎ、お伽噺のような都合が良すぎる物語ですが、老人オットーの発する言葉がとても心に響きます、それに応えるケイリーが健気、ささくれだった日々への一服の清涼剤として鑑賞しましょう、


〇(スクリーンで鑑賞)「ブラック ライト」
(★★★☆☆)(2022年オーストラリア)(原題:Blacklight)
FBI捜査官救出係=腕利きフィクサーがFBIの暗部に迫る

03ブラックライト

トラヴィスはフィクサーと呼ばれる秘密捜査官を窮地から救い出す任務に就いている、ある日、警察に逮捕された若い捜査官ダスティを引き取ったトラヴィスはダスティからFBIが違法な行為を行っていることをほのめかされる、直後にダスティは逃亡、トラヴィスの眼前で謎の集団に殺害されてしまう、新聞記者と共に真相を究明しようとするトラヴィスにも危機が迫ってくる、



タイトロープな展開とカーアクションにグイグイ引っ張られる序盤は結構面白いのですが、、、FBIの暗部を暴く段になると物語がいきなりチープになってしまいました、そんな簡単に!!??それは無いわ!!という終盤、大きなテーマだけにちょっと腰砕けのエンディングとなってしまいました、残念、、、


(★★?☆☆)(2022年米国)(原題:The Lost City)
未解決事件捜査班の特捜部Q、今回のターゲットはODAを不正搾取する組織

03知りすぎたマルコ

長期間未解決事件を担当する“特捜部Q”の主任カールとアサド、失踪した外務省の役人スタークの捜査にあたっている、ある日、一人の少年マルコがスタークのパスポートを持って密入国しようとして逮捕される、経緯を語ろうとしないマルコ、カールはスタークが担当していた巨額の海外援助金の使途に疑念を抱き、周辺の関係者の捜査に乗り出すが、マルコが何者かに誘拐されてしまう、、、



デンマークの人気ミステリー小説「特捜部Q」シリーズの映画化5作目だそうです、5作目か、1作見逃しているかも、、、今作からキャスト一新、前のキャストの方が原作のイメージに近かった、さらに地味な物語、カールは悩み満載休職中、アサドにもユーモアを感じず、協力者が瀕死の重傷と少々残念な観後感、

原作の小説はとっても面白いのでオススメ、ぜひ読んでみてください、映画も前キャストのシリーズ4作は観て損は無し、





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2023年03月13日

先週も5本、拾いモノの「湯道」、スターが活躍「セント オブ ウーマン」「ラスト ムービー スター」、良心「ワース」、そして「ザ ロスト シティ」

〇(スクリーンで鑑賞)「湯道」
(★★★★!)(2023年日本)
日本人ならみんなお風呂大好き!老舗銭湯に集う風呂好き老若男女のハート風呂物語

03 湯道

東京で建築家として活躍する史朗が実家が営む銭湯に久しぶりに帰る、アルバイトのいずみと共に銭湯を継いでいる弟の悟朗、先行きが見えない銭湯経営で衝突する兄弟、しかし銭湯には様々な風呂好きが集っている、いよいよ廃業を決めた兄弟、いずみも愛想を尽かして姿を消してしまうが、、、



予告編を観てオールスターキャストの銭湯賛歌映画かと思いきや、、、しっかり筋の通った物語が転がります、そして暖かいエンディング、とにかくみんな風呂に入る、湯に浸かる、銭湯へ来る、苦悩や煩悩、愛しさと思いやり、様々な心持ちを持って湯に浸かり、その気持ちをスカッとキレイに洗い流していきます、、、

予告編やポスターを見ると見知った顔の芸達者に意外性のキャスティング、それぞれの得意技を活かしたオムニバスかと見えますが、いやいや、監督はしっかりキャストの個性を存分に活かしながら物語を紡ぎます、天童よしみとクリス・ハートのデュエットで涙がこぼれました、参った、

身も心もホットする湯に浸からせていただきました、サンキュ湯~!

(★★★★☆)(1992年米国)(原題:Scent of a Woman)
盲目の元軍人と友人関係に悩む高校生、真の勇気とは?を学ぶ事になります

03 セントオブウーマン

田舎から全寮制進学高校に進んだ苦学生のチャーリー、セレブな悪友とは一定の距離を置きながら付き合っている、セレブたちが感謝祭休暇でリゾートへ遊びに行く間にアルバイトで盲目の老人の世話係をすることに、しかし休暇前日に悪友が校長に仕掛けたイタズラが大問題に、不安を抱えながら盲目の元軍人フランクの世話に出向くが、フランクは度を超した頑固者だった、、、



物語には2つの大きな流れがあります、チャーリーが巻込まれた校内でのイタズラ騒ぎが大問題になり苦悩するチャーリー、そしてもう一つはとびきりの頑固者フランクとチャーリーの激突、フランクの言動を理解できないチャーリー、とにかくチャーリーをこき下ろすフランク、水と油、年の差があるこの2人が徐々に本音を吐露しながら、少しずつ互いの心根を探り合う、そして校内でのイタズラ問題を裁く校内集会でクライマックスを迎えます、

アル・パチーノが盲目の頑固者元軍人を怪演、そして、信念を持って生きることの大切さを己の言葉で語ってくれます、窮地に陥ったときに大切なことは、、、はい、とっても大切なことを教えていただきました、

原題は直訳すると『女性の香り』、意味は観てのお楽しみ、

(★★★★☆)(2017年米国)(原題:The Last Movie Star)
往年の大スターに舞い込んだ小さな映画祭への招待状、それは人生を振り返る旅になる

03 ラストムービースター

アクション映画で一世を風靡した往年の大スター  ヴィック・エドワーズ、彼の元へ小さな映画祭から功労賞授与の案内が届く、授賞式のためナッシュビルに出向いたヴィックを迎えたのはボロ車、手作り映画祭の会場は小さなバー、憤慨して泥酔したヴィックは翌日、世話役の運転手リルに命じて思い出の地を訪ねる旅に出る、、、



2018年に他界した往年の大スター バート・レイノルズ最後の主演作品、劇中でも彼の主演映画やTV番組などが引用され“大スター ヴィック”の活躍とファンからの賞賛が描かれます、写真のような共演もあります^^)なんか凄い企画です、高倉健さんの主演映画を引用しながら健さんが架空の落ちぶれた俳優を演じるような物語、、、

しかし、劇中のヴィックはただの老人、世話役のリルはヴィックの全盛期を知らない、そんな2人が旅を続けるうちに溶け始める2人の心の内、、、

バート・レイノルズ、よくぞ演じました!ヒーローの無様な踏ん張りに拍手、



〇(スクリーンで鑑賞)「ワース 命の値段」
(★★★!☆)(2019年米国)(原題:Worth)
アメリカを震撼させた9・11テロの被害者の補償に取り組んだ男のドラマ

03ワース

2001年9月11日同時多発テロで死亡した多数の米国民の救済、この難題に挑んだ弁護士ケン、合理主義のケンはすべてに被害者の事情を計算式に落とし込み保証金を支払い提案をするが、多くの被害者が納得せず猛烈な反感を買う、どうしたら被害者に寄り添えるのか?苦悩するケン、そして被害者を支援しているチャールズと知り合う、、、



テロの犠牲になった賠償対象者は約7000人、全員が納得できる賠償制度を作るのはたしかに難しい、それを無償で引き受けたケンの男気、しかしその合理的な考え方と計算式はたしかに被害者家族には受け入れ難い、悩みながらも徐々に被害者支援をしているチャールズに寄り添っていくケンが最後に手に入れる大切なモノは、、、

事実を元にしているのでやや地味な面があるし、ケンの合理的な考えも魅力的には見えない、それでも最後まで諦めなかったケンはやはり優秀な弁護士なんでしょう、



◆(自宅で鑑賞)「ザ ロスト シティ」
(★★★☆☆)(2022年米国)(原題:The Lost City)
アドベンチャー小説女流作家が秘宝伝説に巻込まれて伝説の孤島へ、、、

03 ロストシティ

作家ロレッタは最新作の出来映えに満足していない、小説のヒーローを演じる俳優アランともギクシャクしている、そんな時ロレッタはいきなり謎の集団に誘拐される、誘拐を企てたのは大財閥の息子アビゲイル、ロレッタの小説に出てくる秘宝の在処の手がかりを手に入れたアビゲイルはロレッタのその手がかりの解読を命じる、アランはロレッタの後を追って秘宝が眠る孤島に向かうが、、、



サンドラ・ブロックが主演・プロデュース、ブラッド・ピットとのロマンスアドベンチャーかと思いきや、さに非ず、ブラピはあっけなく退場、孤島での逃避行もなにやらドタバタ、そして秘宝の謎を解き明かすロレッタだが、、、

基本コメディなのですが、同様の企画で成功した「ロマンシング ストーン」とまでは行かなかったようです、休日のお気楽鑑賞にオススメ、





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2023年03月06日

先週も5本、秀作「ちひろさん」「エンパイア オブ ライト」「トゥルー スピリット」、惜しい!「銀平町シネマブルース」、う~ん「コンフィデンスマンJP英雄編」

◆(自宅で鑑賞)「ちひろさん」
(★★★★!)(2023年日本)
軽やかにしなやかに生きる元風俗嬢のちひろさんの元に集まる優しい人達

02ちひろさん

海辺の小さな街の弁当屋で働くちひろは元風俗嬢であることを隠そうとしない、持ち前の明るさと開けっぴろげな性格が回りの人達をどんどん引き寄せていく、工事現場の男達、ホームレス、孤独な女子高生、独り母親を待つ小学生などなど、みんながちひろのことを慕って集まってくる、ちひろのおかげでみんなが少しずつ幸せに近づいていくのだが、ちひろの心にはぽっかりと穴が開いている、、、



主人公の“ちひろさん”がとっても魅力的、元風俗嬢であることをあっけらかんと披露し、惜しげも無く周りの人達に愛情を注いでいく“ちひろさん”、そこには純粋でまっすぐな視線しかない、でもその視線は自信の幸薄い体験から生まれてきたモノ、たぶんちひろさんは他人を幸せにすることで自分自身が得られなかったモノを取り返そうとしているのだ、

有村架純が良い!好演、いや、それ以上の役作りに成功しています、回りの人物もしっかりキャラが立っています、監督の手腕、

ラストはそうかな~、と思ったら、やはりそうだった、、、少し寂しいけど、、、元風俗嬢から抜け出して元弁当屋へステップアップした“ちひろさん”も少し幸せに近づいたかな、、、



〇(スクリーンで鑑賞)「エンパイア オブ ライト」
(★★★★☆)(2022年英国・米国合作)(原題:Empire of Light)
1980年代の英国、差別と不況の中で夢を失いかけた2人の再生の物語

03えんぱいあおぶらいと

海辺に建つエンパイア劇場、ヒラリーは劇場主任として懸命に働いているが、映画館主とただならぬ関係も持っている、そこへ夢破れた黒人青年スティーヴンが新人として入ってくる、心優しき仲間らと働くヒラリーとスティーヴンは互いに惹かれ合うが、長引く不況は黒人差別へと繋がりスティーヴンの身にも厄災が襲いかかる、、、



映画館主と密会を続けているヒラリーは男性優位社会の被害者でもある、スティーヴンもまた差別社会にもがき苦しんでいる、か弱き2人の小さな幸せを護るのではなく、もっと大きな生き様をたぐり寄せるように行動する2人、前向きで良心的で少しもの悲しい物語、

エンパイア劇場がゴージャスで素晴らしい、1980年代の懐かしい映画も劇中で頻出、それを楽しむのも一興です、



◆(自宅で鑑賞)「トゥルー スピリット」
(★★★★☆)(2023年米国・オーストラリア合作)(原題:True Spirit)
ヨットで単独無支援無寄港世界1周を為し遂げた16歳の少女の物語、実話がベース

03トゥルースピリット

小さな頃から海が大好きなジェシカ、いつの頃からかヨットで世界1周をするのが夢になった、夢の実現に向けて両親やコーチなどを説得、着々と準備を進めるが、愛艇の試運転でミスを犯し事故を起こす、マスコミは幼すぎるジェシカの計画は無謀だと非難するが、、、



なぜ山に登るのか?と同じくらい不思議な衝動、ヨットで単独世界1周、それも無支援無寄港、答えは『海が好きだから!』、その大好きな海の旅は孤独で過酷、そして容赦なく牙を剥いてくる、達成間近に遭遇する嵐はジェシカの夢を打ち砕く勢い、さすがにこのシークエンスはハラハラしました、

ヨットって転覆しても復元する力があるそうです、劇中の台詞でも語られていますが、、、実際には転覆沈没する場合も多い、ジェシカの愛艇もついに力尽きて水中へ沈んでしまいます、海は怖いですね、、、

山も怖いですけど、、、好きです、山があるから登ります^^)、



〇(スクリーンで鑑賞)「銀平町シネマブルース」
(★★★☆☆)(2023年日本)
小さな街の映画館を舞台に、なにもかも失った男の再生の物語

03銀平町

一文無しの青年近藤、映画好きのホームレスと共に生活保護詐欺に誘われる、そこで知り合った小さな映画館の館主に拾われ、映画館で寝泊まりしながら働き始める、実は近藤は元映画監督、未完成のフィルムも携えていた、回りに支えられながら近藤はフィルムの完成を目指すことにする、



シチュエーションやテーマが「エンパイア オブ ライト」とダブっていたので同一週に鑑賞、エエ空気感を醸し出している映画なのですが、、、惜しい!やる気を失った近藤が再び立ち上がる!!のだが、どうもその後の近藤にも共鳴できなかった、映画監督ならもっとギラギラしたオーラが出て来るのかと期待したけど、、、

吹越満以外のキャラも立ってこない、久しぶりの小出恵介も不完全燃焼な印象、好きな役者だけに惜しい!!しかし、劇場のフィルム映写室はとっても映画的な空間、どんな映画でも映写室は愛しく写ります、

(★★★☆☆)(2022年日本)
毎度お馴染み、3人の詐欺師たちと曲者たちとの欺し合い、最終話?

03コンフィデンスマン英雄

コンフィデンスマン界の英雄の称号を競うために、ダー子、ボクちゃん、リチャードの3人は地中海のマルタ島へ飛ぶ、獲物は富豪が所有する彫像、そこに日本から3人を追いかけてきた鬼デカ、インターポールの敏腕刑事、ヤクザ、マフィアが入り乱れて欺し合いがはじまる、最後に勝利を手にするのは??



映画シリーズ3作目、さすがの3作目となるとだいたい見当はつく、伏線や時系列をこま目に追うことで律儀に欺し合いの裏側も魅せてくれるのは親切?なのか?

松重豊の鬼デカが銭形警部にダブって面白かった、最終話かと思ったら一応次回作へのフリもあったりして、もう1作ありそうですね、、、って、これが騙しだったら、ホントに面白いかも^^)自宅でのノンビリ鑑賞に最適、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)映画