2020年01月04日
先週観た映画~「再会の夏」 (★★★★★) (2018年仏・ベルギー合作・83分)
先週観た映画、
「再会の夏」 (★★★★★) (2018年仏・ベルギー合作・83分)
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判事ミステリー、恋愛小説、反戦ドラマ、犬の物語、、、
ギュッと詰め込んで、さて出来栄えは、
第一次世界大戦終結直後のフランスの田舎町、戦場の英雄だったジャックが留置場に拘留されており、名無しの飼い犬が建物の前で吠え続けている、ジャックを軍法会議にかけるか否かを判断するために軍判事ランティエ少佐が赴任、事を荒げたくない少佐は穏便な処理をほのめかすがジャックは頑として黙秘を続ける、ジャックの妻ヴァランティーヌもまた少佐の尋問にまともに応えない、事件の真相ははたして解明されるのか?、、、
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83分と小品ですが上質な物語を観せてもらいました、戦争ミステリーという面が強いと思いますが、恋愛小説のような儚さとも持ち合わせています、犬の物語も少しやるせなさが残ります、
ジャックがどんな事件を起こしたのか?映画終盤までそれ自体は説明されず、少佐の尋問に少しづつ口を開くジャックの回想を通して出征~戦場~帰還の物語が語られます、そこで国家が起こした無慈悲な戦争への批判、国家の罪をジャックが糾弾します、反戦、これが大きなテーマに見えますが、、、
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なぜジャックが黙秘を続けるのかは終盤まで判然としません、この映画の巧みなところはここからなんでしょう、少佐の調査で解き明かされたジャックの真の黙秘の理由は、、、高潔な反戦思想ではなく、至って個人的な苦悩からの黙秘でした、
ここはあら!っと肩透かしを食らったようにも感じるかもしれません、ジャックの生い立ちと性格、個人的な恋愛観、これが事件の鍵でした、
しかし、よく考えてみると、そんな些細な衝動的な個人的な行動が軍によって拘束され、軍法会議にかけられるかもしれない窮地に追い込まれる、個人の自由がない戦時の軍優先社会体制が如何に恐ろしい狂気を秘めているのか、自由の国フランスでさえそうだったのであれば、先の大戦中の日本など真っ当な意見が全く通用しなかったであろうことは明らかです、ここにこの映画の真のテーマがあると感じました、戦争とはまともな意見が通らなくなる狂気の沙汰、
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犬が悲劇の引き金を引いてしまったのも残念、犬を戦場に連れて行く感覚、日本人にはよく分かりませんが、『英軍兵士がたくさん連れていた』という台詞が劇中にあります、当時の欧州の感覚ではそういう感じだったのでしょう、
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ジャックの仏軍は安南人と共にブルガリアと戦っています、“安南人”?ベトナム人の事かな?と調べてみると、やはりベトナム人の事のようです、
第一次世界大戦当時フランスが植民地化していたベトナムからもベトナム人部隊が欧州に出兵していたようです、ジャックが出征中にはロシア革命により旧ソ連が成立しています、などなどこの時代のことは知らないことが多いなあ、この辺り、学校ではほとんど教えてくれなかったしね、
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ランティエ少佐役は仏版「最強のふたり」のフランソワ・クリュゼでした、道理で見た顔だ、
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ということでたくさんの要素を上手にまとめあげた佳作、なんかとっても気に入りました、
なので、鑑賞おススメ度は★5つあげちゃいます、
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(私的ざっくり鑑賞おススメ度★)
★★★★★=ぜひ観て欲しい
★★★★ =観て損はなし
★★★ =時間があれば観てみよう
★★ =観なくても良いです
★ =観たらがっかりするかも
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