2021年12月13日
先週は6本、サスペンス満載の秀作が揃いました、オススメは「パーフェクトケア」、「ウインドリバー」、「悪なき殺人」。
先週は6本、サスペンス満載の秀作が揃いました、オススメは「パーフェクトケア」、「ウインドリバー」、「悪なき殺人」
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〇(スクリーンで鑑賞)「パーフェクトケア」
(★★★★☆)(202年米国)(原題:I Care a Lot)
悪徳法廷後見人とロシアンマフィア、正義と悪が逆転、がんばれ!ロシアンマフィア
法定後見人のマーラ、数多くの高齢者に適切なケアを施し、裁判所の信頼も厚い、が、実は高齢者を施設に送り込み資産を搾り取る悪徳法廷後見人、新たにターゲットにされたのが天涯孤独の資産家ジェニファー、いつものように偽の診断書でジェニファーを施設に送り込み、資産を次々と搾取していくマーラだが、ジェニファーもまた裏の顔を持つ危険人物だった、、、
とにかくマーラがとんでもなく悪い奴、巧みな話術と偽診断書などを駆使して裁判所や家族を手玉に取り、高齢者を追い込んでいく様はホント憤慨モノ、この悪事に気付いたロシアンマフィアを応援したくなっている時点で映画的レトリックに見事に嵌っています、巧みな構成と脚本です、マーラとロシアンマフィアとの丁々発止のやりとりも狡猾且つ壮絶、そして大成功の果てにあるのは、、、因果応報、
観後感はあまり良くないですが、オススメします!
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◆(自宅で鑑賞)「ウインド リバー」
(★★★★★)(2017年米国)(原題:Wind
River)
ネイティブアメリカン居留地で娘の死体が見つかる、真相を追う自然保護局のハンターとFBI女性捜査官
雪深いワイオミング州のネイティブアメリカン居留地でネイティブインディアンの娘の死体が発見される、吹雪の中派遣されてきたFBI捜査官ジェーン、第1発見者のハンターのコリー、部族警察のベンが協力して捜査を開始、娘のボーイフレンドを探して向かった先は、、、
とにかく面白い、一面の雪と居留地という設定が生み出す独特の緊張感、シンプルな物語ですが、ネイティブアメリカ居留地、部族警察、FBI女性捜査官とハンターというパーツがすべてツボを押さえています、いろんな伏線もしっかり、
上手な映画的レトリックで事件の真相が分ったあとに突然訪れる雪原での決闘とカタルシス、物語よりも設定と映画的レトリックで成功した作品、個人的に2018年年間NO.1に選んだ作品、「悪なき殺人」との比較も興味深いです、
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〇(スクリーンで鑑賞)「悪なき殺人」
(★★★★☆)(2019年フランス・ドイツ合作)(原題:Seules les betes)
吹雪の夜、一人の女性が失踪、その周辺で起こる偶然の恐怖
フランスの田舎町、吹雪の夜にエブリーヌが車を残して行方不明に、近所に住むアリスは精神的ケアをしてるジョゼフと関係を持っており、夫のミシェルは出会い系サイトに入れ込んでいる、そしてアフリカコートジボアールでこの事件の発端となる悪事が仕組まれていた、少しづつ明るみなる事件の真相、そこにある偶然が悪なき殺人を生み出していく、
事件関係者6人の行動を時系列が行き来しながら追い、事件の真相に迫っていく手法、不可解な事象が時系列を遡ることでしっかりと回収されていくのは爽快、地理的に離れたフランスとコートジボアールを結びつける現代社会の暗部もなるほどという感じ、ただ、構図が露わになってからが饒舌すぎた感あり、ラストシーンもやり過ぎ?
登場する人物設定が面白いだけに、もっと端的に偶然の悪なき殺人を描いた方が観やすかったかも、そこが「ウインド リバー」との差になっています、
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〇(スクリーンで鑑賞)「天才バイオリニストと消えた旋律」
(★★★★☆)(2019年イギリス・カナダ・ハンガリー・ドイツ合作)
(原題:The Song of Names)
忽然と姿を消した天才バイオリニストの消息を追跡する幼友達
バイオリン教育のためロンドンに下宿する天才的才能を持ったユダヤ人ドヴィドル、その家の息子マーティンと兄弟のように育つ、21歳のデビューコンサートの日、リハーサルのあとに忽然と姿を消す、35年後、マーティンはドヴィドルそっくりの仕草でバイオリンを弾く少年に出会い、ドヴィドルが生きていることを確信、彼の足跡を追い始めるが、、、
映画らしい出来映え、35年の歳月の差をマーティンの執念が乗り越えていきます、ロンドンからポーランド、そしてNYへと僅かなヒントを頼りにドヴィドルの足跡を追跡する様はなかなか面白く、推理的サスペンスもあります、
最近、とみに多いユダヤ系資本の脚本、映画も資本力で傾向が決まります、それは必然、この映画も当然あの厄災に行き着くことになりますが、そこにあるのは『名前の歌』、この映画の原題でもあります、この歌の存在が史実なのか?確認出来ませんでしたが、本作の核心なので邦題も『The Song of Names』のままの方がよかったと思うし、この映画にふさわしいと思います、
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〇(スクリーンで鑑賞)「スパゲティコードラブ」
(★★★☆☆)(2021年日本)
21世紀の東京で息苦しく生きる13人の若者たちの群像劇
SNSでしか友達がいない男、売春する美人、フードデリバリーで走る男、アイドル、シンガーソングライター志望、売れないカメラマン、親の七光りアートディレクター、自殺願望の高校生、失恋した隣人、そして相手を離したくない女、、、上手くいかないけれど必死に生きる若者たちを結びつける偶然、、、
とにかく必死に生きている、13人に共通しているのは満たされない心と、それを埋めようと愛を求めていること、分らないでもないけど、で、どうするの?と思いながらも観ていると、、、最後まで退屈せずに観ることができました、物語というよりは台詞と撮影がしっかりしているのかな?
「スパゲティコード」とはコンピュータプログラミング用語らしく“複雑に絡みあった状態”を指すようです、たしかに複数の登場人物が絡み合いますが、そこに物語はあまりなくテクニックとしての構図が大半、独立したエピソードの方が多いかな、「悪なき罪」のような綿密な偶然があるわけではありませんでした、
それでも、観後感が良いのは監督の力でしょうか、
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◆(自宅で鑑賞)「エクストリームジョブ」
(★★★☆☆)(2019年韓国)(原題:Extreme Job)
麻薬捜査班がフライドチキン屋を営みながら張り込むことに、コメディ+アクション
失態続きの麻薬捜査班、失点を取り返そうと麻薬組織王のアジト向かいのフライドチキン店を買い取って張り込むことに、偽装営業のつもりがこのフライドチキンが大当たり、連日大入満員となり、張り込みそっちのけで店の運営に精を出す捜査班のメンバー、そんな時、大きな麻薬取引が行なわれるという情報が入る、、、
とにかく韓国刑事物らしくハチャメチャな展開なのに、気持ちはとってもシリアス、途中ちょっとこれはどうなんだ?これって面白いのか?という気分にさせられますが、ラストに向かってまっしぐら、最後はスカッと終わってくれます、
劇中のフライドチキンが美味しそうで、鑑賞後、チキンが食べたくなりました^^)
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