映画

2024年03月11日

先週は4本、「続 夕陽のガンマン 」「FALL」「ネクスト ゴール ウインズ」「アバター ウェイ オブ ウォーター」

先週は4本、「続 夕陽のガンマン 」「FALL」「ネクスト ゴール ウインズ」「アバター ウェイ オブ ウォーター」

(★★★★!)(1967年タリア・スペイン・西ドイツ合作)
(原題:I due magnifici straccioni)
イーストウッド主演、マカロニウエスタンの傑作、やっと観ました

03続夕陽のガンマン

アメリカ南北戦争末期、ブロンディとチェコは賞金が掛かった犯罪人をネタに詐欺まがいの手法で荒稼ぎをしているが、仲たがいをしてコンビを解消、荒野に取り残されたチェコはブロンディを追う、一方、エンジェルは一人の南軍兵士を探して次々と関係者を抹殺していく、目当ては隠された20万ドルの金貨、この3人が奇妙な偶然に導かれて金貨争奪戦に発展、3人の最後の決闘の行方は・・・



1967年制作、C・イーストウッド主演のイタリア製西部劇=マカロニウエスタン、マカロニウエスタンというと、なにやらレプリカ西部劇のような印象もありますが、この作品はホントに面白い、3時間近い長尺ですが最後まで飽きずに鑑賞できました、

イーストウッド主演となっていますが、3人対等で主演格、いや、相棒役のチェコの方が人間味豊かで出番も一番多いので、彼が影の主演と言えるかもしれません、

金貨争奪戦の派手なガンアクションもありますが、西部で生きる庶民の人間模様、無意味な南北戦争の悲惨さ、チェコの生い立ち物語など、アクション以外の要素もたっぷり盛り込んだ、いわば西部大河ドラマのような様相も呈しています、音楽・効果音も面白い、若かりしイーストウッドを存分に観られるのも嬉しいです、ぜひ観てほしい作品です、

ちなみに、米国では“スパゲッティ ウエスタン”と呼ばれたイタリア製西部劇、和名“マカロニ ウエスタン”は映画評論家の淀川長治氏の命名だそうです、



◆(自宅で鑑賞)「FALL」
(★★★!☆)(2022年英国・米国合作)(原題:Fall)
地上600mの電波塔の先端に取り残された2人の決死の脱出劇

03Fall02

同伴クライミング中の事故で夫を失ったベッキーは1年近くふさぎ込み酒におぼれる毎日、友人クライマーのハンターは現状から抜け出すために、再び挑戦すべきだと提案する、登るのは荒野にぽつんと立っている高さ600mの電波塔、ベッキーは渋々承諾、2人は無事先端まで到着、ベッキーはトラウマを克服できたかと思われた瞬間、登って来た梯子が崩れ落ち、2人は高さ600mの先端に取り残されてしまう!!



電波塔の先端は直径1m程のスペース、直下の梯子が崩れ落ち、降りるのは不可能、手元にあるのは15mのロープ、スマホ、撮影用のドローン、双眼鏡、信号弾、そして2人の勇気と知恵だけ、はたしてこれでこの危機を脱することが出来るのか?という物語、

スマホで救援を呼ぼうとするが高すぎて電波が入らない、信号弾やドローンを使ったあの手この手の奇策も不運に見舞われ、最後に遺された手段は無理!と叫びたくなるような危険すぎるチャレンジになります、

ワタシ、高所恐怖症です、とても正視できないシーンの連続なので、スクリーンでの鑑賞は回避しました、正解でした、自宅でも前半は画面から目をそらすシーン続出、地上600mは下を観るだけで怖い、それでも慣れてくるもので、後半は正視できるようになりました^^)

高所恐怖症の方は観ないほうが良いかも、



〇(スクリーンで鑑賞)「ネクスト ゴール ウインズ」
(★★★☆☆)(2023年英国・米国合作)(原題:Next Goal Wins)
W杯サッカー予選史上、最弱の米領サモア代表チーム、初得点を目指して奮闘するが・・・

03ネクストゴール

米領サモアの代表チーム、2001年W杯サッカー予選で史上最多失点0対31で歴史的敗北を期する、再起を誓う地元サッカー協会は米国本土に有能な監督の派遣を依頼、リーグ戦で成績を残せなかった監督トーマスに白羽の矢が立つ、嫌々サモアに赴いたトーマスを待っていたのは代表チームとは名ばかりのヤル気のない選手たちだった・・・



実話ベース、31失点も実話のようです、代表チームといっても兼業選手ばかり、協会の会長も前監督も素人、ろくな練習メニューもなく負け続けるチームに、トーマスも音を上げ何度もチームを放り出してしまいます、この監督の性格もどうかなと思いますが、そこにも悲しい物語がありました、

でも、深刻なお話ではありません、南国サモアののんびりした環境の中、ユーモアたっぷりにチームの挑戦を描いています、いわば『がんばれ!ベアーズ』の大人サッカー版、こういう、どう見ても勝てなさそうなチームがひょっとしたら勝つのではないか?という物語はやはり面白い、最後は米領サモア代表を応援してしまいます、

(★★★!☆)(2022年米国)(原題:Avatar: The Way of Water)
アバター2作目、逃げ延びた森の民が海の民と共に人間側アバターと戦います

03アバター2

神秘の星パンドラ、元海兵隊員のジェイク伍長は森の民となり妻と4人の子供と平和に暮らしている、しかし人類が再びパンドラ侵攻を開始、裏切り者とされたジェイク一家は海の民が住む辺境の島まで逃げ延び、そこで一時の平安な時を過ごす、人類は捕鯨会社の船を接収、ジェイク一家のいる島に迫る、ジェイクと海の民は人類との戦いに突入する、



こちらも192分と長尺、全編ほぼCG、人類とは違う姿形のパンドラの民はどうして撮影したんだろう?と思える精密な動きと表情なのだが・・・結局はずっとCGを見せられると、どうしても慣れてしまいます、1作目のようなCG技術のすばらしさに息を飲む、という事が無いのが実際の感想、中盤の1時間程はCGの素晴らしさを見せつけるためのシーンの連続、ちょっと退屈、終盤の1時間でやっと物語が動き、アクションシーンになる頃にはパンドラの民の顔も見分けられるようになり楽しめましたが・・・

ここまでCGが多いと逆に実写部分が新鮮で魅力的に見えるという事実を確認、という皮肉な結果に、映画はやはり実写がメイン、そこにCGが加わる事での視覚効果を楽しむのが本道と再確認しました、




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2024年03月04日

先週は5本、「落下の解剖学」「山の郵便配達」「ザ クリエイター」「夜が明けるまで」「とらわれて夏」

〇(スクリーンで鑑賞)「落下の解剖学」
(★★★★☆)(2023年フランス)(原題:Anatomie d'une chute)
雪山の1軒屋で夫が転落死、妻に疑惑が掛かる、目撃者は視覚障害のある男の子

03落下の解剖学

人気作家のサンドラ、夫と視覚障害のある息子ダニエルと3人で暮らしている、ある日、ダニエルが散歩から戻ると、父親が家の前で血を流して倒れている、悲鳴を聞いたサンドラも家から飛び出し夫の容態を確認するが、すでに事切れていた、事故か自殺か他殺か?夫は死ぬ前に打撲傷を受けており、さらにサンドラと夫が前日に言い争いをしていたことが判明、サンドラは殺人罪で起訴される、果たして真実は何処にあるのか?



冒頭から速いテンポで事件発生、素早い展開で起訴、裁判が始まってからは検事と弁護士の丁々発止のせめぎ合い、ここからが長いです、全編152分、個人的にはもう少し短くしてほしかったけど、退屈はしません、判決の行方もさることながら、最後まで分からない真相、どんでん返しがあるのではないかとハラハラさせられます、

フランスの裁判、日本とはずいぶん趣が違います、陪審員あり、証拠並べはあるのですが、主に陪審員の心証を獲得するための弁論・ディベートがメインな印象、被告は毎日家に帰り(これは異例のようですが)、子供とも普通に接触できる(最後だけは隔離されましたが)という自由さ加減、

日本の被告に対する扱いは、世界に類を見ない厳しさ、拘置所に何か月も留置する捜査手法はぜひ見直すべきだと思います、冤罪の温床、

視覚障害の息子が連れている盲導犬が重要な役割を担います、こちらもハラハラしましたが無事です、はい、ヨカッタ^^)

原題の直訳は「秋の解剖学」??事件は冬?夫婦の季節の事か?不明、



◆(自宅で鑑賞)「山の郵便配達」
(★★★★☆)(1999年中国)(原題:那山 那人 那狗)
山深い村々に郵便物を届け続ける父と息子の愛情物語

03山の郵便配達

中国湖南省、父親は長年、山間部の村々に数日間掛けて郵便を届ける仕事をしていたが引退を決意、息子がその仕事を継いでくれることになったのは望外の喜び、息子が一人で初配達の旅に出かける日の朝、配達の相棒である案内犬“次男坊”が息子に着いていこうとしない、困った父親は息子と2人で最後の郵便配達の旅に出ることにする、



いくつかの村を巡る2泊3日の郵便配達の旅、そんなに急峻な山を登るわけではなく、その風景はどこか日本の里山とも似ているように感じます、父親はぶっきらぼうに配達の要領や、村人の境遇、付き合い方を息子に伝授していきます、そしてなにより、人々にとって大切な郵便物を運ぶ仕事の大切さと尊さを伝えます、そして、それに応える息子、

次の配達に息子が一人で出発します、そして、犬の“次男坊”もその後を追います、目を細めてみる見送る父親、、、とても誠実な物語、事件は起こりません、必見です、



(★★★!☆)(2023年米国)(原題:The Creator)
人類とAIが対立する未来、AIが作り出した最終兵器とは?

03クリエイター

2075年、進化したAIがロスアンゼルスで核爆発を起こす、米国ではAIを敵とみなし闘いに突入、一方、ニューアジアでは人類とAIが共存する社会を目指していた、そんな中、AIが究極の最終兵器を開発したとの情報をもとに、ニューアジアの拠点を米軍が急襲、潜入捜査をしていたジョシュア軍曹は辛くも助かるが妻は死亡、最終兵器の在り処を突き止めた米軍はジョシュアに兵器の処分を命じる、



最近は2部作、3部作とシリーズ化する傾向がありますが、本作は外連味なくスピーディーな展開、たぶん2作分くらいの濃い内容がギュッと詰まった面白い物語に仕上がっています、期待値以上の出来栄え、

AIの敵対化は「ターミネーター」以来の頻出テーマですが、そこもまた一捻り、二捻りあり最後まで楽しめます、最終兵器も子供の姿をしているというのもまずまず成功、

架空の国“ニューアジア”の地図が映し出されますが、中国大陸や東南アジア、そして日本もこの国に含まれているようです、劇中で日本語文字や東京らしき風景も出て来ます、なんとなく悪者扱いかと思いきや、どちらかというと平和を愛する国と民という描き方、多様性を意識した民主党的映画です、トランプはこんな映画を認めないだろうな^^)



◆(自宅で鑑賞)「夜が明けるまで」
(★★★☆☆)(2017年米国)(原題:Our Souls at Night)
老いた男女のラブロマンス、そして人生の仕舞い方探し

02夜が明けるまで

妻と死に別れ一人暮らしのルイス、妻の死をうまく受け入れられていない、そこに近所に住む女性アディが訪ねてくる、アディはルイスにある提案をする、それは『2人でベッドで朝まで過ごしたい』というものだった、それはセックスを伴わない行為だという、困惑するルイス、だがアディの提案を受け入れて、夜を共に過ごすことにする、、、



往年の名優、ロバート・レッドフォードとジェーン・ホンダの共演、懐かしさと居心地の悪さが相まって妙な気分で鑑賞、でも観後感は良かった、ほッ、

アディも夫と死別、朝まで一人ベッドで過ごすことが苦痛、そこで近所のルイスに奇妙な提案を持ち掛けた、もちろん好意も持ってはいるが、セックスは無し、最初は会話も弾まない、そりゃそうだ^^)でも、徐々にお互いの心の底の本音をさらすことで2人は親密な関係になっていきます、隠れるように付き合っていた2人が堂々と腕を組んで街を歩くシーンは楽しそう、

ルイスには娘、アディには息子と孫がいる、彼らとの関係もぎくしゃく、それでも心を開くことで人生の着地点が見えてきます、地味ですが良心的な映画、



◆(自宅で鑑賞)「とらわれて夏」
(★★★!☆)(2013年米国)(原題:Labor Day)
偶然街で知り合った脱獄犯が母と少年がいる家に入り込む、が、愛情物語です

03とらわれて夏

米国東部の小さな街、母アデルは13歳の息子ヘンリーと2人暮らし、ある日スーパーの駐車場でフランクが強引に車に乗り込んで来る、フランクは傷を負った脱獄犯で、危害は加えないから1日だけ家にかくまってくれと迫る、恐怖におののきながらアデルは家にフランクを入れる、ここから3人の奇妙な数日間が始まる・・・



脱獄犯との共同生活モノ、というジャンルがあるのかどうか知りませんが、そういうスタイルを取りながら、実際は13歳の少年の視点で見た、世の中や大人の不条理、男と女の性を描いた愛情物語です、

妻殺しの罪で服役していたフランクですが、それには事情アリ、フランクは紳士的にアデルに接し、息子ヘンリーには父親的影響を与えます、1日で出ていく約束を違えもう1日もう1日と過ぎる日を3人はそれなりに楽しみます、フランクとアデルは男女の関係になり、それを察知するヘンリーもまたフランクを慕っています、

犯人に好意を抱く“ストックホルム症候群”を超えて、3人は結ばれ、逃避行に出ようとしますが・・・

観後感が良いです、原作は女流作家の小説のようです、如何にもな感じ、原題は米国の休日「労働者の日」の事、9月の第1月曜日、





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2024年02月26日

先週は4本、「夜明けのすべて」「劇場版ハイキュー!!」「アンダーワールド2」「アンダーワールド/ビギニング」

〇(スクリーンで鑑賞)「夜明けのすべて」
(★★★★☆)(2024年日本)
PMSとパニック障害を持つ2人が普通に生きていくために必要なモノとは

02夜明けのすべて

普段は優しくておとなしい印象の藤沢さんが急に怒り出す、イライラを抑えきれなくなり職場で揉め事を起こし退職してしまう、PMS(月経前症候群)の発作で気持が抑えられなくなるのだ、そんな藤沢さんの疾患を新しい職場の仲間は理解してくれている、そこにやって来た新人の山添くん、職場の空気に馴染めず、元の会社に戻りたがっている、山添くんのやる気のなさにイライラが募る藤沢さんだったが、あることがきっかけで山添くんもまた心の病を抱えていることを知る、



主人公の2人、PMSとパニック障害という疾患を抱えています、一旦発作が出ると周りに迷惑をかけ、自分自身への嫌悪感が生まれ、もがき苦しむことになります、普段は優しく振舞っているだけに、発作を起こした藤沢さんを観ていてこちらも苦しくなります、パニック障害は知っていたけど、PMSは詳しく知りませんでした、

そんな2人が、ふとした出来事から、お互いの疾患を理解し助け合うことになります、決して恋人関係ではない、ただ、互いの苦しみが理解できるから、互いに助けたいと願う、苦しむ人を助けることで自らも救われているのかもしれません、

2人が勤める小さな精密機械会社、ユルい仕事振りに最初は違和感を覚えますが、物語が進むにつれて、それもまた2人に対する会社の理解があればこそであると分かると納得がいきます、この会社の製品の一つにプラネタリウムがあります、物語の終盤、プラネタリウムを見ながら藤沢さんが朗読する一文にこの物語への想いが込められています、泣けた、

大きな事件は起こりませんが、映画的サスペンスはあります、原作と監督の化学反応の産物、ぜひ鑑賞を!


(★★★!☆)(2024年日本)(原題:Dumb Money)
人気コミックの映画化、春の高校バレー「烏野高校」vs「音駒高校」の一戦

02ハイキュー

春高バレー3回戦、超攻撃的な烏野高校と繋ぐバレーの音駒高校の闘い、両チームの要、翔陽と研磨はバレーボールを通して互いに高め合う間柄、研磨はその深い洞察力でチームをけん引、翔陽のチカラを封じ込めることに成功、第1セット奪う、瀬戸際に追い込まれた烏野高校だが、ここから壮絶で爽快な両校の闘いが始まる、



もちろん原作コミックは読んでいません、最近のコミックからの映画化作品はそれなりに映画鑑賞者への配慮があり、映画単体でも楽しめる工夫が施されていますが、本作品は・・・細かな所はよく分からな~い!!主人公同士の闘いではなく、両リーム全員の闘いな訳ですが、そのチーム全員にしっかりキャラが割り振られています、そして映画の中でも各人のキャラは全開、一言のセリフにもなにやらギャグや伏線が練り込まれています、おそらく、ここが原作コミックの面白いところ、ここを説明的にしたり端折ったりするとアイデンティティを失ってしまうのでしょう、

そんな映画鑑賞者お構いなしの展開も、慣れてくると楽しめます、第2セット以降はスクリーンに集中しました^^)あのキャラクターはどう?あのセリフの意味は?と、深く考え追及するつもりはありません、そのままを楽しむ、観たままを受け入れる、で、それなりに楽しい映画、これで良し!



(★★★!☆)(2006年米国)(原題:Underworld: Evolution)
シリーズ2作目、吸血鬼族と狼男族の闘い、混血種が初登場?

02アンダーワールド2

ヴァンパイア族最強の戦士セリーンは反逆行為で一族から追われる羽目に、狼男族(ライカン)との混血種マイケルと行動を共にする、バンパイア族の復興を目指す兄弟や一族の最強長老ビクターも復活、闘いの中でマイケルは命を落とし、セリーンは一人ビクターとの対決に挑む、



シリーズ5作目から4作目、そして2作目へと遡っています、物語は一応繋がっていますが、シチュエーションは様々、今作は主にパンパイア族の内紛がテーマになっています、本編ほぼ全部がアクションシーンなので休日のお気楽視聴にピッタリ、今回のライカンは単純獣系で弱っちいです、

セリーン役のケイト・ベッキンセイルがどんどん若返っていきます、当たり前か^^)



(★★★!☆)(2009年米国)(原題:Underworld: Rise of the Lycans)
吸血鬼族と狼男族の闘いを描くシリーズ第3作ですが、物語は一番古い話

02アンダーワールドビギン

世界を支配していたヴァンパイア族、外の世界には獣姿のライカン族が徘徊、襲撃を繰り返していた、ヴァンパイア族の女戦士ソーニャは先頭に立って戦うが、奴隷となった新種ライカンの男ルシアンと愛を交わす、ヴァンパイア族の圧政に立ち向かうためルシアンは脱獄、両族の壮絶な戦いが始まる、



ヴァンパイア族とライカン族の闘いの因縁の発端を時代を遡って描きます、この時代、ライカンはまだ獣に変身したら人間に戻れない原始的な狼男、しかし新種のルシアンは強くて理性も持っています、その進化を恐れたヴァンパイア族がライカンを虐待します、今作ではヴァンパイア族の闇の部分が描かれています、

ま、吸血鬼なんで闇は当たり前か^^)

今作にはケイト・ベッキンセイルのセリーンは登場しません、彼女が生まれる前の物語、残念^^)

で、最後のシリーズ第1作「アンダーワールド」(2003年)が残ったのですが・・・残念ながら、この作品は現在サブスク・有料でも視聴できないようです、視聴可能になったら観ます、




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2024年02月13日

先週は4本、「ジャンヌ・デュ・バリー 国王最期の愛人」「ひとくず」「バッドランズ ハンターズ」「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2023」

(★★★!☆)(2023年フランス)(原題:Jeanne du Barry)
貧しい庶民から国王に最も愛された公妾になり上がった女性の物語、フランス版大奥絵巻

02ジャンヌデュ

18世紀のフランス、庶民の私生児として生まれたジャンヌはその美貌と才覚で貴族社会に入り込み、男たちを虜にしていく、国王ルイ15世は政治に関心がなく愛人にばかり気を取られていた、引き合わされたジャンヌを見て国王は恋に落ち、ジャンヌを宮殿に迎え入れ公妾(こうしょう:側室制度が許されなかったため出来た宮廷の公式制度)とした、身分が低いジャンヌを疎ましく思う国王の娘たちや、王太子妃のマリー・アントワネットから嫌がらせを受けるが、ジャンヌは最後まで国王への愛を貫く、



ジャンヌの事は知りませんでしたが、比較的冷静に時系列に事実を追っていきます、なので少々盛り上がりに欠ける部分はありますが、衣装、美術、・小物などには見るべきものはあります、

フランス王朝も安定していた時期であり、ルイ15世は治世に興味がなく、また最初の夫人と息子を早くに病気で亡くしたこともあり、愛人と跡継ぎであるその子供たちが最大の関心事だったようです、ジャンヌは成り上がりモノではありますが、心根はまっすぐで機知に富んでおり、奇抜なデザインのドレスを着たり、男装で馬に乗ったり、人前で国王と手を繋ぐなど、庶民出身の出自を恥じることなく、当時の貴族社会の常識を打ち破る行動し痛快です、のちにフランス革命で処刑されるマリー アントワネットとの対比が面白い、

ルイ15世をジョニー デップが演じます、この人は見る度に新しい顔を見せてくれます、今回もその例にもれず、

「フランス版大奥」を観るように気楽に鑑賞してください、



◆(自宅で鑑賞)「ひとくず」
(★★★★☆)(2019年日本)
ドメスティックバイオレンスを乗り越えようとする男と女と娘の哀しい物語

02ひとくずkai

空き巣稼業の金田、ある日空き巣に入った家で暗闇に一人隠れる少女鞠を見つける、部屋の状況からDV被害を受けていると悟った金田は部屋を綺麗に掃除し、真理を連れ出し、食事をさせ、銭湯にも入れてやる、再び鞠を訪ねた金田は母親とその愛人の男と鉢合わせ、乱闘となり金田は男を殺害してしまう、そこから金田・鞠・母親の3人の奇妙な生活が始まる、、、



分かっていながら娘に手を出す母親、意味もなく危害を加える愛人の男、そして金田自身も幼い時のトラウマを抱えている、優しい一面を持ちながらも社会的には不適合者の振る舞いが止まらない金田、娘の愛し方が分からない母、ひたすら耐えながら母親を慕う娘、DV被害者がDVを繰り返す負の連鎖が悲しくてやりきれません、

主演の上西雄大が監督・脚本も担当、巧みな物語構成で時折爆発する金田の狂気と優しさを上手にまとめ上げています、低予算でも良い映画が作れるというお手本、ぜひの鑑賞をお勧めします、


(★★★☆☆)(2024年韓国)(原題:Badland Hunters)
世界崩壊後、狂気の実験体にされる少女を救出する無敵の男

02バッドランド

突如襲った大地震で世界は崩壊、生き残った人たちはわずかな水と食料を追い求めている、そんな村に崩れずに残ったマンションを拠点に安全な水を再生産することに成功した一団が現れ、子どもたちを優先的にマンションに引き取ると誘う、村のリーダー ナムサンの知り合いの少女スナもマンションに引き取られる、しかし、そのマンションでは奇妙な事態が続出、スナに危険が迫っていると察知したナムサンらはスナ救出に向かう、



ゾンビモノに「マッドマックス」をトッピングしたような世界観、狂気の科学者が娘を救うために研究開発した技術が強靭な肉体を持つゾンビを生み出します、それに対抗するのは、ご存じマ ドンソク演じる無敵無双の男ナムサン、ゾンビとナムサンのアクションシーンはそれなりに見応えあり、日本映画ではここまで撮り切れない、が、ゾンビを生み出す物語がちと薄弱でリアリティがない、韓国の悪役は日本人的感覚からするとどうも軽いというかコメディに見えてしますキャスチングが良くあります、今作もそこがちょっと、、、

休日のお気楽鑑賞なら大丈夫です、



(★★★★☆)(2023年日本)
ご存じ、サザンオールスターズ茅ヶ崎凱旋ライブの模様を満喫、

02サザン

最近はライブや舞台の映像も映画館で上映されることが多くなりました、これもまた新しい文化のような気がします、

今作は2023年9月27日から4日間、茅ケ崎で行われた野外ライブ「サザンオールスターズ茅ヶ崎ライブ2023」を映像化、冒頭の洒落たオープニング映像や、英語スーパー、曲名紹介スーパー無しなど、それなりの作品性を重視した1本になっています、

もちろん、メインはサザンのステージ、ファンでなくても見ごたえ充分、ファンなら何度でも繰り返し観たいステージではないでしょうか、

サザンは1978年デビュー以来、45年間、常に日本のミュージックシーンのトップ集団にいる稀有な存在、近田春夫さんだったかな?もっとも長くヒットを飛ばし続け、影響力のあるアーティストは「サザンと中島みゆきだ」と書いておられたような気がします、なるほど、凄いバンドです、

ちなみに、ワタシは桑田クンと同い年、まだまだできる!!と勇気をもらいました^^)
ぜひの鑑賞をお勧めします、




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2024年02月05日

先週も5本、「哀れなるものたち」「僕らの世界が交わるまで」「雪山の絆」「スターリングラード」「ネメシス 黄金螺旋の謎」

〇(スクリーンで鑑賞)「哀れなるものたち」
(★★★?☆)(2023年英国)(原題:Poor Things)
赤ん坊の脳を持つ女性の成長物語?なのだが、グロ・エロ満載、鑑賞注意^^)

02哀れなる

天才外科医師ゴッドにより、母親の身体に赤ん坊の脳を移植され誕生したベラ、ゴッドの屋敷内で日々成長し、徐々に自我を持つようになる、外の世界を観たいという願望から遊び人ダンカンと大陸横断旅行へ飛び出す、現実を見て少しずつ世界を理解し始めるベラだが天真爛漫そのもので周りを振り回し、遊びのつもりだったダンカンさえ虜にしてしまう、しかし、成長し旅を終え帰ってくるベラを最も厳しい試練が待ち受けていた、、、



継ぎ接ぎだらけの天才外科医、脳を移植された美しい女性、今の世界とは違うゴージャスでアーティスティックな別世界の物語だが、子供の目線で見ると疑問と矛盾だらけのこの世界、そして成長し理想を目指すベラ、、、と、ここまでならなんとかついていけるのですが、、、

原作小説があるそうですが(未読)、その小説の世界観なのか?とにかくえげつない映画です、前半グロ満載、中盤エロ満開、21世紀に観た映画では最多!ファックシーンの連続、エマ・ストーンもよくぞ出演引き受けましたね、という感じ、終盤にようやく人間らしい感情が溢れるシーンがありホッとしたのもつかの間、またもや不快感満載の展開に、ラストも個人的には不快、とにかく観後感・後味が悪いのでもう仕方ない、衣装やら美術やらメイクやら、エエとこ全部合わせても間に合いません、

稀代の名作か?クソ映画か?そんなメーターがあるとすれば、ややクソ映画にメーターは振れました、覚悟して鑑賞しましょう、



〇(スクリーンで鑑賞)「僕らの世界が交わるまで」
(★★★★☆)(2022年米国)(原題:When You Finish Saving the World)
愛しているのに理解できない、母と息子の世界が交わるまでの物語

02僕らの世界

DV被害者を収容するシェルターの責任者エブリン、高潔な理想と志を持って施設を運営している、息子のジギーは自作曲のネット配信で小遣いを稼ぐのに夢中、お互いに相手のことが理解できずに、すれ違い、喧嘩に明け暮れる毎日、そんな時、ジギーは世界の政治に関心のある同級生ライラに魅かれる、彼女に取り入ろうとエブリンに政治的な話をするためのコツを聞くと、上面だけの薄っぺらな考えを一括され、またもや喧嘩に、一方、エブリンも施設に逃げてきた青年に好意を持ち、彼の大学進学に情熱を燃やすが、行き過ぎた思い入れは空回り、2人はやっと自分の大切なものを見失っていたことに気付く、



驚くような大きな事件は起こりません、高潔で清らかな良心を持っていると自負している母親、自ら突き進む道が正しいと確信している息子、お互いに相手の欠点ばかりを見て、それ以上踏み込むことが出来ない2人、それぞれが想いを寄せる相手はお互いを投影したダミーのようにも見えます、

88分という長さもちょうど良い、突然訪れるラストシーンも余韻があって良い、という意見もあると思いますが、ワタシ的にはもう1カット、あと10秒でいいから2人の次のアクションが観たかった、というのは欲張り過ぎなのか、監督の意図を尊重しましょう、

エマ・ストーンが製作に参加、製作者としての才能もあるんだ、



◆(自宅で鑑賞)「雪山の絆」
(★★★★☆)(2023年スペイン・アメリカ・ウルグアイ・チリ合作)
(原題:La sociedad de la nieve)
アンデス山中に墜落した旅客機の乗客たちの壮絶なサバイバル劇、実話、

02雪上の絆

1972年、ラグビーチームの選手たちを乗せた旅客機が雪のアンデス山中に墜落、雪上を滑走したため墜落時45名中29名が生存、過酷な環境の中、救援を信じて待ち続けるが、一人また一人と命を落としていく、墜落現場は雪崩にも襲われ、食料も尽き果て、生き残った者は生存を掛けた究極の選択を迫られる、、、



この航空機事故は“アンデスの奇跡”と呼ばれ、結果的には72日後に16人が生還しています、雪山で72日間生き延びるのは本当に難しい、乗客がラグビーチームだったことが団結と冷静な判断を生み出した一因、にしても食料が尽きてからの生存への究極の判断は重い、、、

無線機やバッテリーの修理チャレンジ、寝袋の制作などなど、よくぞここまで頑張れたものだと感服、最後は救助を待つのをあきらめ、2人が徒歩で延々と続くアンデス山脈を越えて助けを求めることになりますが、、、

結果が分かっていてもサスペンスが続き集中して観れます、そして泣けます、

(★★★!☆)(1993年米国・ドイツ合作)(原題:Stalingrad)
独ソ戦最大の市街戦スターリングラードでの悲惨な戦闘とその後

02スターリングラード

1942年、ナチス・ドイツは戦略上の要衝スターリングラード攻略のためアフリカ戦線で活躍した工兵大隊を投入、簡単に勝利すると思われたが、初日の戦闘で大隊の8割が戦死、ハンスの小隊は敵に包囲され、戦線からの脱出を試み司令部に応援を求めるが、逆に脱走兵として処罰され過酷な任務に回される、そこからハンスの小隊の悲劇が続く、



俯瞰的な戦史映画ではなく、一個の小隊が辿る運命を追いながら戦争の悲惨さを訴える、反戦的な意味合いが強い物語でした、新任の小隊長ハンスは真面目な一市民、非人道的な捕虜の扱いへの抗議や敵兵との交流など、人間的な一面を見せましすが、ナチスはそんな彼を一刀両断、ハンスの小隊は次々と過酷な戦線に送られ隊員は次々と戦死、ついにはハンスも、、、

どんな戦争でも、どこの国の軍隊でも、死んでいくのは無名の兵士と市民、スターリングラードの戦いではドイツ枢軸軍85万人、ソ連軍120万人、市民20万人が死傷、捕虜になったドイツ兵30万人のうち生きて母国に帰ることが出来たのは6000人程度と言われています、人の命が軽すぎます、ワインを飲みながら戦略を練るナチスの高級参謀・将軍たちの愚かさに憤りを感じます、ささやかな人間らしさも結局は散っていく、やはり戦争はしたらアキマセン、ラストシーンが哀しいです、



(★★☆☆☆)(2023年日本)
TVドラマ「ネメシス」の映画化、複雑すぎて理解不能な物語

02ネメシス

探偵事務所「ネメシス」の美神アンナは世界初の遺伝子操作ベイビー、その情報を狙う謎の組織が現れ、アンナは周辺の人物が次々に殺されていく悪夢に悩まされる、そんな時、アンナの前に「窓」と名乗る人物が現れ情報提供を求めるが、組織に殺害されてしまう、、、



と、まあそんな話の様でしたが、夢と現実が何度も行き来する複雑な構成、の割に探偵モノでもないし、タイトルの謎は謎以前のレベルでサスペンスらしきものもない、妙に大掛かりな機械が出て来て他人の夢を操作するという、なにやら観たことがあるようなアイデアもピンと来ず、途中で理解するのをあきらめました、

広瀬すずも華が無かったなあ、残念、観なくても大丈夫です、




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2024年01月29日

先週は5本、「グッドウィルハンティング」「アウトフィット」「ゴールデンカムイ」「リフト」「北の桜守」

(★★★★!)(1997年米国)(原題:Good Will Hunting)
清掃係が難解な数式を解いてしまったことから始まる物語

01グッドウィル

MIT(マサチューセッツ工科大学)でアルバイトの清掃係をしているウィル、高名な数学教授が学生に出題した難解な数式を見事に解いて見せる、教授はその解答を書いた学生探しに奔走、ウイルは少年時代から不遇な生活を送っており、不良仲間と遊び惚けている毎日、ついに暴行罪で保護観察処分になる、そんなウィルが解答者だと知った教授はウィルの保護観察官となって引き取り、数学の勉強をするように勧めるが、ウィルはいう相変わらず奔放な生活を続ける、、、



神は時にとんでもない天賦の才を与えるものです、ウィルの才能は半端なく、高名な教授など足元にも及ばない天才頭脳、しかし、少年時代のトラウマから人に心を開くことが出来ず、自分が何者かになるという発想もなく、ひたすら日々を無為に過ごします、何人ものカウンセラーがウィルの治療に匙を投げる中、最後のカウンセラーがウィルの心の闇に気付きなんとか心を開かせようとしますが、それは苦難の道、ついには彼もウィルと決別、最後にウィルの心を開かせるきっかけを作るのは意外にも・・・

海外では数学映画がとてもよく作られます、それだけ知的好奇心を刺激する題材なのでしょう、本作は天才学者の活躍エピソードではなく、過去のトラウマに悩む青年の物語、彼たまたまが天才だっただけ、ウィルは恋人にも心を開いたことが出来ず、生涯自分の殻に閉じこもって生きていくしかないと考えているようです、与えられた才能が花開くことなく消えていきそうになるのが歯がゆいです、

27年前のベン・アフレックとマット・デイモンが脚本を担当、天賦の才はここにもありました、傑作です、必見、



◆(自宅で鑑賞)「アウトフィット」
(★★★★☆)(2022年米国)(原題:The Outfit)
シカゴの洋服仕立て屋で起こるギャングにまつわる一夜の事件

01アウトフィット

1956年シカゴ、ロンドンからの移民レオナルド、受付のマーブルと2人で洋服の仕立屋を切り盛りしている、店にはギャングが出入りしている、恩義のあるボスの資金洗浄に一役を買っているのだ、ある夜、ボスの息子リッチーが用心棒のフランシスと共に転がり込んでくる、リッチーは銃で撃たれ負傷している、組織の内部情報が洩れスパイを突き止める証拠を巡っての争いだ、いったい誰がスパイなのか?疑心暗鬼の中、リッチーとフランシスの争いになり、フランシスはやむなくリッチーを射殺、組織のボスが店に来るまでに死体を処理しなければならない事態に陥る、



店の外観が少し映りますが、それ以外はカメラは店の外に出ません、舞台劇のように狭い空間で、ややこしい物語が進行します、死体が一つ、仕立屋、受付嬢、用心棒、ボスと手下、さらには敵組織の3人、緊張の連続、巧みな話術で危機を次々に切り抜けるレオナルドとフランシス、しかし、この事件の裏にはアッと驚くからくりが隠されていました、

面白かったです、あっという間の105分、逆転に次ぐ逆転、全員が一癖も二癖もある、レオナルドも受付嬢も、、、なんとか危機を切り抜けたと思われたレオナルドですが、最後にまだ、、、これも必見です、



〇(スクリーンで鑑賞)「ゴールデンカムイ」
(★★★!☆)(2024年日本)
明治時代の北海道、アイヌの黄金伝説を巡って悪党たちが群がる

01ゴールデンカムイ

日露戦争で活躍した不死身の杉本、旅の途中で聞いたアイヌの黄金伝説を信じてはいない、山中でクマに襲われたところをアイヌの少女アシリバに助けられる、黄金伝説の話をするとアシリバの父親もその黄金のせいで殺されたという、さらに帝国陸軍精鋭部隊も黄金を追っていることが判明、杉本とアシリバも争奪戦に参戦することに、黄金の在り処は網走刑務所から脱走した囚人の身体に掘られた入れ墨、情報を求めて小樽に入った2人は帝国陸軍との戦いに巻き込まれる、



黄金争奪戦という分かりやすい状況、コミック原作らしく、キャラが立っていてなかなか面白いし、それなりにしっかり作っている感じはしますが、3部作になるのかな?本作はまず状況説明+杉本vs帝国陸軍まで、で130分、途中少し間延びしました、

アクションも「キングダム」のほうが好きかな、2時間で物語の結末まで行くくらいのスピード感が欲しいところだが、興行的には難しいか、ま、観て損はないので覗いてみてはいかがでしょうか、


◆(自宅で鑑賞)「Lift リフト」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Lift)
不可能を可能にする窃盗チームの新たなるミッションは金塊強奪

01リフト

サイラス率いるそれぞれ特技を持つ5人の窃盗チーム、宿敵のインターポール捜査官アビーの目の前で名画を盗み溜飲を下げる、サイラス検挙を目指すアビーに、上層部からサイラスを利用してより大きな悪の組織を壊滅させるよう指示が来る、やむなくアビーはサイラスと手を組み共同ミッションに参加する、奪うのは武器商人が利益を得るために用意した5億ドルの金塊、飛行機で運ばれるこの金塊をサイラスとアビーは強奪することができるのか、



たぶんシリーズ2作目、1作目で偶然出会ったサイラスとアビーは身分を隠したまま、一時恋仲になった、その2人が立場を超えてミッションに挑むというのがミソ、軽いタッチながらテンポよく世界を駆け回り、大掛かりなトリックで金塊強奪に挑む、タイトルの意味はラストを観ると分かります、

前作同様、ラストにはさらなるどんでん返しのトリックも用意されていますのでお楽しみに、



◆(自宅で鑑賞)「北の桜守」
(★★!☆☆)(2018年日本)
樺太からの引揚者が懸命に生き抜いた戦後

01北の桜守

ソ連軍の参戦により夫と樺太で生き別れ、2人の息子を連れて命からがら北海道に逃げ延びたテツ、今は一人老後の生活、夫の帰りを待ちわびている、ビジネスマンとして成功した次男の修二郎は札幌に外食店舗を開業、長年疎遠になっていたテツを訪ねる、テツはゆっくりと老いの世界に入っていた、、、



樺太からの引き揚げの惨状、戦後の苦しい生活、息子の出世、息子と嫁の葛藤とあれこれ詰め込み過ぎた感あり、樺太、戦後の国内、現代の札幌とシーンは行き来しながらテツが大切にしてきた桜にフォーカスが合っていく、という段取りなのですが、合間になぜか舞台劇が入りますが、これが良くない、物語がぶつ切りになるわ、物語への没入感がなくなるわで、いったいどんな効果を狙ったのか?まったく理解できませんでした、

現代パートの息子夫婦の物語も成功しているとは思えない、引き揚げと戦後の苦労にフォーカスしたほうが良かったかも、コスチュームもリアル感なく残念、

小百合さんが認知症役を演じたことは好感、こういう役をこなすのが俳優ですよね、





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2024年01月22日

先週も4本、「あの花が咲く丘で、君とまた会えたら。」「カラオケ行こ!」「レザボア・ドッグス」「真夜中の虹」

(★★★★☆)(2023年日本)
女子高生が昭和20年6月の日本にタイムスリップ、特攻隊員と恋に落ちる

01あの花の

高校3年生の百合、進路をめぐって教師や母親とうまくいかず、家を飛び出し街はずれの防空壕跡に迷い込み眠り込んでしまう、眼が覚めるとそこは昭和20年6月の日本だった、訳の分からぬまま彷徨う百合を特攻隊員の彰が助け、陸軍御用達の食堂の女将ツルに預ける、戦況が刻々と悪化する中、懸命に生きる市井の人々を見て百合は戦争の虚しさと命の大切さを知る、そしてついに彰にも出撃命令が下る、、、



タイトルやキャスティングから甘い恋物語かと思いきや、硬派な反戦メッセージ色が強い映画でした、戦闘シーンや航空機の表現にリアリティにかけるパーツもありますが、そもそも戦争映画ではないと考えると納得のいく範囲です、

百合が現代に戻ってきてからの映画的レトリックがよく効いています、エンドロールが終わってもすぐに立つ観客はほとんどいません、みんな泣いています、観客のほとんどが10~20代、彼ら若い世代に若い俳優のセリフで戦争の虚しさと命の大切さを伝える、この方法論が有効であることが証明されたような気がします、ぜひの鑑賞を!


〇(スクリーンで鑑賞)「カラオケ行こ!」
(★★★★☆)(2024年日本)
合唱部の高校生とやくざとのカラオケ交流!?

01カラオケ

中学合唱部長の聡美、聡美は変声期を迎えていてコンクールに出るかどうかで悩んでいる、ある日、見知らぬ男狂児にカラオケに連れ込まれる、狂児は地元のしがないやくざで聡美が合唱部だと知りカラオケを教えてほしいと頼み込む、あっけにとられる聡美だが、どうも狂児を憎み切れない、徐々に2人の距離が近くなり奇妙な関係が続くが、ある日、狂児はやくざ仲間からの恨みを買い襲われる、、、



中学生とやくざ、どう考えてもあり得ないシチュエーションですが、主演の2人がその不自然さを感じさせない好演、綾野剛がカラオケで唄いまくるのが、それだけでなんか面白い、中学合唱部内の悩みや揉め事も、みずみずしく微笑ましい、地元やくざの悲哀もある、上手に作られた物語、原作コミックと映画に相乗効果が生まれた好例かな、ラストの映画的レトリックは「パッチギ!」の熱唱を思い出させます、観て損は無し、



(★★★★☆)(1991年米国)(原題:Reservoir Dogs)
犯罪者8人のクライムサスペンス、タランティーノ第1回監督作品

01レザボアドッグス02

大きなヤマのためにボスのもとに集められた7人の男たち、お互いの名前も素性も知らず、仕事が終われば二度と会わない予定だったが、宝石店襲撃現場には警察が待ち伏せており2人が死亡、瀕死の重傷のオレンジを連れてアジトに戻ったホワイトとピンク、内通者がいたと互いに疑心暗鬼になる、ボスと他のメンバーもアジトに現れる、ボスはオレンジが刑事だと告げるがホワイトは承服できない、現場は一触即発の緊迫した状態になる、、、



タランティーノ監督が世に出た第1回監督作品、派手な襲撃シーンや銃撃戦描写は少なく、どちらかというと心理劇と男たちの友情劇、低予算でも面白い映画が作れるという見本、タランティーノも出演していますがあっけなく退場、

冒頭15分ほどの無意味と思える8人の会話、あっけなく死んでしまう男たち、そしてラストは「椿三十郎」のような決闘劇、そしてすべてが失われるという東洋的世界観の結末、タランティーノ独特の語り口が100分間のサスペンスを支えています、デジタルリマスター版でサブスクとスクリーンでリバイバル公開中、


◆(自宅で鑑賞)「真夜中の虹」
(★★★!☆)(1988年フィンランド)(原題:Ariel)
新しい生活を目指す男の失敗と復活

01

鉱山の閉山で職を失ったカスリネンは友人からもらった車で温暖な南を目指す、が、いきなり暴漢に襲われ全財産を奪われる、港湾労働でなんとか喰い繋いでいる時、母子家庭の母親イルメリと知り合い同棲を始める、少しずつ生活が安定するかと思えた時、カスリネンを襲った暴漢と偶然出会い、揉み合いになり警察に誤認逮捕され服役することに、、、



寒々しい風景と淡々とした語り口、なんか「過去のない男」と似たお話だな、と思って観ていたら同じ監督でした、フィンランドを代表する監督でカンヌグランプリ、ベルリン監督賞などを受賞、

北欧映画というのは独特のテイストがあります、夏が短いとこういうカルチャーが生まれるのかな、とか思ってしまいます、ちと暗いけど不思議と観後感は悪くありません、




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2024年01月15日

先週は4本、「PERFECT DAYS」「ゴースト」「BADBOYS FOR LIFE」「僕の歌がきこえたら」

〇(スクリーンで鑑賞)「PERFECT DAYS」
(★★★★★)(2023年日本)
一日一日を丁寧に判で押したような完璧な1日をおくる男、それでも少しずつ人生は動く

01PERFECTDAYS

トイレの清掃員平山、決まった時間に起床、布団をたたみ、歯を磨き、缶コーヒーを飲み、トイレ清掃の仕事をまじめにする、帰宅して銭湯に行き、居酒屋で少し酒を飲み、文庫本を読み、寝る、毎日毎日、判で押したような完璧な生活をする平山だが、まったく同じ1日は無い、仕事の同僚、同僚の彼女、いつもいるOL、踊る老人、スナックのママ、そして現れる親族、平山の生きる作法は変わらない、それでも平山の人生は少しづつ前へ進んでいく、、、



素晴らしい作品です、久しぶりにスクリーンに集中できました、物語が素晴らしいというより、監督が表現したかった思いがひしひしと伝わってきたので圧倒されました、

平山は送るPERFECT DAYS、それでも同じ1日などない、冒頭、平山の判で押したような生活の描写が続きます、20分ほどで平山が発するセリフはほんの少し、平山の行動をきめ細やかに描写することで、彼の人となりがクッキリと見えてきます、変わらぬ毎日を送っているようで、少しずつ変わっていく人生、カセットテープの音楽、寺の境内で見つけた若葉、フィルムカメラで撮る木漏れ日、すべてが少しずつだけど変化していきます、

親族が現れることで、平山の素性にも少し光が当たります、彼がトイレ清掃員をするようになったきっかけは明かされませんが、そこに何かがあることは間違いない、監督は説明など一切しない、平山のあいまいな微笑みだけで、そこにあるなにかを感じさせることに成功しています、役所広司、名演、

市井の穏やかな生活が物語になることをベンダース監督が証明、日本アカデミーの作品賞と主演男優賞、監督賞、この作品で決まりかな、オスカーの外国映画賞も期待できます、


(★★★★☆)(1990年米国)(原題:Ghost)
事故で死んでしまった恋人のゴーストが事故の真相を暴く

01ゴースト

NYで新居を構え幸せの絶頂にいるモリーと銀行員のサムの2人、サムがポロポーズをした夜、2人は暴漢に襲われサムが殺されてしまう、が、サムは成仏できずにモリーの周りを彷徨うことに、サムの同僚のカールが傷心のモリーに接近するが、彼こそが銀行での不正を隠すためにサムを襲わせた黒幕だった、、、



ゴーストと言ってもまったく怖くありません^^)サムは同じ姿カタチでモリーの周りにいますが、サムの声は聞こえないし、サムは物をつかむこともできません、カールの悪事に気付いたサムはなんとかモリーにそのことを伝えようとしますが伝わらないもどかしさ、ところが霊の言葉が聞こえるというインチキ霊媒師が、実はホントの超能力者だったことが分かったことからサムの奮闘が始まります、

細かなところはツッコミどころ満載、でもハリウッドお得意の恋愛コメディ、ではなくて恋愛ファンタジーという新ジャンルで成功、大ヒットを記録した作品です、デミ・ムーアも可愛い、休日のお気楽鑑賞にぜひ、



◆(自宅で鑑賞)「BADBOYS FOR LIFE」
(★★★!☆)(2020年米国)(原題:Bad Boys for Life)
マイアミ市警のはみ出し刑事2人の活躍、久々のシリーズ第3作

01バッドボーイズ

マイアミ市警の敏腕刑事コンビ、マイクとマーカス、マーカスは寄る年波に勝てずそろそろ引退を考えている、そんな時、刑務所から麻薬組織の女が脱獄、するとマイクがいきなり銃撃され重体に、元判事や捜査官なども次々と殺害される、ITを駆使して操作する若手チームが捜査に乗り出すが、快復したマイクもそれに参加、捜査を進めると以前マイクが潜入捜査で暴いた事件の黒幕が浮かび上がる、、、



まだあったんだ、バッドボーイズ、17年ぶりの新作だそうです、そりゃマイクとマーカスも引退を考えるわ^^)

一連の事件がマイクへの復讐というのはすぐに分かりますが、その奥底にある犯人とマイクの因縁はちょっとあざとすぎるような気もします、ウイル・スミスは親子ネタが多いからそれにあやかって出来た物語かな?ま、楽しく鑑賞できるので良いか、第4作の話も出ているようです、ハリウッドネタ切れ問題です、



(★★!☆☆)(2021年韓国)
稀有な音楽才能を持っているのに人前では披露できない青年の成長物語

01僕の歌

借金まみれの音楽プロデューサのミンス、街中で偶然聞いた青年チフンの歌声にほれ込む、世の送り出してやるから一緒にツアーに出ようとチフンを誘うが、子供の頃のトラウマでチフンは人前では歌うことが出来ない、一計を案じたミンスはチフンと共にどさ回りのツアーに出る、



なにかエエ感じの物語かなと思ったら、主演がアイドルグループのボーカル、アイドル映画でした、人前で歌えないというトラウマを克服していく過程が見どころのはずですが、どうもリアリティがない、で、最後は主演歌手のVPみたいな状態に、、、ファンは嬉しいでしょうが、映画としては今一つ、




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2024年01月09日

年末年始は6本、「グランド ブダペスト ホテル」「バベットの晩餐会」「レベルムーン炎の子」「SPY×FAMILY CODE: White」「市子」「パイプライン」

(★★★★☆)(2014年米国)(原題:The Grand Budapest Hotel)
欧州の高級ホテルベルボーイの奇想天外な冒険奇談、オスカー4部門受賞

01ブダペスト

アルプスの麓にある高級ホテル“グランド ブダペスト ホテル”、コンシェルジュのグスタフは常連客に最高のサービスを提供している、新人ベルボーイのゼロは不法就労者、ある日、常連の伯爵夫人がグスタフに家まで送ってほしいと懇願するが、グスタフは丁重に辞退する、その後、自宅で伯爵夫人が亡くなったことを聞き、送っていかなかったことを後悔したグスタフはゼロを供に従え葬儀に出席する、そこで夫人の遺言により傑作絵画「少年と林檎」がグスタフに遺されたことを知る、これに息子ドミトリーが激怒、引き渡しを拒否する、グスタフとゼロが深夜に「少年と林檎」を盗み出した事から2人の奇妙な逃避行が始まる、



架空の高級ホテルから物語は始まります、完璧な仕事をするコンシェルジュと不法就労者のベルボーイの30年余りに渡る友情と冒険奇談、高価な絵画の争奪戦がテーマですが、色彩・衣装デザイン・人物造形とも独特で、奇想天外な空想物語・絵空事だと思いきや、その人物キャラクターが浮かび上がってくると、妙に友情物語にも気持ちが入ってしまいました、これは名作かも、

米国アカデミー賞の美術・衣装デザイン・メイキャップ&スタイリング・作曲の4部門受賞作品、ぜひの鑑賞をお勧めします、



◆(自宅で鑑賞)「バベットの晩餐会」
(★★★★☆)(1987年デンマーク)(原題:Babette's Feast)
質素に暮らす村人たちとパリから逃げ延びてきた女性の心温まる晩餐会、

01バベット

デンマークの辺境の漁村、牧師の娘2人は村人に奉仕することを生きがいに質素につつましく暮らしている、そんな姉妹の家をフランスパリから女性バベットが訪ねてくる、パリコミューンにより資産階級だった夫と家族を殺害され、2人を頼ってきたのである、無給で家政婦として働くこと10数年、姉妹に奉仕し続けたバベットに幸運が舞い込む、宝くじに当たり大金を手に入れる、バベットはそのお金で村人を招いて晩餐会を開きたいという、、、



貧しい漁村、姉妹も村人も全員善人、でも狭い村ではいさかいが無いわけではない、そんな村にやってきたバベットも何も望まず生きていきます、21世紀には無くなってしまった生活風景、これだけで心が癒されます、宝くじで大金を手に入れても予想に反してバベットは村を去ることはなく、大金を投じて村人を招いての晩餐会を開きます、フランス料理に懐疑的だった村人の凝り固まった心もバベットの美味しい料理で徐々にほぐれていき、、、

姉妹の姉に恋心を抱きながら村を去った軍の士官がバベットを村に導きます、奇跡の晩餐会にも士官は出席、バベットの料理を絶賛、いさかいがあった村人たちも温かい気持ちに包まれていきます、ほとんど事件が起きない物語ですがバベットの良心が心にしみこんできます、良質なグルメ映画でもあります、ホントに美味しそうなバベットの晩餐でした、

ぜひ鑑賞してください、第60回米アカデミー賞外国映画賞受賞作品、



(★★★!☆)(2023年日本)(原題:Rebel Moon: Part One - A Child of Fire)
強大な帝国に戦いを挑む戦士たちを描くスペースオペラ

01レベルムーン

辺境の惑星の貧しい農村に帝国の宇宙戦艦が来襲、来季の収穫をすべて帝国に差し出すよう強要し去っていく、従うしかない農民、監視に残った兵士が村の娘を襲ったことから、帝国から追われ村に身を潜めていた若き女性戦士コラが兵士を倒してしまう、帝国と戦う決心をしたコラは伝説の将軍タイタスを味方につけるために宇宙への旅にでる、、、



貧しい農村の収穫を略奪する帝国軍、立ち上がる農民、コラが旅先で出会う戦士たち、もう「七人の侍」へのオマージュ以外のナニモノでもないのは誰が観ても分かります、戦士の数も七人になるのかな?と思って数えていたら、どんどん増える味方の戦士、あれ?七人を超えますけど、あ、この戦士は死んじゃうんだ、とか、こいつは裏切るんだ、とか、あのロボットは戦士の数には入らないのか?とか、ま、あれこれ興味の種はあります、

SWシリーズのオリジナリティにも敬意を払っているのも、クロサワの流れから考えると自然なこと、既視感があるビジュアルデザインが作品の評価を下げているようですが、ワタシはこういうなん好きです^^)パート2も観ます、



〇(スクリーンで鑑賞)「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」
(★★★☆☆)(2023年日本)
普通の家族を演じるスパイと殺し屋の両親、超能力を持つ娘が陰謀に巻き込まれる

01スパイファミリー

父は一流のスパイ、母は凄腕の殺し屋、娘は人の心が読める超能力者、3人は他人だが任務のためにお互いの正体を隠して家族を演じている、娘が学校の調理実習で優勝できるように、有名レストランのデザートを真似るために旅に出る、そこで娘が軍の機密を記録したマイクロフィルムを飲み込んでしまったことから、世界大戦勃発の危機に瀕する!



もちろん原作コミック未読、わりと評判が良いので観ました、まずまずかな、どこかで見たことがあるような作られた家族、スパイと殺し屋は互いの素性を隠すことにアタフタ、家族のままでいたい娘は人の心が読めることを隠している、という設定が巻き起こす大人向けドタバタコメディ、というところ、たしかに映画としては一定のレベルをクリアしたかもしれません、

途中、少しウトウトしてしまったのは、やはりちと退屈な時間があったかからか?大事なマイクロフィルムを飲み込むシーンを見逃してしまいました、失敗、



〇(スクリーンで鑑賞)「市子」
(★★★!☆)(2023年日本)
結婚を決めた翌日に姿を消した市子の行方を追うと、意外な過去が浮かび上がる

01市子

市子は3年間共に暮らした長谷川からプロポーズを受け、心からの喜びを感じる、が翌日、長谷川が家に戻ると、市子の姿はなかった、消息を追う長谷川の前に市子を探す刑事が現れ、市子は存在しない人間だと告げる、わずかな手掛かりを元に市子の故郷を訪ね同級生らに話を聞くうちに、不可解な市子の過去が少しずつほぐれていく、、、



市子の過去自体がこの映画のコア、なのでなかなか記事が書きにくい、刑事が市子を探しているということは、過去にあった事件に市子が関わっているのか?TVから流れてくる豪雨による土砂崩れで発見された白骨死体のニュース、市子ともう一人の少女、察しが付く親切な展開は映画作りとしてはまっとうな姿勢で好感、

唯一の市子の理解者の行く末がちょっと疑問、もう少し救いのある展開があったような気がします、しっかり作られているのに、観後感が良くないのがとても残念、



◆(自宅で鑑賞)「パイプライン」
(★★★☆☆)(2021年韓国)(原題:Pipeline)
パイプラインから石油を盗むプロ集団のドタバタ・コメディサスペンス

01パイプライン

ドリルを扱うとピカ一のピンドリは石油を盗む“盗油”のプロ、大企業オーナーからの盗油計画を持ち掛けられ、溶接工・地下施設・掘削・ITのプロ達と地下パイプラインからの盗油計画を進めるが、様々なトラブルがピンドリたちを襲う、



韓国ではこういう盗油という犯罪が実際にあるのでしょうか?パイプラインに穴をあけて石油を盗んでしまうという荒っぽい犯罪、一括千金を夢見る犯罪者たちだが、ことはそう簡単には進まない、盗油のためのトンネルを掘る5人に、ピンドリを追う警官、仲間たちの仲たがいと裏切り、依頼者の悪だくみとそれなりのサスペンスは仕込まれているのですが、、、

あれやこれやと詰め込みすぎたか、物語はサスペンスをリアリティと引き換えにしてしまい、後半はちょっとまとまりが無くなり、もはやコメディに、韓国映画らしく引っ張りに引っ張りますが、残念ながらサスペンスもなく終了、休日のお気楽鑑賞にでも、






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2023年12月18日

先週は3本、「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」「チャーリーとチョコレート工場」「ナポレオン」

(★★★★!)(2023年米国)(原題:Wonka)
あのウォンカがチョコレート工場を始めるまでの物語、とても素敵なファンタジー

12ウォンか

世界一のチョコレート店を始めるため「チョコレートの街」へやって来た若き魔法使いウォンカ、性悪な下宿屋に欺されて洗濯屋での強制労働をするハメに、それでも仲間のヌードルらと共にチョコレートを作ってたちまち街の評判になる、しかし街を牛耳る「チョコレート組合」は警察を買収してウォンカの評判を落とすため罠を仕掛ける、さらに謎の小さな紳士ウンパルンパもウォンカのチョコレートを狙っている、、、



「チャーリーとチョコレート工場」の前日譚、若きウォンカがチョコレート工場を作るまでのエピソードをミュージカル仕立てで綴っていきます、実はワタシ、ミュージカルが苦手なのですが、、、とても楽しく鑑賞出来ました、

ウォンカは夢を見るような味わいのチョコレートを作ることが出来る魔法使い、なのですが、どうも要領が悪いというか純真すぎるというか、「チョコレート組合」の3悪人や、警察署長、悪徳下宿屋に振り回されます、でも魔法使いですから^^)仲間のヌードルと共にピンチを切り抜け「チョコレート工場」を見事完成させます、ウォンカのチョコレートを狙っている生真面目なウンパルンパの活躍も楽しい、

家族で楽しめる良質なミュージカルファンタジー、ぜひの鑑賞をお奨めします、

(★★★!☆)(2005年米国)(原題:Charlie and the Chocolate Factory)
謎のチョコレート工場と少年チャーリーに舞い込んだ幸運の結末は?

12チャーリー

両親と4人の祖父母とウォンカのチョコレート工場の街で暮らすチャーリー、父親は失職し毎日の食事にも汲々とする生活、ウォンカは突然5人の少年を工場に招待すると発表、招待券はチョコレートの中に隠されている、世界中の子どもたちがその招待券を求めてチョコレートを買い漁る、チャーリー一家にはチョコレートを買う余裕はないが、祖父のなけなしのへそくりで買った1枚のチョコレートの中になんと招待券が!!チャーリーは4人の少年と付き添いと共に工場に招待される、そこは奇想天外な世界が拡がっていた、



児童小説が原作だそうです、なんとも奇想天外な物語が工場内部で起こります、チャーリー以外の4人の少年と付添の親は曲者ばかり、1人だけに与えられるプレゼントを獲得するために、ずる賢く立ち回ろうとするがそれが裏目に、なんともブラックな運命が彼らを待っています、ただひとり、優しくウォンカに接するチャーリーが手に入れたモノとは?そしてウォンカが手に入れるモノは?

独特の世界観とブラックユーモア、ちょっとワタシのセンスではついて行けないパートもあります、ジョニー デップは当り役かな?う~ん、どうなんだろう?前日譚の方がお勧めかな、



〇(スクリーンで鑑賞)「ナポレオン」
(★★★☆☆)(2023年米国)(原題:Napoleon)
一軍人からフランス皇帝まで登り詰めたナポレオンの一生を綴る叙事詩

12ナポレオン

18世紀末、革命で混乱するフランス、砲術を得意とする陸軍中佐のナポレオンは対英国戦での手柄で少将に昇進、以降各地の戦いで連戦連勝、総司令官となる、が遠征中に妻ジョセフィーヌは浮気三昧、前線を放り投げ帰国したナポレオンを議会は糾弾するがナポレオンはクーデターを起こし、ついに皇帝の座に着く、英国との戦いのため欧州同盟作りを図るがオーストリアの裏切りでロシアと開戦、モスクワまで攻め込むが冬将軍が立ちはだかり撤退、ナポレオンの破竹の勢いにも陰りが見え始める、、、



誰もが知っているナポレオン、でもその人柄はたしかに知らなかった、そのナポレオンの人となりも描く大河物語、戦術面での秀でた才能はこれまで知られていた通りですが、今作でのナポレオンは神経質で女性コンプレックスを抱える悩み多き男、連戦連勝の将軍と悩める小心者の対比が狙いだったのか?どうも居心地の悪い観後感、、、

前半戦の戦いぶりは流石、氷原でロシア・オーストリア軍を打ち破る段は息を飲みます、最終戦ワーテルローは案外無策、英国軍の冷静さが際立ちます、と戦闘シーンも観所はあるのですが、、、

エンドロールに出たナポレオンの戦績に書かれたフランス軍兵士の死者数がこの映画の真の意図を示しているような気がします、もっとも多くの敵軍を破ったナポレオンですが、その戦いで死んだフランス軍兵士も膨大な数、結局、もっとも自国軍兵士を死なせた軍人ということでもあるようです、そうならば、この映画の観後感の居心地の悪さも納得できます、

監督の意図は如何に?




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