コンパートメントNO.6

2023年02月20日

先週は3本、三者三様の良作揃い、「コンパートメントNo.6」「少年の君」「非常宣言」

〇(スクリーンで鑑賞)「コンパートメントNo.6」
(★★★★☆)(2021年フィンランド・ロシア・エストニア・ドイツ合作)
(原題:Hytti Nro 6)
独り列車の旅に出た女性の出会いの物語、2021年カンヌ映画祭グランプリ作品

02コンパートメント6

1990年代、フィンランドからモスクワに留学しているラウラは恋人と一緒に世界最北端の駅ムルマンスクからペトログリフ(岩面彫刻)を観に行く計画を立てるが、恋人に直前でキャンセルされる、仕方なく独り乗り込んだ列車のコンパートメントで同室になったのは粗野なロシア人のリョーハ、酒を飲み無礼な態度をとるリョーハ、別のコンパートメントへの移動も叶わず、不愉快な旅は続くのだが、、、



佳作ながら最後まで目が離せない不思議な魅力のある物語、狭いコンパートメントでの2人の会話は噛み合わない、リョーハはホントに嫌な奴で、そのうちになにか事件でも起こすのではないかと心配になるが、、、3泊くらいの列車の旅だっただろうか?お互いに悪態をつき、恋人を思い出し、旅の記録ビデオを失いながら、2人は徐々にお互いの真の姿を感じるようになっていきます、

リョーハの頑張りで旅の目的であるペトログリフを見ることがになるのですが、、、岩肌に彫り込まれた図柄の事のようですが、エスクリーンではよく分らず、そこはちょっと拍子抜け、でも、如何にも粗野なロシア人リョーハの見え方が徐々に変わっていく過程は上手、監督の力量です、



◆(自宅で鑑賞)「少年の君」
(★★★★★)(2019年中国・香港合作)(原題:Better Days)
一流大学を目指す進学校でのいじめ事件、その被害者に関わる不良少年の純愛

02少年の君

※2021年にスクリーンで鑑賞、記事も書いていますが、自宅で観出すと止まらなくなり最後まで鑑賞しました、前回記事に加筆して再掲します、

大学受験に向けて進学校で砂を噛むような生活のチェン、同級生がいじめで自殺、次のいじめの矛先はチェンに向けられる、そんな時、チンピラに集団暴行を受けているシャオペイを見て警察に通報するがチェン自身もチンピラに襲われる、さらに校内でのチェンへのいじめも凶悪化、シャオペイはチェンを護ることにするが、ついに事件が起こってしまう、孤独な2人はこの世界を生き抜けるのか?


独特の映像美と迫力のサスペンスと純愛、香港映画の実力をまざまざと見せつけられます、一生を左右する大学受験制度、受験に成功することで貧困から抜け出したい優等生、進学校で起こる陰湿ないじめ、底辺で生きる純真なチンピラ、被害者を追い詰める警察、

劇中では2回、3回と一応の結末を迎えますが、その度にその先にある真実が浮かび上がってきます、どこまでも追い詰められる2人に救いはないのか?と思わせる力量、短いカットの力強さ、最後までグイグイ引っ張られる感覚は監督の手腕でしょう、

現在の香港と中国の関係を象徴するようなクレジットが冒頭とエンディングに入ります、中国でも問題になっているいじめ、そこに切り込む姿勢・視点の鋭さの驚きました、よくぞ中国でこんな映画が創れたものだと感心させられます、



〇(スクリーンで鑑賞)「非常宣言」
(★★★!☆)(2022年日本)
バイオテロにさらされた旅客機、着陸地も決まらないまま飛び続けることになる

02非常宣言

ソウルからハワイへ向かう大型旅客機、そこには凶悪なウイルスを持ち込む犯人、飛行機恐怖症の父親と娘、刑事の家族などが乗り込んでいく、犯人は機内でウイルスを散布、乗客達は次々と感染していく、刑事のク刑事は犯人の自宅でバイオテロ準備の痕跡を発見、家族の乗ったハワイ行便がテロのターゲットと知り、解決に向けて奔走するが、、、



機内の密室パニックと地上での刑事の奮闘のパラレル進行、旅客機内での攻防や乗務員のリスク対応はちょっとリアリティに欠けますが、韓国映画らしく人物描写や入り組む人間関係で最後まで結構楽しめます、墜落する機内の描写も迫力満点、

ウイルスに汚染された旅客機を米国が拒否、ハワイに着陸できず、韓国へ逆戻り、途中日本国も着陸を拒否、自衛隊機も威嚇射撃するという過激さ、ついには乗客の総意で着陸を諦めることになってしまいます、実際にこんな事件が起こったら各国はどんな対応をするんだろう、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)