刑事ジョンルーサー

2023年03月27日

先週は佳作5本、「オットーという男」「Winny」「ディヴォージョン」「刑事ジョンルーサー」「ケープタウン」

〇(スクリーンで鑑賞)「オットーという男」
(★★★★☆)(2022年)米国(原題:A Man Called Otto)
小うるさい町の嫌われ者、老人オットーとご近所さんの心暖まる物語

03オットー

町の小さな集合住宅、神経質でいつも不機嫌な顔つきのオットー、毎日町内を見回りちょっとしたルール違反も見逃さない、雪が降ればきっちり家の前の雪掻きもする、しかし、定年で職場を離れ、妻にも先立たれて生きる目的を無くしたオットーは自殺を考える、そんな時、向かいに引っ越してきた陽気なメキシコ人夫婦との交流が始まる、



とにかく几帳面で曲がったことが許せないオットーだが、案外近所の人達はオットーの事を気に入っているようだ、小うるさいが間違ったことはしていないということが分っている善良な住民達、オットーは何度も自殺に失敗、向かいのメキシコ人のペースにハマってしまい、ついついベビーシッターまで引き受ける人の良さも、

スウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」(2015)のリメイク、オリジナルに比べるとオットーはずいぶんとまあるく優しく描かれています、オリジナルはもっとエキセントリック、妻との幸せな思い出、近隣住民も善良、ちょっと予定調和が過ぎる感もあります、それでもオットー活躍の爽快感と別れの悲しみはある、こういう老人になれれば良いなあ、とか思いましたわ^^)



〇(スクリーンで鑑賞)「Winny」
(★★★!☆)(2022年日本)
ファイル交換ソフト開発者が著作権法違反ほう助で逮捕される、ソフト開発は罪なのか?

03Winny

2002年、画期的なファイル交換ソフト「Winny」が開発される、誰もが簡単にデータをダウンロードできることから一気に拡大、映画やゲーム・音楽などの違法ダウンロードが横行する事態に、京都府警は開発者の金子を著作権法違反ほう助罪で逮捕、社会を混乱させるために「Winny」を開発したとする調書を作成、金子は罪に問われることになる、、、



実話ベース、今や当たり前となったファイル共有のネット上でのルールが出来る前に登場した「Winny」、著作権者の権利を侵害したとしてソフト開発者が訴えられるという異例の事態、劇中での例え話が分りやすい、『包丁で刺殺事件が起こったとして、その包丁を作った職人が逮捕されるようなもの』、なるほど、そりゃおかしいですよね、

実際、海外でもソフト開発者が逮捕された事例はほとんど無いようなのですが、当時の日本の警察は金子さんが許せなかったようです、警察や検察の自白誘導取り調べ、純粋なプルグラマーである金子さんはまんまと甘言に欺されてしまいます、冤罪の典型的展開、怖い、

物語に映画的レトリックはあまりない、もう一つの警察犯罪の物語を入れ込んだ意図もちょっと分りにくく、映画としては物足りなさを感じましたが、それでも警察や検察の取り調べが毎度お馴染み違法性満載、そこのところが際立つ怖い作品になりました、東出昌大は好演、


(★★★☆☆)(2022年米国)(原題:Devotion)
朝鮮戦争で活躍した黒人戦闘機パイロットの物語、実話ベース、

03ディヴォージョン

1950年、空母レイテの航空部隊に配属されたジェシー、太平洋戦争での実戦経験は無い世代、部隊にいた黒人初の戦闘機パイロットのトムとペアを組むことになる、トムは白人からの差別や迫害を受けながらパイロットとしての腕を磨いてきた、ジェシーはそんなトムとの友情を育んでいく、そしてついに朝鮮半島での実戦、2人は困難な任務に向かうことになる、



日本が降伏、第2次世界大戦が終了した後のお話、次の戦争は朝鮮戦争、アメリカと中国が朝鮮半島で激突した代理戦争ですが、ワタシの世代の歴史の教科書にはほとんど記述がなかったかも、今はどうなんだろうね?この朝鮮戦争は今も終結していません(国際法的には休戦状態)、今も分断されたままの半島、、、

実話ベースということで映画的には抑えた表現、140分ほど有るので少々疲れます、でも戦闘機「ベアキャット」や「コルセア」の実機が飛行するのは素晴らしい、とくに「ベアキャット」はレシプロ機とジェット機の間の時代に生まれた傑作戦闘機、これが観られただけでワタシは満足です、

原題は“献身”というようなニュアンスかな?

(★★★!☆)(2023年英国)(原題:Luther: The Fallen Sun)
敏腕刑事ジョンルーサーが大量連続殺人事件に挑む

03ジョンルーサー

ロンドン警察のジョン、優れた洞察力で難事件を解決してきた、ある日事件現場から逃走した犯人を取り逃がしてしまったジョン、その犯人はある計画のため邪魔になるジョンの過去の違法捜査をマスコミに公表、ジョンは刑務所に収監されてしまう、刑務所内に犯人からジョンへの挑戦メッセージが届き、大量殺人を察知したジョンは脱獄!警察に追われながら犯人に迫っていく、



人気TVシリーズの映画化だそうです、TVシリーズではジョンの鋭い洞察力がウリのようですが、映画は結構荒っぽい展開となります、まず犯人が相当なサイコキラー、とにかく殺し過ぎです、ジョンも脱獄して捜査するという、ちょっとそれはどうでしょうか?的な展開、途中でジョンの的確な洞察が発揮されますが、ラストはちょっと、、、

個人的には退屈せずに鑑賞しました、が、やはりちょっと荒っぽすぎるかな、、、



◆(自宅で鑑賞)「ケープタウン」
(★★★!☆)(2013年フランス)(原題:Zulu)
少年少女の失踪や殺人被害が多発するケープタウン、2人の刑事が真実に迫っていく

03ケープタウン

海岸で少女の死体が発見される、捜査に乗り出す黒人アリと白人ブライアン、アリは黒人差別時代に少年期を過ごした、ブライアンは離婚して酒浸りの毎日、少女の死体には過度な暴力の痕跡、少年達もむやみに喧嘩騒ぎを起こす毎日、残されていた謎の薬物、いったいなにが起こっているのか?2人が現場近くの麻薬組織に探りを入れると事態は暴発、陰に隠された薬物を巡る陰謀が浮び上がってくる、



物語の底流には、1948年から1991年まで続いた南アフリカ共和国のアパルトヘイト(人種隔離)政策があります、人種差別を法制化して認めていた南アフリカが舞台の物語、黒人のアリは被差別経験のトラウマを抱えて病んでいる、という設定ですが、そこのところが描ききれなかったのか?苦悩と事件との関わりがもう一つハッキリしないままラスト前の悲劇が起こってしまいます、アリの執拗な追跡が差別問題の根深さを語っているのか?

これまた集中して観ることが出来ました、南アフリカのことを知っていると、もっと面白いのかも、、、

原題は南アフリカで迫害された黒人部族名、ズールー族、





syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)