赤ひげ

2022年05月02日

先週は6本、オススメは「赤ひげ」「ブラックブック」「ホワイトハウスダウン」、「キャロル」はまずまず、スクリーンの「パリ13区」は微妙。

◆(自宅で鑑賞)「赤ひげ」
(★★★★★)(1965年日本)
江戸時代、庶民を助ける“赤ひげ”と呼ばれる町医者と青年医師

04赤ひげ

長崎で医学を学んできた保本は小石川療養所に差し向けられる、そこは金のない庶民へボランティアで治療にあたる“赤ひげ”と呼ばれる所長医師がいる、保本は赤ひげの独善的な態度に反発、1日も早く療養を所出たいと願いながら渋々診療にあたるのだが、、、



黒澤作品で未観だったこの作品、時代劇とはいえ武将は登場しない、どんな物語かも知らなかったので鑑賞、3時間超の長編ですが見応えありました、タイトルの「赤ひげ」=三船敏郎の映画と思いきや、原作(山本周五郎)も未読ですが、映画では何人かの患者のエピソードを通して保本=加山雄三の成長を描く人間ドラマになっています、医学ものドラマの原点、

クロサワ作品が世界で認められる要因に、台詞よりも映像での説明力の強さがあります、本作品も台詞が無いシーンが何回か登場しますが、そこで映像の驚くべき迫力が生まれます、世界中、誰が観ても共感を呼ぶ映像、クロサワの真骨頂です、

必見、



◆(自宅で鑑賞)「ブラック ブック」
(★★★★☆)(2006年オランダ・ドイツ・イギリス・ベルギー合作)(原題:Zwartoek)
1944年オランダ、ユダヤ人女性歌手のナチスとの闘い

04ブラックブック

ナチス占領下のオランダ、裕福なユダヤ人ラヘルは家族とともにレジスタンスの手引きで非ナチス占領地域への脱出を試みるが、途中でドイツ兵の待ち伏せに遭い両親と弟を失い、独り逃げ延びて再び占領地区へ舞い戻る、レジスタンス組織に身を投じたラヘルはナチス幹部を籠絡する任務を与えられスパイとしてナチスの本部へ潜入するが、、、



大規模な戦闘シーンが無い反ナチス映画、主人公がスパイとなって身を挺してナチスの裏をかこうとしますが、敵も然る者、危機の連続、ナチスの金品強奪犯罪行為も絡んでドキドキのサスペンスが終盤まで続きます、終盤の展開は2転3転、最後の顛末はちょっとやり過ぎのような気もしますが、伏線もしっかり回収されてまずまず、

物語の内容はとても悲惨なものですが、観後感がそんなに悪くないのは抑えめの演出のお陰かな?

(★★★★★)(2013年米国)(原題:White House Down)
テロで占領されたホワイトハウス内で活躍する父娘

04ホワイトハウスダウン

大統領警護官の面接にホワイトハウスを訪れたジョンと娘のエミリー、面接は上手く行かずジョンは失意のままホワイトハウスを去ろうとするが、突然テロ集団がホワイトハウスを襲撃、次々と防御線が破られる中、ジョンは一人テロ集団に立ち向かう、エミリーもまた勇気ある行動をとるが、大統領は消息を絶ち、エアフォースへ待避した副大統領も死亡、世界の情勢は一気に緊張する、、、



ほとんど同じプロットの「エンド オブ ホワイトハウス」と同じ2013年制作、どちらかがB級なのかと思っていたら両作品とも良く出来ています、本作は娘エミリーが重要なファクターで、上手に(ま、無理はあるけど、、、なんせ、ホワイトハウスがいとも簡単に乗っ取られるなんて、、、無理^^)家族の物語も描いています、旗振りの伏線回収はやられた感じ、

「ブラックブック」同様、裏切りに次ぐ裏切り、そうでもしないと事件が起こらないから仕方ないけど、動機は不明瞭、それでもジョンの獅子奮迅の活躍はジョン・マクレーン並みです^^)



〇(スクリーンで鑑賞)「パリ13区」
(★★★?☆)(2021年フランス)(原題:Les Olympiades)
現代、パリ13区に住む若者達の幸せ探し

04パリ13区

エミリーが出したルームメイト募集の広告に男性のカミーユが応募してきた、渋りながらも契約、そしてすぐにセックスを楽しむ間柄になるが、それも2週間ほどで解消、関係を続けたいエミリーの不満からカミーユは出て行く、一方、パリの生活に憧れて大学に再入学したノラ、SNSがきっかけで描いていた大学生活とは裏腹のハラスメントを受け挫折、それぞれが抱える不安や空洞感・喪失感が3人を翻弄する、、、



名監督3人が脚本を書いたなかなかスタイリッシュな映画、モノクロの画面は素敵だと思いますが、、、現代の若者が抱えている不安や空洞感・喪失感、家族や社会への不満、どれもその通りなのですが、物語ではその捌け口のほとんどがセックス、少しのドラッグ、ラストでそれ以外の大切なものに気付くという意味なのでしょうが、、、SNSでのハラスメントもセックス絡み、おっちゃんにはちと難しい^^)ということで、個人的には微妙な感じで劇場を後にしました、

エミリーはアジア系、カミーユはアフリカ系、ノラはフランス人、パリ13区の象徴か?2020年代の映画の必須条件、

原題はフランス語で『オリンピック』という意味、どういう意味だ?物語が2024年の設定だったのか?やはり難しい映画です、



◆(自宅で鑑賞)「キャロル」
(★★★★☆)(2015年米国)(原題:Calor)
1950年代のNY、彷徨いながらも愛し合うようになるまでの2人の女性の物語

04キャロルkai

写真家志望のテレーズ、アルバイト先のデパートに客としてやって来たキャロルに強く惹かれる、偶然から2人で食事をするようになるが、キャロルは夫との不仲で悩んでおり、さらに以前に女性の恋人がいたことも分ってくる、夫の策略で娘の親権を奪われたキャロルはテレーズを誘い車で傷心旅行に出掛ける、、、



静かな物語のようでメラメラと燃え上がる強い感情が見え隠れします、恋人、娘、夫それぞれに静かに強い感情をぶつけるキャロル、恋人はいるが何か違うような気がしているテレーズっもまた強い意志の持ち主、静かに強く物語は進みますが、終盤ではいきなりの映画的サスペンスが!

1950年代のファッションが素敵です、とくにテレーズの衣装がキュート、そしてテレーズのヘアスタイルはヘップバーンへのオマージュのように観えました、

(★★★★☆)(2021年米国)(原題:Army of Thieves)
金庫オタクが伝説の金庫破りに挑戦!

04アーミーオブシーブス

平凡な銀行員ルドウィックの趣味は金庫破りシュミレーション、いつか伝説のワグナーの金庫に挑戦してみたいと考えている、その動画をSNSにアップしたところ謎のメッセージが帰ってきた、それは腕試しの金庫破りコンテストへの招待、そして見事優勝したルドウィックは国際強盗団にスカウトされる、、、



コメディアクションですね、主人公のルドウィックがエエ感じのおとぼけキャラなのでお話全体は軽く転がっていきます、物語の主軸になっている『伝説の金庫』は5つあり、5つ目は制作者ワグナーの棺桶、4つ目はこの映画の前作で本編となる「アーミー オブ ザ デッド」ターゲット、今作はその前段という感じで1~3つ目の金庫を破っていきます、金庫は作曲家ワグナー楽劇「ニーベルングの指環」4部作になぞらえられています、この辺はまずまずエエ感じの本格派っぽいですが、基本はコメディアクション^^)

本作の後日談となる本編も観るべきでしょうが、どうも金庫破りにゾンビが絡んでくるようなので、、、どうするかな、本作の方が出来は良いようです、





syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)