9人の翻訳家
2020年02月06日
先週観た映画20-011~「9人の翻訳者 囚われたベストセラー」(★★★★☆) (2019年・仏ベルギー合作・105分)
先週観た映画20-011、
「9人の翻訳者 囚われたベストセラー」
(★★★★☆) (2019年・仏ベルギー合作・105分)
出版前のベストセラー本の翻訳作業中に原稿が流出!?映画的罠が満載、
覚悟してください、映画評はかなり歯切れ悪いです^^)
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ベストセラー小説「デダリュス」3部作完結編の出版権を得たアングストロームは世界同時発売のために9人の翻訳家を集め、隔離された地下室で翻訳作業を始める、スマホ他の電子機器は取り上げられ、もちろん外出禁止、漏えい防止のため全翻訳が完了するまでまったく自由のない生活、この異様な雰囲気の中で門外不出のはずの完結編原稿の冒頭10ページがインターネットで公開され金を要求する脅迫メールが届く、犯人はこの地下室にいる!?混乱の中、さらに次の100ページも公開される、いったい犯人はどうして原稿を持ち出しているのか?過剰な犯人探しに地下室では一気に事態が暴発する、、、
間違いなく犯人探しのミステリー映画なのですが、その基本構図は映画的レトリックで巧みに隠蔽されています、映画全体がトリックのための映画、過去と現在が交錯し、いろんな人物の視点で物語が進行するのでなかなか真実にたどり着けない、という面白さを楽しめるかどうか?に掛かっている映画、このあとに観た「ナイブズ アウト」と同じような魅力と弱点を持つ映画です、
まずは全編にちりばめられたトリックと映画的なトリックについて、
物語のオモテ面のトリック=原稿が流出した理由、はなんとなく想像がつく展開、
2つ目の映画的レトリック=刑務所の面会シーン、もそうだろうなとすぐに察しがつく、
3つ目のトリック=地下鉄内での出来事、これは気が回らなかった、
そして最後の映画的トリックは、、、ヒントが十分に示されているので相当フェアだとは思います、冒頭のシーン、出版発表会のシーン、地下鉄のシーンなど地下室以外のシーンはそのために配置されています、
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が、根本的な不満(弱点)が残ります、果たしてこの方法で解決するのが最善の策だったのか?もっと、簡単に犯人を追いつめる方法があったことは容易に想像できます、ある意味、探偵は犯人を知っていたわけですから、普通に警察に捜査を委ねることも出来たはず、それをこんなシチュエーションに持ち込んだこの物語全体が映画のためのトリックになっているのでどうしても根本的な不満は残ります、
さらに物語の中の描写も気になる、極端な反応を示し暴挙にでる出版社オーナーの言動、こんな状況で仲間の秘密がホントに保たれるのか?とか、細かな不満は残る、そこをどれだけスッキリと結末まで観せることができるか?が勝負でしたが、、、
ある程度成功していると思います、ワタシはシーン、カットの意味を見事に見逃していたことに終盤で気付かされました、あた!そうだよね~、そうだったね~、と、、、本格ミステリーの原作があまりないようになってきたからか?こういうカタチ、つまり映画自体がトリックのキーになる映画が増えてきているのか?この基本構図を由とするかどうかでこの映画の評価も変わってくると思います、ワタシはある程度気持ち良くトリックに引っ掛かりましたが、根本的な(推理小説の)ルール違反に近い評価をされる場合もあるかと、、、あ~、なにも書けないよ、堂々巡りの映画評^^)
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原作が仏語の小説の翻訳に集められた翻訳家は英語、デンマーク語、ドイツ語、イタリア語、ギリシャ語、ポルトガル語、スペイン語、ロシア語、中国語の9人、日本語は入ってないのね~、そういうと日本は海外翻訳本があまり売れない市場のような気もします、違うかな、
毎度書きますが、副題は全く不要、誰が付けるのを指示したのか?最大の謎^^)
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ということで、結局観ないと分からないこの映画、★は4つでお願いします、
ワタシは結構納得の映画でしたが、アナタが観るとどうなるかな?
(私的ざっくり鑑賞おススメ度★)
★★★★★=ぜひ観て欲しい
★★★★ =観て損はなし
★★★ =時間があれば観てみよう
★★ =観なくても良いです
★ =観たらがっかりするかも
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