2024年11月11日

先週も5本、「DOGDAYS」「おいしい給食 ROAD to いかめし」「猿の惑星 創世記」「北北西に進路を取れ」「トランスフォーマー最後の騎士王」

〇(スクリーンで鑑賞)「DOG DAYS 君といつまでも」
(★★★★☆)(2024年韓国)(英題:Dog Days)
さまざまな人と犬が巻き起こす、騒動と人間模様を描くヒューマンコメディ

11DOGDAYS

不動産会社に勤めるミンサン、自宅ビルの1階を動物病院「DOG DAYS」に貸しているが、犬嫌いのミンサン、院長の女医ジニョンと言い争いが絶えない、「DOG DAYS」には様々な犬たちが持ち込まれる、有名建築家のミンソも客のひとり、彼女はある日散歩の途中で体調を崩し昏倒、愛犬のワンダが行方不明になってしまう、仕事でミンソの協力を仰ぎたい一心で、ミンサンは犬好きを装いワンダ探しに協力することにするが・・・



はい、可愛い犬たちがたくさん出演する“動物映画”です、まあ、スクリーンに愛くるしい動物が出て来るだけでOK!な訳ですが、本作は安直な動物映画ではありません、

多くの人が関わる群像劇です、犬嫌いのミンサンは新規事業立ち上げのプレゼンで四苦八苦、院長のジニョンは苦しい経営を強いられながら病の犬を救うことに専念、一流建築家のミンソも愛犬の前では普通のオバサン、逃げたワンダを拾った若夫婦と養子の少女、病の愛犬の快復を願う女性、恋人の大型犬を預かる配達員の青年、そしてその大型犬の育ての親、悪人はいないですがこんがらがった人間関係、そんな人間の煩悩を犬と犬を愛する心が見事スッキリ整理してくれます、観後感良し、気に入りました、観て損は無し、

副題はお門違い、人間の物語です、


(★★★!☆)(2024年日本)
劇場版シリーズ3作目、ますます過熱する甘利田先生の給食愛

11いかめし

函館の中学に赴任した甘利田先生の給食への情熱は止むことは無い、ライバルであるクラスの生徒ケンと如何に給食を楽しむかを競い合っている、ある日町長の等々力が学校給食の残食問題解消のために“正しい給食の食べ方流儀”を提案、それは甘利田の給食への信念とは相入れないものであった、そんな時、いよいよご当地給食メニューのトップスター「いかめし」が登場することになるが、、、



シリーズ3作目、甘利田先生はますます情熱的というか、エキセントリックに給食に向き合っています、彼の給食愛はほとんど異常^^)なのですが、これが観ていて面白いのだから仕方ない、なにが映画になるかなんてホント分からないものです、

ライバルのケンは相当の給食マニア、女先生(これってNGワードか?汗)、元へ、新米教師の比留川、校長の坂爪、給食調理員の牧野など、周りを固めるキャラも安定感あります、

町長が進める古めかしいステレオタイプの給食の流儀に対して、甘利田先生は文化祭の舞台劇で応えます、妙に説得力のある主役ケンのアドリブ、なんか面白かったです、いかめし給食も美味しそうでした、脱脂粉乳はイケマセン^^汗)

お気楽鑑賞で良し、やはり観て損は無し、


◆(自宅で鑑賞)「猿の惑星 創世記」
(★★★!☆)(2011年米国)(原題:Rise of the Planet of the Apes)
新シリーズの1作目、チンパンジーのシーザーがヒト知能を持つまでの物語

11猿の惑星創世記

製薬会社に勤めるウィルはアルツハイマー病の治療薬研究に挑んでいる、チンパンジーに試験投与し成果を得るが、我が子を守ろうとしてそのチンパンジーが暴れまわり射殺される、この騒ぎで研究は中止に、ウィルは残った赤ちゃんチンパンジーを引き取り、自宅で研究を続ける、認知症の父親は近所を徘徊し騒ぎとなり、それを助けようとしたシーザーも捕獲され、猿専用の保護施設に送られてしまう、ここで人間から虐待を受けたシーザーは並の猿以上の能力を発揮しだす、猿のレジスタンスの始まりである、、、



「猿の惑星」新シリーズの1作目、猿のリーダー・シーザーがヒトの知能を獲得する経緯が描かれています、シーザーを覚醒させるのはヒトのアルツハイマー病用治療薬、脳の働きを活性化する特効薬という設定です、これがシーザーにヒト知能を与えることになります、

特殊メイクでビックリ仰天の猿世界を描き出した1作目「猿の惑星」(1968年)から半世紀以上、CGで描かれるチンパンジーがリアルです、話すことが出来ないシーザーの感情が微妙な表情で演出されます、まるで動物映画のような愛らしさ、人間に虐待されるシーンではシーザーに思い切り感情移入してしまいます、観ていて可哀そう・・・そんなシーザーのレジスタンス、人間との戦闘シーンも見ごたえがあります、

2作目・3作目もサブスクで観れるようです、続けて観ると思います、


(★★★!☆)(1959年米国)(原題:North by Northwest)
スパイの諜報戦に偶然巻き込まれた男が真相を追い求めて飛び回るスパイアクション

11北北西に

広告マンのソーンヒル、ホテルのロビーで商談をしている最中に突然2人の男に拉致される、連れていかれた大きな屋敷にはタウンゼントと名乗る男がおり、ソーンヒルの事をキャプランと呼び、持っている情報を話せと言う、ソーンヒルは自分はキャプランではないと説明するが聞き入れられず、大量の酒を飲まされ、車の事故に見せかけて殺されかけるがなんとか脱出、身の潔白を証明するために警察と共にその屋敷に戻ると、タウンゼントという男はおらず、屋敷の主はソーンヒルをキャプランと呼び、彼が昨晩屋敷で大酒を飲んでいたと証言、ソーンヒルは警察からも追われる羽目になる・・・



ヒッチコック監督のスパイアクション、出だしからスピーディな展開、姿を見せない謎のキャプラン、キャプランを巡るスパイたちの暗躍、謎の美女の登場と流石ヒッチコックと思わわせる導入はお見事、逃避行中の列車で謎の女イヴと知り合い窮地を逃れるシークエンスは、なにやら「007 ロシアより愛をこめて」を連想させます、本作の方が先の制作、

ヒッチコックにしては長尺の137分、アクションを取り入れた後半は少し長すぎるか?ヒッチコックは高所好きなのか、ラストのシーンは怖くて観ていられませんでした^^)

タイトルの「北北西に進路を取れ」は良く出来た邦題かも、原題にもあまり意味は無いらしいです、


(★★!☆☆)(2017年米国)(原題:Transformers: The Last Knight)
シリーズ5作目、地球を守っていたオートボットに、宇宙からの新たな脅威が

11トランスフォーマー5

地球侵略を狙う“創造主”を阻止するため、オプティマスが宇宙に飛び、立ち向かうが逆に洗脳されてしまう、地球でメガトロンなどと闘っていたバンブルビーらは想像主とオプティマスを迎え撃つことになる、



シリーズ5作目、、、って、このシリーズ、初めて観るので物語は良く分かりませんでした、トランスフォーマーっていろんなのがいるんですね、それが実在のクルマなどの乗り物から変身する、というところだけは印象的で残りましたが、物語はさっぱりアタマに入りませんでした、結構壮大な出だしでしたが、結局“想像主”は大したことが無かったです、

休日のお気楽鑑賞にどうぞ、




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2024年11月05日

先週も5本、「シングル・イン・ソウル」「室井信次」「コールドマウンテン」「ヒッチャー」「ゼンブ・オブ・トーキョー」

〇(スクリーンで鑑賞)「シングル・イン・ソウル」
(★★★★☆)(2023年韓国)(英題:Single in Seoul)
恋愛下手の編集者とソロ活プロの塾講師が巻き起こす都会派ラブコメディ

11シングルソウル

敏腕編集者のヒョンジン、本作りに情熱を燃やす優秀な編集者だが、妄想癖がありかなりの恋愛下手、2本のエッセイ本を同時に発刊する企画を担当、1本はバルセロナに住む女流作家ホンに、もう1本をソウルに住む“ソロ活のプロ”ヨンホに執筆を依頼する、ホンの原稿は順調に上がってくるが、ヨンホは一向に筆が進まない、ヒョンジンはあの手この手でヨンホにアプローチするも、ことある毎に衝突する2人だった・・・



お察しの通り、恋愛下手の編集者とソロ活=恋人を作らないことを決めた塾講師が恋に落ちるという、“仲が悪い2人が最後は結ばれる”王道のラブコメディです、

ヒョンジンは優秀ですが煙たい上司ではありません、編集チームを上手にまとめ上げます、が、こと恋愛となると妄想癖があり、上手に相手とコミュニケーションが出来ない不器用者です、ヨンホは過去の恋愛で深い傷を負っており、それが元でソロ活=ひとりでの気ままな生活に逃げ込んでいます、ま、こういう2人が科学反応を起こして徐々に親しくなっていくのも道理です、

眼鏡をかけて仕事に励むヒョンジンがキュートで魅力的です、観ていて楽しい、ヨンホもかっこイイ、2冊のエッセイ本同時発行という企画に映画的な仕掛けがあって、終盤は思わぬ展開になりますが、ラブコメディの定型文です、安心して都会の恋物語を楽しんでください、


〇(スクリーンで鑑賞)「室井信次 敗れざる者」
(★★★!☆)(2024年日本)
引退し田舎暮らしの室井、他殺死体を発見したことから身辺が騒がしくなっていく、2部作の1作目

11室井

かつてレインボーブリッジを封鎖した室井信次、定年前に退職し、今は2人の養子と共に田舎暮らしをしている、ある日、自宅近くの地中から他殺死体が見つかる、これを機に室井の身辺が急に騒がしくなっていく、室井の事を心良く思わない村の住人、様々な思惑で接近してくる警察組織、そんな中、凶悪犯の娘杏が室井の家に身を寄せることになる・・・



お馴染み「踊る大捜査線」のスピンオフ後日談、犯罪により親を失った男の子2人を養子に迎え、秋田の山村でひっそりと暮らしていた室井ですが、謎の他殺死体が過去の事件関係者と判明、室井にも捜査協力依頼が来ます、室井を今も慕う警察官と、室井を利用しようとする警察組織、村民との軋轢と緊張感、2人の養子への愛情と過去の因縁、さらに希代の凶悪犯日向の娘杏の不穏な行動、一気に不安定になった室井の生活、

観るまで2部作とは知りませんでした^^)一向に進まない物語に???と思っていたら、、あ、これって2部作の1作目、伏線を張りまくる段なのですね、という感じ、警察がバタバタとする割には死体の件は全く進展なし、杏はとんでもなくヤバそうで怖い、さらに養子の親が出所、というところで1作目は終了、でも、スクリーンには嫌な汗が流れ出るような緊張感がみなぎっています、不安定な展開は成功しているようです、

それもこれも、2作目の出来次第、11月15日公開の2作目に期待します、

青島他の過去映像はちょっと多過ぎるかな?^^)


(★★★★☆)(2003年米国)(原題:Cold Mountain)
南北戦争時、悲惨な戦争の実態と被害を受ける市民と女性の物語

11コールドマウンテン

1861年南北戦争時、ノースカロライナ州の山村コールドマウンテンに牧師の父親と共に赴任してきたエイダ、村の大工インマンと知り合い互いに好意を持つようになるが、インマンは南軍兵士として出征、ピーターズバーグの戦闘で重傷を負う、インマンの帰りを待つエイダだが父親が急死、実生活に役立つことは何もできないエイダ、村娘のルビーがそんなエイダと一緒に暮らし始める、エイダからの手紙で彼女が帰りを待っていると知ったインマンは脱走、独りコールドマウンテンを目指して歩き始め・・・



一見恋物語が縦糸に見えますが、実際には戦争の犠牲になった市民の物語が主眼の映画です、米国の歴史上唯一の内戦“南北戦争”、英名The Civil War(シビル・ウォー)、米国人が南北に分かれて戦った戦争です、どんな大義があっても戦争は何も生み出さない、そんなメッセージと読み取れる描写が続きます、南北双方の戦死者はどんどん増え、略奪や私刑は当たり前、村では無法者が横行、市民の生活は破壊されていきます、

今こうして観直してみると、大きな犠牲を払うのはやはり女性です、まだまだ地位が低くく、甚大な被害と恐怖を甘受しなければならなかった女性たち、その苦しさは想像をはるかに超えています、

ニコール・キッドマンが美しい、男たちの横暴を許さないルビーもカッコ良い、終盤の銃撃対決シーンはその結末を瞬時に悟らされる名シーンでした、ラストの勇ましいエイダの姿にホッとします、悲惨な物語ですが観後感良し、155分とちょっと長いですがぜひ鑑賞してみてください、


◆(自宅で鑑賞) 「ヒッチャー」
(★★★!☆)(1986年米国)(原題:The Hitcher)
ヒッチハイカーを乗せたことから始まるノンストップ・アクションスリラー

11ヒッチャー

サンディエゴまで車を陸送中のジム、長い一人旅に退屈していた彼は1人のヒッチハイカーを拾う、これが恐ろしい物語の始まり、拾ったヒッチハイカーは殺人鬼だった、ジムは機転を利かせてなんとか奴から逃れるが、殺人鬼は執拗にジムを追ってくる・・・



殺人鬼の名前や犯行動機などは分かりませんが、ひたすらジムを追ってくる奴があまりにも怖いです、スピルバーグの「激突!」を思い出させるしつこさです、何台もの車が奴の犠牲になっていきますが、ジムは恐怖におののきながらも奮闘、奴を振り払い、保安官事務所に駆け込み一息つきます、が、その保安官事務所も奴の襲撃を受け全滅、警察も総動員でジムを追い始めます、奴と警察双方から追われることになったジムははたして逃げ切れるのか?

97分と小品です、ハラハラドキドキを楽しんでください、


〇(スクリーンで鑑賞)「ゼンブ・オブ・トーキョー」
(★★★!☆)(2024年日本)
修学旅行で東京にやって来た女子高生、東京の全部を楽しむはずが・・・

11ゼンブトウキョウ

5人1組の自由行動の日、班長の優里香は1日で東京の全部を見て回れるように超過密スケジュールを組む、が、ランチ人気店が長蛇の列で早々にスケジュールは崩壊、各自バラバラにランチを摂ることになる、しかし、実は他のメンバー4人にはそれぞれの思惑があり、そのまま5人は各自の東京を楽しむ事になる、



予備知識なしに空いた時間に合ったので鑑賞、この記事を書くまで「日向坂46」の映画だっとことも知りませんでした^^爆)

生真面目な班長、クールな東京生まれを演じる綾乃、同級生男子を追いかける美緒、オシ活に励む詩央里、そして修学旅行の日程が偶然重なったことからひとり目標に突っ走る智沙、バラバラになった5人に起こるちょっとしたドタバタに罪はありません、ドタバタが1つに収束していく過程の面白さが肝だったのでしょうが、そこまでの効果は上がっていないか、でも、まあ日向坂のみなさん、結構芸達者ですね、普通に最後まで鑑賞出来ました、智沙だけがちょっと役者不足でしたか、

日向坂のファンなら堪らない2時間でしょうね、ま、サブスクでも良いかな、




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2024年10月28日

先週は5本、「花嫁はどこへ」「サウンド オブ フリーダム」「ジョイランド」「いのちの朝」「レッド ノーティス」

〇(スクリーンで鑑賞)「花嫁はどこへ」
(★★★★!)(2024年インド)(英題:Laapataa Ladies)
取り違えられた2人の花嫁が自らの人生を切り拓く、ハートフルコメディ

10花嫁はどこへ

結婚式を終えて花婿の家に向かう列車には2組の新婚夫婦が乗り合わせていた、居眠りをしていたディーパクは、駅に着き慌てて新妻ジャヤの手を引いて下車、実家に帰り家族の祝福を受け、花嫁のベールを上げると、、、なんと、それは見たこともない花嫁プール、家族から叱責されるディーパクだが、とりあえずプールを実家に泊め、ジャヤを探すことにする、一方ジャヤは一人ぼっちで見知らぬ駅に降り立ち途方に暮れていた、、、



花嫁を取り違えたことから起きるコメディですが、物語はとても良く出来ています、同じ色の民族衣装にベールをしていたことから起こったハプニング、序盤から上手に撒かれた映画的レトリックが見事に決まり、とてもハッピーな気分で上等なエンディングを迎えます、

プールは利発で行動力があり社交的、ディーパクの畑での害虫駆除を手伝ったりしますが、なぜか自らの身元を偽っています、ジャヤは花嫁修業に専念してきた内気な娘、自分で仕事をしたことがないジャヤが見知らぬ土地で独り奮闘、徐々に成長していきます、

インドの結婚に関する風習は知りませんが、家父長制、男社会、女性の社会進出がまだまだ進んでいない様子、それに反発するプール、初めてのアルバイト料を手にして目を輝かせるジャヤ、賄賂まみれの警察署長に追い詰められ、プールは逮捕されてしまいますが・・・でも大丈夫、極上のハッピーエンドが待っています、ぜひスクリーンで楽しんでください、

あ、インド映画ですが124分と長くないし、踊りませんのでご安心を^^)


〇(スクリーンで鑑賞)「サウンド オブ フリーダム」
(★★★★☆)(2023年米国)(原題:Sound of Freedom)
子どもの人身売買組織を追う捜査官が孤軍奮闘、幼い姉弟を組織の手から解放する

10サウンドフリーダム

アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム、子どもを性の対象とする組織犯罪を潜入捜査で追っている、米国内の買い手を摘発していくが、子どもを組織の手から救い出せない現実に苦悩を深めている、おとり捜査で1人の少年を救出、その少年から一緒に誘拐された姉も救い出してほしいと懇願されたティム、上司を説得し誘拐組織がある南米コロンビアへ飛び、組織の根絶を目指すが・・・



アクション映画ではありません、児童誘拐・人身売買・性的虐待という目をそむけたくなるテーマをキリスト教的良心で描いた実話ベースの物語です、子どもがいとも簡単に誘拐され、売られ、世界各地の買い手の元に運ばれる、今も年間数百万人の子どもたちが奴隷のような生活をおくっているという現実、この現実に真正面から切り込んだ1作、インディペンデント系映画としては異例の大ヒットとなっていますが、その内容の深刻と宗教的立場から賛否両論巻き起こっているそうで、制作から公開まで5年も掛かったとか、

このとっても重いテーマを、映画というエンターテインメントメディアだからこその手法で描き切っています、悲しい話ですが恣意的な残虐シーンはありません、エンドタイトルで主演俳優からのメッセージがあります、この映画を見る事で1人でも多くの子どもたちを救うための資金が集まる仕組みだそうです、子どもたちの未来のためにぜひ鑑賞してください、


〇(スクリーンで鑑賞)「ジョイランド」
(★★★!☆)(2022年パキスタン)(原題:Joyland)
家父長制と因習の中でもがき苦しみ、それでも奮闘するパキスタン女性たち

10ジョイランド

パキスタンの中流家庭一家、厳格な父親が家族の事一切を取り仕切っている、次男ハイダルの嫁ムムターズはメイクアップの仕事で家計を支え、夫は家事に専念しているが、父親や長男はそれを快く思っていない、父親と兄からの圧力でハイダルは仕事探しを始め、劇場のダンサーの仕事を見つけるが、そこでダンサーのビバと知り合い魅かれていく、やがてムムターズは妊娠し、仕事を辞めて家にいるよう義父に命じられ、家での鬱々とした生活が始まる、



これまた家父長制の中で息も出来ない人生を強いられている、パキスタン女性の生活をスクリーンであぶり出しています、まだまだ女性の権利や自由が蹂躙されているこの世界の現実、ムムターズもまた利発で能力もあるのに、家に縛られている我が身を嘆き悲しむことになります、誰も悪人はいないのですが、家父長制という家族制度の中では皆が息苦しい、

ハッピーエンドでないのが哀しいです、少しでも未来への希望を見出すのが映画の役割だと思うので少し残念な結末です、観後感は良くありませんが観るべき映画、



◆(自宅で鑑賞)「いのちの朝」
(★★★☆☆)(1961年日本)
頑固者の孤高の画家と彼を愛してやまない家族の物語

10いのちの朝

頑固者の画家小次郎、自らの画風を追求し、小品の“じゃがいも”の画ばかりを書き続けている、長女の春子や画家友達の村野からもっと大きな画を描いて売れば良いのにと諭されるが耳を貸さない、春子は次女の冬子をモデルにした大きな画を描くことを思いつき、小次郎に進言、次女の冬子は小次郎のお気に入り、小次郎は重い腰を上げて大作に挑むことを決める、



原作は武者小路実篤の小説「暁」、派手な演出や大きな事件はありません、丁寧な会話劇が淡々と進む感じは小津安二郎作品の空気感を感じさせます、モノクロ画面で観る宇野重吉、芦川いずみ、佐野朝夫、内藤武敏、山岡久乃などの顔ぶれが懐かしいです、冬子の淡い恋物語も今観ると新鮮、たまにはこんな良作日本映画も観てみましょう、


◆(自宅で鑑賞)「レッドノーティス」
(★★★!☆)(2021年米国)(原題:Red Notice)
秘宝泥棒を追うインターポール捜査官が罠にはまって、逃げながら追う!?

10レッドノーティス

インターポール捜査官のジョン、世界に3つあるという“秘宝の卵”を狙うブースを逮捕するが、罠にはまり自らも投獄される、無実を晴らすためにブースと手を組んだジョンは脱獄、二人三脚で3つ目の“秘宝の卵”を追う、秘宝ハンターのビショップもこれに参戦、三つ巴の争奪戦が始まる、



定番の秘宝を巡る冒険アクション、捜査官サスペンスと冒険アクションを足したような作りで結構楽しめます、明らかにインディージョーンズ2を意識したアクションシークエンスを観てニンマリ、ジョンとブース2人の裏切り裏切られの展開もウンウンという感じ、さらにその先にあるドンデン返しも洒落ています、

休日のお気楽鑑賞にピッタリ、




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2024年10月21日

先週は良作品5本、「シビルウォー」「本日公休」「ミドリムシの姫」「マイ インターン」「ティアーズ オブ ザ サン」

(★★★★☆)(2024年米国)(原題:Civil War)
大統領の横暴により内戦状態に陥ったアメリカを報道カメラマンの視線で描く

10シビルウォー

大統領への不満からカリフォルニアとテキサスが合衆国を離脱、ワシントンDCのホワイトハウスを目指し進軍を続けている、報道カメラマンのリーと記者のジョエルも大統領のコメントを取るべくDCを目指す、新人カメラマンのジェシーとベテラン記者のサミーも同行、4人は治安を失い、米国人同士が対立する内戦の実態を目の当たりにする、民兵の民間人虐殺現場にも遭遇、命からがら生き延びる、そして、ついにDCの戦場に到着すると・・・



予告編では戦闘ヘリが飛び交い、ロケットランチャーがホワイトハウスを破壊しますが、戦争アクション映画ではありません、派手な戦争アクションシーンはわずかです、邪心に満ちた予告編の見本、副題も不要、

物語の縦軸は新人報道カメラマンの苦悩と成長、新人カメラマンの目を通して内戦の惨状をヒタヒタと映し、民主主義のリーダーたるアメリカ合衆国が分裂!?というショッキングなテーマをリアルに描いています、

でも、この映画の本質は・・・劇中の大統領が如何に危険な人物であるかを暗示した民主党的映画です、映画冒頭ですでに内戦状態、なぜ内戦が勃発したかについての詳しい説明はありませんが、断片的な情報として、テキサスとカリフォルニアが合衆国を離脱、WF(west force=西部同盟)を結成、大統領殺害を目的にDCに進軍しています、大統領は3期目に入っているようです、米国大統領は基本2期が最長、この慣例を破ったようです、そして1年以上記者会見無し、これが記者魂を刺激しています、さらにFBIを解散させたという情報もあります、大統領犯罪を取り締まるFBIを解散させた3期目の大統領、それに反発した州が内戦を始めたという設定です、これってまさにトランプ元大統領が2期目に当選していたら・・・というシナリオのように見えます、

予告編でも出ている民兵?が怖いです、銃を突き付けられた状況での問答、
記者:『俺たちはアメリカ人だ』
民兵:『なるほど、で、お前はどんなアメリカ人だ?』
このあと、非白人系記者が殺害されます、
米国人同士の対立を煽るトランプに対する痛烈な皮肉です、大統領選挙前に公開されたのも相当恣意的だと思います、こういう視点で見ると、カメラマン成長物語も消し飛んでしまいますが、個人的には気に入りました、お勧めします、



〇(スクリーンで鑑賞)「本日公休」
(★★★★☆)(2023年台湾)(原題:本日公休 Day Off)
街場で散髪屋を営む女店主とその家族、客たちの日常を描くハートフルムービー

10本日公休

台中で理髪店を営むアールイ、3人の子供を育て上げた今もバリバリと働いている、40年間、客の頭と髪の毛を見続けてきたアールイは、そこから人の人生さえも読み取ることが出来る、常連客はアールイの店が社交場である、ある日、常連客だった“先生”が病の床に臥せっていると聞き、店を休んで1人愛車で先生の家を目指すことにする・・・



大きな事件は起きないタイプの物語、気丈な理髪店店主のアールイ、3人の子供はもう独立していますが、それぞれに問題を抱えてます、いつまでも子どもの事が心配なアールイ、近所の常連客もアールイには一目置いています、そんな時に届いた先生の病状、アールイは出張して先生の髪を切ることにします、それが自分の使命だと知っているのです、愛車での旅はトラブルの連続、予定通りに着かないアールイを探して騒動が起きますが、、、

アールイの包容力が周りの人間を幸せにしてめでたし、めでたし、そんな予定調和も微笑みながら見ることが出来るホンワカムービーです、ぜひ鑑賞を、



◆(自宅で鑑賞)「ミドリムシの姫」
(★★★!☆)(2022年日本)
駐車違反を取り締まる駐車監視員にスポットを当てたハートフルコメディ

10ミドリムシの姫

駐車監視員の仕事を始めた野上、違反者から罵詈雑言を浴びせられる仕事に疑問をもちながらもやり甲斐を探している、孤高のカリスマ監視員や、大志を抱いて入って来た新人クンと仕事をしながら、少しずつ駐車監視員の仕事に自信を持つようになっていく、そんな時、街のチンピラが監視員をいじめる動画を配信するようになる・・・



駐車監視員に違反切符を貼られて愉快な気分になる人はいません、理不尽な言葉を投げつける違反者たちの気持ちも分かる、でも基本は身勝手な言い訳、観ていて監視員たちがホント可哀そう、野上もこの仕事に誇りを持てないでいます、でも彼女が駐車監視員になったのには理由があります、チンピラとの騒動で窮地に立たされた監視員たち、そこで見せたのは駐車監視員としてのプライドでした、

低予算映画ですが、最後までしっかり観ることが出来ます、脚本がしっかりしているし、駐車監視員の仕事にスポットライトを当てるというニッチな企画が成功しています、観て損はなし、



◆(自宅で鑑賞)「マイ インターン」
(★★★★!)(2015年米国)(原題:The Intern)
新進気鋭のネット通販会社に、70歳のベテランサラリーマンがインターンとして入社!?

10マイインターン02

リタイアしたベン、妻に先立たれ一人暮らし、旅行や趣味だけの生活に物足りなさを感じている、近所のネット通販会社がシニアインターンを募集しているのを知り応募、見事合格する、配属は起業者で社長のジュールズ付、ジュールズはシニアインターンに期待していないので仕事は雑用のみ、それでもベンは持ち前の優しさと経験で徐々に周囲に認められるようになる、ジュールズの運転手の代役を務めるようになると、2人の距離は一気に縮まり、ベンはその能力を遺憾なく発揮することに・・・



何度観ても楽しいハートフルムービー、ジュールズは主婦の目線で会社を立ち上げて成功しましたが、会社の一切をひとりで切り回しているので超多忙、家族や社員との関係では至らない部分もある普通の女性、ベンは長年のサラリーマン経験を活かして会社に貢献、持ち前の人懐っこさで社内でも一目置かれるようになっていきます、そして、会社の危機も家族の危機もベンの機知が救います、

登場人物は全員善人だし、70歳のロートルの知見がIT企業でも通用する、必要とされるという展開に、年寄りとしては痛快な思いになります、もちろんデニーロもアンも魅力たっぷりで2人ともお洒落満載、夢物語ではありますが、まだ観ていないならぜひ観てください、絶対に気に入ります、あっという間の2時間です、



(★★★!☆)(2003年米国)(原題:Tears of the Sun)
民間人救出に向かった特殊部隊の苦悩と、難航する脱出劇

10ティアーズ

内戦下のアルジェリア、戦地に残る米国人女性医師リーナを救出するミッションに精鋭のウォーターズのチームが投入される、なんなくリーナを確保、ヘリに乗せてミッション完了かと思われたが、リーナは民間人も一緒に連れていく事を主張、現地での虐殺を目撃したウォーターズは女性や子供をヘリに乗せ、チーム員とリーナ、そして残った民間人と共に徒歩での脱出を試みる事になる、



ブルース・ウィリス主演、そこはもう1回ヘリが戻って来て皆を運べば良いでしょう!という訳にはいかず、難儀な脱出行が始まります、ジャングルの中を抜けて国境を目指す一行、しかし敵はなぜか正確に後を追ってきます、実は一行の中に敵のスパイと標的が・・・

B級かと思いきや、しっかり最後まで観れます、ウォーターズの部下は7人、なにやら「七人の侍」を連想させる終盤の戦闘シーン、1人を救うために多数が犠牲になるというヒロイズムストーリー、20年前の強いアメリカが未だあった時代の映画かもしれません、




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2024年10月15日

先週も5本、「侍タイムスリッパー」「極悪女王」「しあわせ食堂」「メカニック ワールドミッション」「ゴジラ対ビオランテ」

〇(スクリーンで鑑賞)「侍タイムスリッパー」
(★★★★!)(2024年日本)
幕末から現代の時代劇撮影所にタイムスリップした侍が、自らの信念を貫く

10侍タイム

幕末、会津藩士2人と長州藩士が対峙、まさに剣を交える瞬間に落雷があり、会津藩士の新左衛門は現代の時代劇撮影所にタイムスリップする、その風体からエキストラと間違えられる新左衛門、見るものすべてが理解できず生きる希望を失いかけた時、助監督の優子に助けられ、撮影所近くの寺に住み込み、エキストラとして働くことになる、徐々に現代での生活にも慣れていく新左衛門、迫真の斬られ役演技が認められ時代劇スターの敵役に抜擢されるのだが・・・



自主制作映画、単館公開からスタートし、その面白さが話題を呼び全国公開にこぎつけた話題作、

いや~面白かったです、侍が時代劇撮影の現場にタイムスリップするというアイデアは、この物語のきっかけにすぎません、前半は新左衛門が21世紀の世界で戸惑う姿を描くコメディ、これはこれでお面白い、ま、そうなんだろうなと思って観ていると、中盤から新左衛門のキャラがどんどん際立っていきます、侍の魂を失わず、必死に斬られては倒れる新左衛門、自らが生きていた時代の物語を後世に残すことに生きる意味を見出していきます、そして大抜擢された大型時代劇の相手はなんと・・・それは観てのお楽しみ、

監督の時代劇愛が新左衛門にも乗り移って、とても良い“時代劇Love”な映画に仕上がっています、東映京都撮影所も全面協力、終盤の殺陣は息が詰まります、ラストも洒落ている、

低予算でも良い映画が出来るという見本、必見です、自主制作映画と時代劇への応援の意味も込めてぜひ鑑賞してください、



◆(自宅で鑑賞)「極悪女王」
(★★★★☆)(2024年日本)
女子プロレスの悪役として暴れまわったダンプ松本の入門から引退まで

10極悪女王02

幼い頃から女子プロレスに憧れていた松本香、甲斐性のない父親から逃げるように全日本女子プロレスのオーディションを勝ち抜いて入門、同期の長与千種との友情を育みながらトレーニングに励むが芽は出ない、長与は飛鳥と組みクラッシュギャルズとして一躍スターダムにのし上がる、そんな時、香の父親が問題を起こす、実家のアパートに戻った松本は家族が崩壊していくのを見て、怒りを爆発させる、そしてある日、悪役ダンプ松本がリングに現れる・・・



1980年代に活躍したダンプ松本の半生記、事実を基にしたフィクションですが、登場人物はすべて実名、ゆりやんレトリバァが体当たり演技でダンプ松本を見事に演じ切っています、キワ物企画かと思って観たら、これがとんでもなく面白く、エピソード5話ほぼ一気観でした、

物語はビューティーペアのブレイク、ジャガー横田の活躍、クラッシュギャルズの絶頂、そして、それと対をなすダンプ松本率いる極悪同盟の誕生と、全女プロレスの歴史を辿っていきます、女子プロレスをほとんど観たことがないワタシも、劇中のファイトシーンには観入ってしまいます、

しかし、もっとも秀逸なのはリングの裏側にある人間ドラマ、香の家庭問題、長与との友情、横田・飛鳥のプロレスへの情熱、興行主の横暴とプロレス愛と、リングで何度も血まみれになりながらも人間ドラマが底流で躍動、人物がしっかり描かれており泣けます、とっても面白かったです、5話5時間40分程ありますがあっという間に観れます、ぜひの鑑賞を!



◆(自宅で鑑賞)「しあわせ食堂」
(★★★★☆)(2019年オーストラリア)(原題:不明)
小さな食堂で巻き起こる一晩の騒動を優しく描くハートフルコメディ

10しあわせ食堂

オーストラリアの街角、小さなギリシャ料理レストランがある、今宵はベリーダンサー来演ということで店主は張り切っているが、料理人やスタッフの面々はそれぞれに問題を抱えている、やって来た客の中にダンサーと離婚調停中の夫がいることが判明!?ダンサーは踊るのを拒否、店主の息子は自動車事故を起こし、さらに行儀の悪いレストラン評論家が無理難題を押し付けてくる、きりきり舞いの店主ですが・・・



小さなレストランの中だけで物語は進行します、ギリシャ人の店主、トルコ人の料理人、息子の元恋人のウエイトレス、女優志望のアルバイト、子どもの親権を争っているダンサーと夫、悩み多き市井の人たちの愛憎模様が軽いタッチで描かれていきます、すべてがハッピーエンドという訳ではありません、それでも明日に向かって生きていく逞しい面々、

ネットで検索してもなかなか出てこない埋もれた作品ですが、観後感はとても良いです、探し出して鑑賞してください、

(★★★!☆)(2016年米国)(原題:Mechanic: Resurrection)
引退した凄腕暗殺者が人質を救うため、困難な暗殺指令に挑む

10メカニックWM

正確無比な計画と実行力で数々の暗殺任務をクリアしてきたビショップは、引退してひっそりと暮らしているが、ある日謎の集団の襲撃を受け、友人を頼って避難、避難先でDV被害の女性ジーナを助けるが、ジーナもまた組織の手先、ビショップはジーナの命と引き換えに実行不可能な3つの暗殺を請け負う事になる・・・



シリーズ2作目ですが1作目は観ていません、ビショップは成功率100%の暗殺者です、銃の扱いはもちろん、不可能と思われるミッションを緻密な計画と実行力でクリアしていきます、ジーナを救うために2件の暗殺を完了しますが、最後の暗殺計画で事態は思わぬ方向へ展開、というMIPとワイルドスピードを掛け合わせて2で割ってみました、というような作品ですが、物語がちょっと弱い、スピーディに展開していきますが、え?なんでこうなるの!?という不具合が何か所かあります、

ま、細かいことは気にせずにJ・ステイサムの活躍を楽しみましょう、



(★★★☆☆)(1989年日本)
今回のゴジラの敵は、ゴジラ細胞から生まれた植物怪獣ビオランテ

10ゴジラビオランテ

新宿で自衛隊の新兵器スーパーXと激闘を繰り広げたゴジラ、廃墟に残されたG細胞を採取し、ゴジラ研究を進める白神博士と娘のエリカだが、悪の組織による爆破テロでエリカは死んでしまう、失意の白神博士は再度G細胞を手に入れると、エリカのDNAとG細胞を植物に移植、エリカの魂を不滅のものにしようとしたのだが失敗、植物怪獣ビオランテを生み出してしまう、それ察知したゴジラが覚醒、またもや日本に上陸する・・・



“平成ゴジラシリーズ”と言われる新世代スタッフによるゴジラ映画ですが、CG・VFXゴジラの時代から見ると着ぐるみゴジラは如何にもほんわかのんびりしているように観えます、それでも今作は物語性や人間ドラマパートが評価されているようです、自衛隊の描き方も斬新、

ワタシも久しぶりに鑑賞、ゴジラ好きです、なのでこれはこれで良し!!とします、

suzuki K

若き日の鈴木京香がスーパーX2のオペレーターとして出演、これもよく憶えていますわ^^)




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2024年10月07日

先週は5本、「パリのちいさなオーケストラ」「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」「宮松と山下」「渇水」「犯罪都市PUNISHMENT」

(★★★★!)(2022年フランス)(原題:Divertimento)
女性指揮者を目指す少女の奮闘と、目の前に立ちはだかるガラスの天井

09パリの小さな

音楽好きの両親の元、才能にも恵まれたザイアとフエットトゥマの双子の姉妹、地元学校で活動するかたわら、パリ市内のエリート音楽院へ通う事になる、ザイアは指揮者への道を望んでいるが、女性指揮者が少ない時代、彼女の前には多くの壁が立ちはだかる、それでも有名指揮者に見いだされ、一歩一歩指揮者への階段を登るザイアに寄り添う友も出て来るのだが、コンクールで落選し傷心のザイアは立ち直れなくなる、



実在ベースの物語、1990年代、女性指揮者はほとんどいません
(21世紀でもわずか6%)、さらにザイアは移民の娘、格差社会、人種差別、女性蔑視と姉妹を巡る環境はとても厳しいものがあります、エリート音楽院では富裕層の生徒からあからさまな嫌がらせも受けます、今から30年程前のお話なのでさもありなん、しかし、ザイアの音楽への情熱は凄まじく、学校・音楽院・コンテスト・奉仕活動などあらゆることに挑んでいきます、脱帽、

ザイアの指揮するシーンでは自然と身体が動きます、これがとても楽しい、役者の演奏シーンも秀逸、音楽映画のもっとも重要なポイント=リアリティ満載の演奏シーンに魅入り聴き入ります、劇中で指揮者に必要とされる哲学的な人格論も興味深いです、

タイトルからイメージされるようなテンダーな(やわな)映画ではありません、ハードな練習、容赦ない競争社会、惨い現実、これでもかと何度も打ちのめされます、それでも、それでも至福のラストが待っています、とても良い映画です、必見!



(★★★★☆)(2024年日本)
1級の殺し屋として働く女子2人組、偶然遭遇した野良殺し屋と対峙することになる

09ベイビーわるきゅーれ3

簡単な仕事をこなすため宮崎へやって来たちさととまひろの2人組、さっと仕事を切り上げて宮崎観光と焼肉を楽しむつもりだったが、ターゲットを追い詰めると、そこにもう一人の殺し屋冬村が出現、いきなり銃撃戦となる、冬村にターゲットを奪われた2人は殺し屋協会から叱咤され、あらたに地元の先輩殺し屋みなみと七瀬が応援参戦、冬村を追う、冬村は地元殺し屋組合を一気に制圧、残党を率いて反撃、ちさととまひろは再び冬村と相まみえることになる、



殺し屋女子2人組のシリーズ3作目、一流ヒットマンの女子2人組という軽い設定とグダグダの会話、そして、とにかく人が死に過ぎる映画ではありますが、、、

ガンアクションと接近戦格闘アクションが観どころ、女子2人の脱力系会話を楽しみながら、一気にアクションシーンへと没入、この落差がとっても楽しい、主演2人の身体を張ったアクションもますます磨きがかかって楽しめます、現状邦画のアクションシーンとしてはトップクラスの撮影も素晴らしい、

ま、いろいろご意見はあるでしょうが、スクリーンに没入して女子ヒットマンの活躍を楽しみましょう、シリーズ1作目と2作目はサブスクで視聴可能です、順番に観るのも良いかも、



◆(自宅で鑑賞)「宮松と山下」
(★★★!☆)(2022年日本)
記憶喪失の男がエキストラ出演した映画で見つかり、元の生活に戻るのだが、、、

09宮松と

映画のエキストラで食いつなぐ宮松、来る日も来る日も何度も斬られ、何度も撃たれ殺される、そんな生活を京都で送る宮松を訪ねて谷という男が現れる、谷によると宮松の本名は山下で、谷と同じタクシー会社で働いていたと言う、言われるがままに東京に戻り、妹夫婦と対面、全く記憶が戻らない宮松だが、とりあえず3人での生活が始まる・・・



宮松のエキストラ生活が面白い、浪人役で斬られ、仕事終わりに居酒屋でビールを飲んでいるといきなり銃撃される、と、物語なのか?エキストラ出演の映画なのか?観ているほうを混乱させる映画的レトリックは良く出来ています、何回も騙されますので覚悟して観てください、ここが一番の観どころで、騙される快感がこの映画の源泉、

さて物語の核心は、なぜ山下は記憶喪失になってしまったのか?ですが、その答えはザックリと劇中で明かされる事になります、しかし、真実の輪郭が鮮明な訳ではない、ちょっとモヤっとしたまま迎えるエンディング、誤解なのか?惨事なのか?意味深長な作品なまま終わってしまうのが、どうなのか?これで良かったのかもしれません、



◆(自宅で鑑賞)「渇水」
(★★★!☆)(2023年日本)
水不足の酷暑、料金滞納者の水道を止める水道局員が巻き込まれる人間ドラマ

09渇水

水道局に努める岩切は、水道料金滞納者の家の水道を止めるのが仕事、水不足の夏、岩切は各戸を回り料金支払いを懇願、払ってもらえない場合は「停水執行」をする、それぞれの事情がある中で岩切は感情を押し殺して業務を遂行する、母親と2人の幼い娘がいる「停水執行」をした家、母親は金を稼ぐために家を出たきりなかなか帰って来ない、2人の娘は健気に必死に生きようとするが、水が無ければ生きていけない、、、



「停水執行」に至るまでには様々な人間ドラマがあります、料金を払わないから水道を止めても良いのか?水道局員にとってもストレス満載の仕事です、野放図な母親は金を稼ぐために身体を売っていますが、それも行き詰まります、幼い娘2人だけではもう生きていけない様子を観て、岩切は個人的な援助をしようと考えますが、それもまた上の娘の反感を買ってしまいます、岩切自身も家庭での問題を抱えており、徐々に彼の心も壊れていきます、

劇中の台詞、『太陽の光と空気はタダ、なら水もタダで良いじゃない』、なるほど、たしかにそういう気持ちにもなる物語です、

ラストがどうもしっくりきませんでした、たしかに岩切一人の力では解決できない問題ではあるのですが、、、映画的な心象シーンがうまく機能しなかったような感じです、



〇(スクリーンで鑑賞)「犯罪都市 PUNISHMENT」
(★★★☆☆)(2024年韓国)(原題:The Roundup: Punishment)
オンラインカジノ犯罪を摘発するのは、ITにめっぽう弱い鉄拳刑事

09犯罪都市4

フィリンピンで韓国人システムエンジニアが殺害される、違法オンラインカジノに絡んだ事件とみたソウル警察のソクトはIT犯罪課から助っ人を呼んで、デジタル捜査で組織に迫る、黒幕企業の社長が判明、そこから実行犯の用心棒を追い詰めるがすんでのところで逃げられ、ソクトは捜査から外されてしまう、用心棒は黒幕の社長も殺害、逃亡を図るが・・・



お馴染みマ・ドンソク演じる鉄拳刑事シリーズ4作目、今回の敵は闇組織の用心棒、元傭兵のドンチョル、冷静非情で格闘戦でも無類の強さを発揮、フィリピンや韓国内でも警察を圧倒します、立ちはだかるのはもちろん素手だけで悪党をなぎ倒していくマ・ドンソク!というお馴染みの展開ですが、、、剛腕鉄拳も結構見慣れて来たので、そろそろシリーズも幕引きかな?

小悪人が警察に協力、大掛かりな仕掛けでドンチョルを罠に掛けますが、この小悪人が面白い、結構笑わせてくれます、サブスク鑑賞でも良いかもね、




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2024年09月30日

先週は4本、「生きとし生けるもの」「僕が生きている、ふたつの世界」「レベル・リッジ」「シュリ」

(★★★★☆)(2024年日本)
コーダとして生まれた若者の苦悩をていねいに描く、家族愛と成長の物語

09ふたつの世界

東北の田舎町、両親とも耳が不自由な息子の大(だい)、小さい頃から手話と口話を使いながら両親と社会の通訳をして暮らす“コーダ”である、大にとっては当たり前だったそんな世界も、成長するにつれ、自分の家族は“普通の家族”ではないことを思い知らされていく、高校受験に失敗した大は東京に出て、自分の世界を作ろうともがき苦しむのだが、そこにある世界もまた“普通の幸せ”な世界ではない・・・



耳が聞こえなく言葉が話せない親のもとで暮らす、耳が聞こえる子供の事を“コーダ”というそうです、数年前のオスカー作品「コーダ あいのうた」で知った言葉です、今作も“コーダ”である息子大の成長物語です、

大の誕生から東京へ出ていくまでを淡々と時系列で追っていきます、無垢な赤ん坊、可愛い幼少期、活発な小学生に成長した大、耳が聴こえない両親は我が身を嘆くこともなく、明るく前向きに、惜しみなく愛情を注いで大を育てていきます、が、成長するにつれて手話と口話を操る自分が、そして自分の家族が普通ではないことを思い知らされる大、中学生になると母親に反発するようになり、母親と衝突するやるせないシーンが続きます、そして、東京で待ち受けていた世界もまた大が求めていたものとは違うのです、

母親役の演技(ゴメンナサイ、知らない俳優さんです)が素晴しいです、もちろん言葉は話せない役柄ですが、大への愛情がぶれることはない、その感情表現が心に迫ってきます、観後感も良いので、まずは鑑賞してみてください、とっても良心的な映画です、



(★★★★☆)(2024年日本)
余命宣告を受けた患者とその主治医の2人が、どう生きてどう死んでいくのかを確かめる

09生きとし

余命数か月の宣告を受けた成瀬、苦痛に耐えながら自らの最期を迎えようとしている、主治医の佐倉は成瀬に“死ぬまでにやりたい10の事”を書き出せと言うが、成瀬は一つも書くことが出来無い、もう死にたいと漏らす成瀬だったが、ふと成瀬が漏らした言葉から、佐倉は成瀬をオートバイの後ろに乗せてキャンプ場へ向かう、そこから2人の“生きる”という事の意味を探す旅が始まる・・・



余りの苦痛に死にたいと嘆願する成瀬に、佐倉は死ぬことはできると告げます、ある薬を使えば簡単に死ねると、その薬を持って2人は旅に出掛けます、キャンプ場で風を感じ、焚火の炎を見て、BBQのウインナーソーセージを食べる、病室から出た成瀬は久しぶりに生きていることを実感するのですが、痛みもますます酷くなってきます、

佐倉も過去の医療行為で心に傷を負っています、持ち出した薬は2人分、この旅は佐倉にとっても、自分の人生に区切りをつける旅だったのですが・・・

劇場公開作品ではなくテレ東制作のTVドラマですが、良く出来た作品です、余命宣告を受けた成瀬を渡辺謙が、主治医佐倉を妻夫木聡が演じています、もちろんどうあがこうと死から逃れることは出来ないのですが、どう生き、どう死んでいくの、観後感は良いです、生きている事に感謝できるようになる作品でした、鑑賞をお勧めします、



◆(自宅で鑑賞)「レベル・リッジ」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Rebel Ridge)
田舎町の警察の理不尽な仕打ちを受けた男が正義を貫くための闘いに挑む

09レベルリッジ

麻薬事件で逮捕された従弟の保釈金を持って自転車で街へ向かっていたテリー、パトカーに停められ、大金を持っていたことから嫌疑をかけられ、現金は没収される、街へ行き警察署長に金を返すように掛け合うが相手にされず、恫喝され街を出ていくよう命じられる、街の判事の元で働くサマーは経緯を聞きテリーの力になろうとする、サマーによるとこの街の警察には不審なところがあるという・・・



アクション映画によくある、実は腕利き特殊部隊員でした、という設定ですが、テリーは珍しく銃火器を使用しません、接近戦格闘技のスペシャリストという役柄、地元警察の横暴と謎の行動にじっと我慢の対応で粘りますが、従弟は釈放されずに、麻薬組織の手に掛かり死亡、傷心のテリーは一旦街を去りますが、手助けをしたサマーにも闇の手が及び、再び街に舞い戻り、悪徳警官たちとついに一戦を交えることになります、

田舎町の腐敗した警察ほど質(たち)の悪い組織はありません、次から次へと悪事を働き、警察権力で制圧し、隠蔽していく、日本ではちょっと考えられない事ですが、、、それでも、警察ですから、少しの良心がテリーとサマーを救う事になります、シンプルで観やすいアクションムービー、休日のお気楽鑑賞にどうぞ、



◆(自宅で鑑賞)「シュリ」(デジタルリマスター版)
(★★★!☆)(1999年韓国)(原題:Swiri)
1999年制作の韓国スパイアクション映画、北のスパイが韓国で首脳暗殺を目論む

09シュリ

北朝鮮で厳しい訓練を生き延びた精鋭スパイが韓国に潜入、韓国情報組織にも入り込み、最新兵器の液体爆弾を略奪する、韓国情報組織も必死にスパイたちを追うが、情報が漏れているので後手後手を踏む、おりしもサッカー2002年日韓ワールドカップの開催が近づいており、南北合同チーム編成の機運が高まっているが、北朝鮮組織はこれを嫌い、南北両首脳が同席するサッカー会場でのテロ計画を実行する・・・



25年前、韓国アクション映画ブームのきっかけとなった1本、今観てもたしかに面白いです、

とにかく北朝鮮の工作員が強い、韓国の兵隊がどんどん倒れ、情報部員も手玉に取られます、スパイが韓国情報部の中枢に入り込んでいるという設定がちょっと無理っぽいですが、それでも、やっぱり北朝鮮の工作員はこれくらい優秀なんだろうな、という気にさせる恐さです、「シュリ」は韓国の魚の名前、劇中ではスナイパーのコードネームとなっています、ま、シュリの正体は最初から分かっていますから、スパイ探しのサスペンスはありませんが、




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2024年09月24日

先週は5本、「ぼくのお日さま」「ヒットマン」「マッドマックス」「マッドマックス2」「スオミの話をしよう」

〇(スクリーンで鑑賞)「ぼくのお日さま」
(★★★!☆)(2024年日本)
スポーツが苦手な男の子が、淡い恋心と共にフィギアスケートに魅せられる

09僕のおひさま

スポーツの苦手なタクヤ、夏は野球、冬はアイスホッケーのクラブに入っているが、どうもチームに馴染めない、同じスケートリンクでフィギアスケートの練習をしているさくらのスケーティングに魅せられる、その様子を観ていたコーチの荒川はタクヤにフィギアスケートの基本を教える、そして、さくらとペアを組んでアイスダンスに挑戦しないかと勧める・・・



冬は雪深い田舎町、コーチの荒川は名の知れたスケータでしたが、恋人を頼ってこの町にやってきます、タクヤは気は優しいが吃音がありスポーツも苦手、さくらはフィギアスケートの英才教育を受けています、どうみてもフィギアスケートをやりそうにないタクヤが、さくらのジャンプの真似をして氷上で何度も転ぶシーンが微笑ましいです、

この3人の物語は何事もなく澄み切ったままの世界で完結するかと思いきや、思わぬところから綻び始めます、さくらの勘の鋭さにビックリ、おそらくタクヤはなにも分からぬまま一人取り残されてしまいます、

ハッピーエンドではありませんが、余韻のあるラストカットに好感、この先、タクヤとさくらはどうなっていくのか?観後感は良い佳作です、



〇(スクリーンで鑑賞)「ヒットマン」
(★★★!☆)(2023年米国)(原題:Hit Man)
嘱託殺人のおとり捜査官が殺人を依頼してきた女性と恋におちる

09ヒットマン

大学で哲学の教鞭をとりながら、地元警察の撮影録音技術スタッフとして働いているゲイリー、ある日、殺し屋役のおとり捜査官が停職となり、急遽代役でプロの殺し屋を演じることになる、これが意外にも大成功、見事に殺人依頼者の逮捕に成功する、そのまま数々の嘱託殺人依頼者を逮捕していくゲイリー、ある日、夫の殺人を依頼してきたマディソンに一目惚れしたゲイリーは、マディソンを諭し殺人を思いとどまさせるが、、、



独身で猫と暮らす大学教授のゲイリーだが、おとり捜査官として殺し屋を演じ始めると人が変わります、様々なタイプの殺し屋に変装しながら次々と殺人の依頼者を逮捕する大活躍、しかし、好事魔多し、夫の殺人を依頼してきたマディソンを説得して殺人を未然に防ぎ、偶然再会したマディソンと恋仲になるまでは良かったのですが、正体を明かさずマディソンと付き合っているうちに、思いがけない事件に巻き込まれます、

こんなに嘱託殺人=殺人の代行依頼があるとは思えないし、毎回違う殺し屋に変装する意味も良く分からない^^)でも、まあそこは良しとして、終盤の事件の後味が悪いです、これで終わって良いのか?2人は幸せになれるのか?コメディアクションにしては観後感が良くないです、ま、観て損はないですが、


◆(自宅で鑑賞)「マッドマックス
(★★★★☆)(1979年豪州)(原題:Mad Max)
悪事を重ねる暴走族vsハイウエイパトロール警官、今観ても疾走感が凄い

09マッドマックス

治安が悪化していくオーストラリアの田舎町、ナイトライダーと名乗る悪漢は警察の追跡を寄せ付けない、高速パトカーを操るマックスが追跡を開始、ナイトライダーを追い詰め葬り去る、と、街にはナイトライダーを崇拝する暴走族が続々と現れ傍若無人の所業、警察はこれに対抗するが、警官にも死者が出て、マックスの家族にも危機が迫る、



公開当時、世界中で大ヒットしたシリーズ第1作、M・ギブソンが若い!2作目以降は地球が破滅した後の世界観で展開しますが、この1作目は近未来とはいえ、基本的には警察サスペンス、マックスの家族が危機にさらされるシークエンスの演出が怖い、ハラハラドキドキです、

ローアングルのカメラで疾走するスピード感は今観ても迫力満点、冒頭10分間の追跡劇は当時の観客の度肝を抜きました、よちよち歩きの子供が道路に出てくるシーンや、暴走族の手首が車にぶら下がっているシーンなどは秀逸、お話にちょっと拙いところもありますが、45年経っても色褪せないオーストラリア発・初のサスペンス満載のアクション映画、観直す価値あり、



◆(自宅で鑑賞)「マッドマックス2」
(★★★!☆)(1981年豪州)(原題:Mad MaxⅡ)
シリーズ第2作、世界破滅後、マックスはガソリンを求める暴走族と対峙する

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世界大戦で地球は破滅、マックスは独り荒野を彷徨っている、ガソリンを求めて生成を行っている基地に向かうが、そこはすでに暴走族集団の標的になっていた、ガソリンと引き換えに暴走族と戦うことを承諾したマックスだが、、、



2作目からは世界破滅後の世界観の物語、この世界観が2024年最新作の「マッドマックス フュリオサ」まで続いています、

ガソリンを生成している平和的な集団と凶悪暴走族との闘い、マックスはあくまでガソリンと引き換えに暴走族と対峙しますが、今回もマックスは苦戦の連続、世界はどんどん劣化していきます、カーアクションも疾走感より暴力的アクションに変化、ある意味現在の「マッドマックス」シリーズの原典的作品です、1作目の警官映画が懐かしく感じます、



〇(スクリーンで鑑賞)「スオミの話をしよう」
(★★!☆☆)(2024年日本)
三谷幸喜作品、誘拐されたスオミを巡り5人の夫・元夫が繰り広げるドタバタ喜劇

09スオミ

有名作家の妻スオミが行方不明に、誘拐を疑った刑事2人が自宅に入る、実は刑事の草野はスオミの前夫、さらに家事を取り仕切る男、草野の上司、新進起業家とスオミの前夫4人が勢ぞろい、スオミが誘拐されたことが判明すると5人の夫・前夫はスオミを救い出すために激論を展開、しかし、5人が語るスオミはまるで別人、5つの顔を持つスオミとはいったい何者なのか?そんな時、誘拐犯からの要求が届く、



三谷さんお得意のシチュエーションコメディ、富豪の妻で謎多き美女のスオミが誘拐されたことで生まれるサスペンスとお笑い、スオミの本当の顔は?誘拐犯の真の目的は?その辺りが狙いだったのでしょうが、残念ながら今回は不発、

富豪の豪邸が舞台、そこに前夫4人が集まるという設定にリアリティがなくすでにコメディ、冒頭からシリアスな誘拐劇の影は薄く、コメディ前提で鑑賞することになるので、人物からにじみ出る面白みがほとんどなし、これまでのホテル、法廷、空港、収録スタジオなどにはシリアスな問題があり、そこで動き回る人間から笑いが生まれる、というコメディの方程式が成立しなかったのが痛い、

スオミがなぜ様々な顔を持っているのか?の謎解きの説得力も弱かった、ということでサブスクでの鑑賞で良いかと思います、




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2024年09月17日

先週は4本、「パルプ・フィクション」「ローカルヒーロー」「TAXI NY」「Black &White」

(★★★★☆)(1994年米国)(原題:Pulp Fiction)
用心棒、ボクサー、強盗、一流のようで人間臭い男女が巻き起こす騒動

09パルプフィクション

行き当たりばったりで強盗を繰り返すカップル、用心棒の2人は組織のボスからの命令で裏切った若者からブツを取り戻すが、銃の暴発で車の中は血みどろになる騒ぎ、さらにボスの愛人がヤクの過剰摂取で瀕死に、ボクサーのブッチは八百長を命ぜられるが、裏切って相手をノックダウン、ボスから追われる羽目に、一流を気取る面々の間違いだらけの騒動の顛末や如何に!?



タランティーノ監督作品2作目で当時ヒットしました、タイトルの「パルプ・フィクション」は“安い紙に刷られたB級犯罪小説本”というような意味らしいです、

まさにパルプ・フィクションな3組の物語、用心棒の2人がJ・トラボルタとS・L・ジャクソンという豪華キャスト、ジャクソンがすごく若いです、2人ともクールなプロの殺し屋ですが、頭に血が上るとミスを犯すトラボルタと、聖書の一文を語る哲学者ジャクソンのやり取りが面白い、ボクサーのブッチはB・ウイルス、こちらも豪華キャスト、八百長に逆貼りして大金を手に逃走するたはずですが、もちろんそんなにうまくはいきません、冒頭の食堂強盗の顛末はどうなるかと思いきや、、、それは観てのお楽しみ、

タランティーノ作品のお楽しみ、タランティーノ自身の出演もあります、恒例あっけない退場はトラボルタの役割、30年前の作品ですが、今観てもそのセリフ回しや意外な展開に観入ってしまいます、ラスト20分はとくに集中できますね、ぜひ鑑賞を!


(★★★!☆)(1983年英国)(原題:Local Hero)
石油コンビナート用地買収のため、田舎の漁村を訪れた2人のビジネスマン

09ローカルヒーロー

石油会社のエリートサラリーマンのマッキンタイア、社長の命でコンビナート建設の用地買収のため、現地社員のオルセンと共に英国のひなびた漁村に向かう、地元会計士に地主たちの取りまとめを依頼、噂はすぐに広がり村人たちは一攫千金の買収話に浮足立つ、しかし、もっとも広い浜辺を所有する老人ベンは土地を売るつもりがないことが発覚、買収交渉は暗礁に乗り上げる、社長自らも現地入りするのだが・・・



ポルシェを乗り回すマッキンタイアは数百万ドルの大金を動かせる敏腕営業マンです、簡単に買収話をまとめてすぐに帰るつもりが、のんびりした漁村のペースに乗せられて、交渉はゆっくり進みます、村人のまとめは会計士に任せて海岸線を散歩、食事と酒を楽しみ、村人たちとの交流も生まれます、とにかく金で土地を買う事が目的だった彼の心に、徐々にこの土地を愛しむ心が生まれて来ます、

社長は大の天体好きという設定、マッキンタイアに空の様子も報告するように求めます、すると夜にはオーロラも出現、報告を受けた社長は自らも漁村に出向いてくるのですが、それはコンビナート建設の推進が目的ではなかったようです、

大きな事件は起きません、普通の村の普通の人たちは大金を目の前にして夢を大きく膨らませますが、結局この村が持っている最も素晴らしい財産が活かされていく事になります、観後感良し、40年前の作品ですがじんわり心に沁み込んできます、観て損はなし、



◆(自宅で鑑賞)「TAXI NY」
(★★★!☆)(2004年米国)(原題:Taxi)
NYのタクシードライバーがドジな刑事を助けるアクションコメディ

09TAXINY

ドライブテクニックは完璧、チューンアップされた念願のスーパータクシーを手に入れたベルは颯爽とタクシー営業を開始する、客が望めば白バイさえぶっちぎって目的地へ送り届ける超絶ドライブテクニック、刑事のアンディは運転が極端に下手でミスばかリ、元カノの上司からデスクワークに回される、しかし、偶然銀行強盗の現場に居合わせたアンディはベルのタクシーを呼び止めて犯人を追跡、燃え上がったベルはNYを大混乱の渦に巻き込んでしまう、、、



リュック・ベッソン監督がパリを舞台にした同名映画をNYでリメイク、ベルのタクシーはいろんな仕掛けが施されており、とにかく早い、交通ルール無視の追跡劇が観どころなのだが、昨今のアクション映画に比べると色褪せて見えるのは致し方なし、犯人グループがなかなかユニークなキャスティングで楽しめます、

本家のTaxiシリーズは5作あるようですが、本作はそれには入っていません、あくまで1作目のリメイク番外作品、という事のようです、ま、気楽に楽しめるので良いと思います、



(★★★☆☆)(2012年米国)(原題:This Means War)
コンビで活躍するCIA工作員2人が偶然同じ女性を好きになるコメディ

09ブラックホワイト

極秘任務に失敗したCIAエージェントのFDRとタックはデスクワークに回される、お互いを信頼し数々の任務を遂行してきたが、女性に関しては2人ともからっきし意気地がない、あるパーティでローレンと知り合ったタックは一目惚れ、身分を隠してデートすることに、FDRはローレンの本性を見極めるという口実で2人のデートを監視するのだが、偶然ローレンと鉢合わせ、FDRもまたローレンに魅了されてしまう、2人は紳士協定を結び、それぞれローレンとのデートを楽しみ、ローレンにどちらかを選んでもらう事になるが・・・



冒頭のアクションシーンは真面目に作られています^^)で、アクション映画かな?と思って観ていると、実はラブコメディでした、という物語、2人は職権を乱用、監視カメラや秘密兵器を駆使してお互いの恋愛進捗を妨害する、という設定、何も知らないローレンは2人の間で揺れますが、ついにその秘密がローレンにバレてしまいます、激怒するローレン、でも、、、恋の行方は鑑賞して確かめてください、

原題は『これはもう戦争だ!』みたいなニュアンスかな、邦題は案外物語に似合っています、




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2024年09月09日

先週は5本、「フォールガイ」「夜明けのすべて」「インサイドヘッド2」「愛に乱暴」「奈落のマイホーム」

〇(スクリーンで鑑賞)「フォールガイ」
(★★★★☆)(2024年米国)(原題:The Fall Guy)
事故で引退したスタントマンが呼び戻されると、、、そこには罠が待っていた

08フォールガイ

スタントマンのコルト、だれもが知っているアクション俳優トムの専属スタントマンを務めている、どんなハードなスタントもこなしてきたコルトだが、高所から落ちるシーンで事故が発生、大怪我をして引退、恋人の撮影助手ジュディとも音信不通になる、そんなコルトに旧知のプロデューサーのゲイルから現場復帰の話が飛び込んでくる、元恋人ジュディが初監督を勝ち取った作品だ、コルトは意気揚々とオーストラリアの撮影現場に乗り込むのだが、そこにはとんでもない罠がしかけられていた、、、



あまり期待せずに鑑賞したら、、、とっても面白かったです、アクションのスタントマンが主人公ですから、全編アクション撮影シーンが満載、これってこういう風に撮影してるんだとか、こういう仕掛けがあるのかとか、そして、やっぱりこれは体を張ってやっているんだと分かるシーンもあり、それが物語の中でもどんどん出て来るもんだから、どう観たら良いものか?少し混乱します、あまり裏ばかり気にしても物語が面白くなくなるしね、

さて、物語は呼び戻されたコルトに辛くあたる元恋人で監督ジュディとのコメディシーン、何度も焼け焦げにされるコルトが可哀そう^^)そして、本題はコルトに用意されていた罠、主役のアクション俳優トムが当然失踪、ゲイルから頼まれたコルトはトムを探しに彼のマンションに忍び込むとそこには死体が!!コルトは警察から追われる羽目に、、、派手なアクションでホントの窮地を脱することができるのか?

ちなみに“フォールガイ”には文字通りの意味とは別に“負け犬”というニュアンスもあるようです、

エンドタイトルでアクションシーンのメイキングが流れます、これは物語とは別なので楽しめます、最後まで鑑賞して下さい、



◆(自宅で鑑賞)「夜明けのすべて」
(★★★★☆)(2024年日本)
パニック症候群と月経前症候群の2人がゆっくり生きていく物語、秀作

09夜明けのすべて

本年2月にスクリーンで鑑賞した作品ですが、サブスク解禁になったので再度鑑賞、やはり良い作品です、



普段は優しくておとなしい印象の藤沢さん、PMS(月経前症候群)の発作で気持が抑えられなくなり、急に怒りっぽくなる、職場で揉め事を繰り返して退職、そんな藤沢さんの疾患を新しい職場の仲間は理解してくれている、そこにやって来た新人の山添くん、職場の空気に馴染めず、元の会社に戻りたがっている、山添くんのやる気のなさにイライラが募る藤沢さんだったが、あることがきっかけで山添くんもまた心の病、パニック障害を抱えていることを知る、2人と会社の同僚たちはそんな心の病を意識しながらゆっくりと前に進んでいく、



主人公の2人はPMSとパニック障害という疾患を抱えています、藤沢さんも山添くんも一旦発作が出ると周りに迷惑をかけ、自分自身への嫌悪感が生まれ、もがき苦しむことになります、普段は優しく振舞っているだけに、発作を起こした藤沢さんと山添くんを観ているとこちらも苦しくなります、パニック障害は知っていたけど、PMSは詳しく知りませんでした、

そんな2人が、ふとした出来事から、お互いの疾患を理解し助け合うことになります、決して恋人関係ではない、ただ、互いの苦しみが理解できるから、互いに助けたいと願う、苦しむ人を助けることで自らも救われたいと願っているかのように、

2人が勤めるのは小さな精密機械会社、ユルい仕事振りに最初は違和感を覚えますが、物語が進むにつれて、それもまた2人に対する会社の理解があればこそであると分かり納得がいきます、この会社の製品の一つにプラネタリウムがあります、物語の終盤、プラネタリウムを見ながら藤沢さんが朗読する一文にこの物語への想いが込められています、泣けます、

大きな事件は起こりませんが、映画的サスペンスはあります、原作と監督の化学反応の産物、ぜひ自宅で鑑賞を!



〇(スクリーンで鑑賞)「インサイドヘッド2」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Inside Out 2)
少女ライリーの頭の中でひしめき合っているさまざまな感情がライリーの成長を助けます

08インサイドヘッド2

中学3年生の少女ライリー、アイスホッケーの選手として活躍する夢を持っている、ライリーの頭の中には4つの大きな感情たち、ヨロコビ・カナシミ・イカリ・ムカムカ・ビビリがライリーらしさを形作っていた、ホッケーの合宿に親友同級生2人と参加したライリーは、2人が別の高校に行くことを知りショックを受ける、親友だと思っていたのに、、、するとライリーの頭の中に思春期の新しい感情が登場、シンパイ・ハズカシ・イイナ・ダルイが出現、今までのライリーにはなかった一面がどんどん表に出て、親友とも、チームメイトともうまく付き合えなくなっていく、



アイデアが面白いよね、脳内にある感情をキャラクター化して、複雑な人の気持ちを操っていきます、ライリーらしさとは何なのか?中学生のライリーは“私ってイイ子”、でも、高校のチームメンバーに選ばれるために、ライリーは強がったり、ダルがったり、先輩に媚びたり、親友を無視したりと、少しずつ大人の感情を持っていきます、純粋なままでは大人になれない、だれもが通る道なのですが、、、

キャラクター設定が秀逸、とっても変わった感情たちなのですが、観ている間に愛おしく見えて来ます、個人的にはヨロコビが長澤まさみさんにしか見えなくなりました^^)声優も豪華、大竹しのぶ、多部未華子は分からんかった、プロの仕事やね、

アニメ映画では過去最高のヒットとなっているようです、たしかに大人が楽しめる作品かも、ぜひスクリーンで鑑賞してください、



〇(スクリーンで鑑賞)「愛に乱暴」
(★★★☆☆)(2024年日本)
丁寧で健やかな暮らしをし、夫や姑ともうまくやっていっていたはずが、、、

08愛に乱暴

桃子は夫 真守の実家の敷地内にある家で暮らしている、毎日工夫して美味しい料理を作り、姑とも上手に付き合い、カルチャー教室の講師も務める、充実した良き人生を歩んでいるように見える桃子、しかし桃子の心の奥には決して忘れることが出来ない暗闇が潜んでいた、信守のある行動がきっかけでその暗闇が桃子を覆いつくしていく・・・



なにも欠点が無いように見える夫婦と姑、しかし、なにか乾いたカサブタのような感覚が充満しています、真守は桃子の話を聞いていない、姑は桃子を認めているのだろうが、やはり息子が可愛い、そして桃子と真守の結婚のきっかけとなった出来事が静かに床下に眠っています、それは桃子の心に消えない爪痕をのこしていたのです、

江口のり子が熱演、ゆっくりと壊れていく桃子の心をトロトロと吐き出すように演じています、夫の小泉考太郎もこれまでと違うキャラを創造、

原作は小説、未読なのでその結末は知りませんが、映画的にもう少しハッキリと決着をつけて欲しかったです、ラストシーンの意味が良く分からず、ちょっと評価下げました、



◆(自宅で鑑賞)「奈落のマイホーム」
(★★★☆☆)(2021年韓国)(原題:Sinkhole)
やっと手に入れた夢のマイホームマンションが建物ごと地下数百メートルに落下!?

08奈落のマイホーム

会社員のドンウォン、必死に働いてソウルのマンションを購入、家族3人で夢のマイホームに入居する、しかし、そのマンションに少しずつ異変が忍び寄る、新築祝いに社員を呼んでホームパーティを楽しんでいる最中、当然マンションがきしみ傾き、地下空洞に落下していく!



シンクホールという巨大な空洞がマンションの地下にあった!という設定です、そこにマンションが建物の原型を留めたまま落ちていきます、そこからの脱出劇というパニックコメディです、設定に無理があるのでリアリティは無し、とにかくあり得ない状況から這い上がるサラリーマン!?なるほどそういう事か、文字通り這い上がります^^)

休日のお気楽鑑賞にどうぞ、





syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)映画