2024年06月13日

永代貸し出しのCollings OM-2H(2009)がステージデビューしました♪

久しぶりにギターの記事を投稿しましょう♬

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そろそろとギター断捨離を行っています、
まあ、ギターとお金はあの世までは持っていけませんからね^^)

で、断捨離も最終段階、
一番のお気に入りでライブ演奏でもまだ使うかもしれない、
Martin ooo28(1995CTM)は最後まで手元の置いておくとして、

セカンドギターのCollings OM-2H(2009)を永代貸し出しに出しました、

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貸し出したのは高校の後輩でプロミュージシャン、
フラリーパッドの清水さん、
ギター断捨離を喜んで引き受けていただきました、

で、先日2024年6月9日(日)、京都文化博物館のライブで、
そのCollings OM-2Hがステージデビューを果たしました、
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やっぱり、プロが弾くとちゃいますわ、エエ音出してくれていました、
自分のギターがステージで活躍する姿を始めて観て、
ちょっと感慨深いものが、少しこみ上げてきました、

ヨカッタ、
これからのギターとフラリーパッドの活躍も、しっかり見守りますね♬








syougai1pon at 08:50|PermalinkComments(0)ギター 

2024年06月10日

先週も5本、「トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代」「関心領域」「マイ ブロークン マリコ」「トナカイは殺されて」「あちらにいる鬼」

(★★★★☆)(2024年日本)
希代の天才、日本の音楽シーンを切り拓いた加藤和彦の真実と彼へのレクイエム

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1967年、突如発表された「帰って来たヨッパライ」はそれまでの日本音楽界の常識を覆す、レコード会社や作曲家・作詞家が関わっていない、歌い手が自ら作ったこの1曲は大ヒット、そこから加藤和彦の才能は全開!「イムジン河」「悲しくてやりきれない」、サディスティックミカバンド結成、「結婚しようよ」「春夏秋冬」のプロデュース、安井かずみとの結婚、レゲエ・ラテン・タンゴ、舞台音楽と、常に音楽シーンを切り拓いてきた加藤和彦の素顔に迫るドキュメンタリー、



加藤和彦を知る世代には堪らなく素敵なドキュメンタリーに仕上がっています、必見!

とにかく加藤さんの多彩な才能に驚かされます、彼に関わったミュージシャンたちが全員脱帽するその才能とセンスとこだわり、坂本龍一、高橋幸宏、高中正義、つのだひろ、松任谷正隆、蒼々たるミュージシャンから発せられる一言一言が驚きの連続です、

盟友であるきたやまおさむと松山猛のコメントはやはり加藤さんの本質を良く捉えていた感じ、常に新しいものを追求して変遷、レッテルでは語れない存在であり続けた加藤さんの神髄をじんわり感じさせていただきました、

彼の自死に関しては、さすがに皆、歯切れが悪い、もっといろんな世界が待ち受けていたであろうに、という責念の想いがあります、

個人的には、生まれが加藤さんの実家と近く、はしだのりひこさんの家とも近かった、はしださんはよくお見掛けしましたが、加藤さんとは会ったことありません、2002年のフォークル再結成をきっかけに、加藤さんの楽曲メインのフォークバンドを結成、17年間活動、そんな個人的な思い入れもあり、エンディングでは泣いてしまいました、



〇(スクリーンで鑑賞)「関心領域」
(★★★★☆)(2023年米国・英国・ポーランド合作)(原題:The Zone of Interest)
アウシュビッツ収容所の隣に暮らしていたドイツ軍人家族風景を通して描く悲劇

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第2次世界大戦最中、ポーランドのアウシュビッツ収容所長のルドルフ一家、妻と3人の子どもたちと共に収容所の隣の庭付き邸宅で暮らしている、何の心配もない平穏な日々、妻はガーデニングを楽しみ、子どもたちは庭のプールではしゃいでいる、ルドルフは収容所内での任務を効率的に遂行することに何の疑念もない、ルドルフは昇進し転属となるが、妻はなんの不満もない今の生活を手放したくない、この最上の生活が・・・



もちろん、収容所内ではユダヤ人の大量虐殺が日々行われていた訳ですが、塀一枚隔てたルドルフの家族には無縁の事柄、収容所から持ち帰った毛皮のコートを着て姿見で確認する妻の姿が恐ろしいです、

劇中では収容所内の情景は一切描かれません、あくまで平穏で幸せなルドルフ一家の生活を描くだけ、しかし、収容所からは罵声や悲鳴が聞こえ、塀越しに見える煙突からは煙が立ち上り、夜には炎が明々と燃え上がります、越して来た妻の母親はそれに耐えきれず姿を消してしまいますが、妻はその理由が理解できない、この生活がどんな犠牲の上に成り立っているのか?気付いていないのです、

現在のアウシュビッツ収容所の姿も少し映し出されます、そこには恐ろしい戦争犯罪の記憶が刻み込まれていました、怖いシーンがない恐怖映画、映画というツールをよく理解して作られた秀作です、2023年カンヌ映画祭グランプリ、ぜひ鑑賞してください、



(★★★!☆)(2022年日本)
親友を失った喪失感と後悔の念からほとばしる疾走感、永野芽郁熱演

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シイノはTVニュースで親友のマリコが自殺したことを知る、幼い頃からの親友でなにもかも共有していると思っていた親友の死を受け入れられないシイノ、しかしマリコの劣悪な家庭環境と卑劣な父親の所業を知っているシイノは激情に任せてマリコの遺骨を強奪!遺骨を抱いてマリコとの思いでの海を目指し旅に出る・・・



公開時にスクリーンで鑑賞、サブスクでの配信が始まりました、

物語は親友の死で始まります、絶望的な喪失感と親友ならもっと出来ることがあったのかもという誰もが思う後悔の念、しかし、シイノはマリコの置かれていた劣悪な環境を知っています、マリコを救うのは今からでも遅くない、物語は一気に転がり始めます、そこから始まる疾走感が凄い、そして、遺骨との旅が徐々にズルズルになって行くのも面白い、最後の着地点の事件がもうちょっと丁寧に撮れば最高だったのになあ、惜しい!!

永野芽郁が熱演、この人は俳優だね~、エエ目つきしていまわ、ベランダからの跳躍シーンも上手に撮れました、それと食事シーンが印象に残ります、永野芽郁が食べまくる爽快感、ワタシは好きなんですけどね、食事シーン、人がガッツり食べるシーンに執着するのはアジアの文化かな?洋画では滅多に観ませんもんね、

観て損は無し!サブスクで公開中です、



◆(自宅で鑑賞)「トナカイは殺されて」
(★★★☆☆)(2024年スウェーデン)(原題:Stolen)
先住民族が遊牧するトナカイが密猟される事件が頻発、少女が犯人と対峙する

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スウェーデンの先住民族サーミ人はトナカイを遊牧して生計を立てている、サーミ族を快く思わない白人によるトナカイ密猟が後を絶たない、サーミ人のエルサは自分のトナカイも殺されてしまい、警察に真相解明を迫るが、警察も捜査に本腰が入らない、止まない密猟に業を煮やしたエルサは犯人の小屋に忍び込み証拠を掴もうとするが・・・



白銀の世界で巻き起こる事件、何処の国でも先住民族や少数民族に対する偏見や横暴が起こりうるようです、犯人たちはサーミ人に対する偏見で凝り固まっています、雪の閉ざされた世界での偏見と差別による事件、もうどうやっても映画的サスペンスが生まれてくるシチュエーションです、

スノーモビルで走るシーンを観ると、同様の銀世界での事件を描いた「ウインド リバー」を思い出します、ラスト前の決闘シーンが壮絶な名作、今作はそこまでのアクションはありません、犯人との決着も思わぬ形でつきます、それでも寒く雪に閉ざされた世界での事件には独特のサスペンスがあります、好きなテイストの物語、

ちなみにサーミ人、前はラップ人と呼ばれていたそう(聞いたことあります)ですが、この表現は古い蔑称だそうで、現在はサーミ人と呼ばれています、



◆(自宅で鑑賞)「あちらにいる鬼」
(★★★!☆)(2022年日本)
流行作家同士の奔放な男女関係と、それを見守る妻

06あちらにいる鬼

進歩的な恋愛観を持つ作家 長内みはるは、講演会で知り合った作家 白木と恋におちる、白木は多くの女性との関係を持ちながら、妻笙子と子どもとの家庭にも目を配る、みはるも他の男との関係を持ちながらも、白木との関係を断ち切れない、2人の関係は男女の仲以上の結び付きに発展、妻笙子もそれを見守るという奇妙な関係が続くが、ある日、笙子は突然出家する決意をする・・・



瀬戸内寂聴と井上光晴、その妻をモデルにした私小説の映画化、2人の濃密な男女関係や奔放な行動がしっかり描かれています、みはるが主人公かと思って観ていたら、どうも一番存在感を示すのは妻笙子でした、夫の不貞行為の後始末を粛々と行う笙子、決して弱い妻ではなく強い意志を感じる妻笙子を広末涼子が好演、物語後半で彼女が一段と際立ちました、

瀬戸内寂聴さんの波乱万丈の人生と実際に出家したのは周知、劇中では寺島しのぶが体当たりの演技で髪を落とし女優魂を発揮しました、

タイトルの「あちらにいる鬼」とは?先に亡くなった井上のことなのか?それとも、すでに鬼籍に入った寂聴の事なのでしょうか?とにかく凄い人生だったようです、






syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)映画 

2024年06月03日

先週も5本、「ボブ・マーリー」「アメリカン アンダードッグ」「アトラス」「ミッシング」「流浪の月」

〇(スクリーンで鑑賞)「ボブ・マーリー ONE LOVE」
(★★★★☆)(2024年米国)
母国の平和を切望したレゲエミュージシャンの魂の叫び

05ボブマーリー

カリブ海の小国ジャマイカ、英国から独立したものの政治状況は混迷を極めていた、1976年、国内ではすでに大スターとなっていたボブ・マーリーは2大政党の駆け引きに巻き込まれ、銃撃を受け妻が負傷する、それでもライブに出演し続けたボブだが、ついに身の危険を感じバンドメンバーと共にロンドンへ逃れ、のちに20世紀最高と称賛されるアルバムを製作する、一方ジャマイカ国内では内戦の危機が迫っていた・・・



名前は知っていましたが、ハッキリとしたイメージが無かったボブ・マーリーの半生記です、当時ジャマイカでは2大政党が対立、公然と相手陣営に対する襲撃が行われるほどの混乱ぶり、スターだったボブは政治の道具にされることを嫌い、音楽の力で母国の平和を願います、

レゲエはボブ作ったといっても過言ではないそうです、レゲエの核心は「ラスタフェリ運動」という宗教思想=黒人のアフリカ回帰と人種差別の撤廃、こういう宗教的要素が強い音楽だったので、ジャマイカの政争にも巻き込まれていったのか?、と、今回の映画で知りました、

ロンドンでクリエイティブな活動をしたボブのバンドは、欧州ツアーなどを経て、1978年ジャマイカに帰国、ライブで対立する政党党首を結びつけ、その平和への想いを実現します、そして、病気のため36歳の若さで他界します、母国の平和とラスタに捧げた人生でした、

レゲエ、たしかに1980年頃に日本でもブームになりました、この頃ボブ・マーリーも聞いていると思うのですが、、、ワタシはというと「ラムコーク」と「トロピカルドリンク」を覚えただけの日本の呑気な若者、トホホ…ちなみに、日本にレゲエを始めて持ち込んだ曲(泉谷しげる:君の便りは南風:1973年)をアレンジしたのは加藤和彦さん、ここにも天才がいました、

ボブ役がとっても素晴らしい歌唱と肉体を披露、とくにデビューを決めたオーディション演奏のシーンがとても楽しい🎵最高、

レゲエファン・音楽ファンでなくても観て損は無し、


(★★★★☆)(2021年米国)(原題:American Underdog)
スーパーの店員からスーパーボウルのMVPに登り詰めた男の実話

05アメリカンアンダー

マイナー大学のアメリカンフットボールチーム、QB(クオータバック)のカートは独自のプレイスタイルで自分の能力を信じプロフットボウル選手を目指している、が卒業年度のドラフトで指名は無し、ブレンダと知り合い、障害のある彼女の息子とも優しく接するカート、やっとプロチームから声が掛かるがわずか2日で解雇され、スーパーマーケットで荷出し係をしながらチャンスを待つがすでに27歳、もうプロ入りのチャンスは潰えたと思えたが…



実在の伝説のQB:カート・ワーナーの半生記、ですがスポーツ一辺倒の映画ではありません、家族映画という趣も強い秀作です、

カートは、気は優しいが力持ち、視覚障害のあるブレンダの息子を愛しみながら、NFLをあきらめて興行要素の強いアリーナフットボウルの世界に身を投じます、このアリーナフットボウルというのも初めて知りました、サッカーで言うとフットサルのような狭いピッチで行われるアメリカンフットボウルをベースにした競技です、ここでの活躍がスカウトの目に留まり、ラムズに入団、そこで才能を開花させ、シーズンMVP、スーパーボウルMVPを獲得する名QBに上り詰めます、

画に描いたようなアメリカンドリーム物語、でも、カートの人柄がより物語を厚みのある仕上がりにしています、ラストの試合シーンは実際の試合映像と映画映像のミキシングが成功、記録映像のカートやブレンダ、ヘッドコーチなどと映画の俳優たちがそっくりなのにも驚きました、

拾い物の1作、自宅でゆっくり鑑賞してください、

“Under dog”は、試合などで『勝ち目のない人』、というような意味、



◆(自宅で鑑賞)「アトラス」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Atlas)
近未来、反乱を起こしたAIと向き合うことになる開発者が向き合う因縁とは

05アトラス

人間とAIが共存する近未来、突然AIのハーランが人類を攻撃し始める、なんとかハーランを宇宙の果ての追いやるが、ハーランの反撃を恐れた人類は討伐部隊を送り込もうとする、ハーラン開発者の娘アトラスは、部隊長にハーランの狡猾さを示唆、それを自信満々で一蹴する部隊長、結局アトラスは自身も討伐部隊に同行することにするが…



分かりやすい人類vs AI物語です、辺境の星で戦うのは“ガンダム”風のモビルスーツ、部隊は“エイリアン2”の宇宙海兵隊風、この部隊、あっという間にハーランの歯牙に掛かってしまうのも“エイリアン2”同様、唯一生き延びた科学者アトラスは“エイリアン”のリプリー役、ある因縁からアトラスはAIと同期する恐ろしさを知っていますが、戦うにはモビルスーツAIのスミスと同期しなければならないという、皮肉なシチュエーション、この人間アトラスとAIスミスとのやり取りと、その結末が物語の心棒です、

とっても分かりやすい物語なので休日のお気楽鑑賞にピッタリです、安心して鑑賞してください、



〇(スクリーンで鑑賞)「ミッシング」
(★★★☆☆)(2024年日本)
ある日、幼い娘が行方不明になった夫婦の苦悩と、世間やマスコミ・ネットの無垢な暴力

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娘の美羽が行方不明になった豊と佐緒里夫婦、ボランティアの助けを借りて駅前でチラシを配り、TV局の取材を受けて情報提供を呼び掛けている、TV局のディレクター砂田はなんとか力になりたいと願っているが、上司から次々と命ぜられる強硬な取材をせざるを得ない、美羽と最後に一緒にいた佐緒里の弟圭吾も取材をきっかけに犯人の可能性を疑われる、マスコミやネット、近隣の目に翻弄される豊と佐緒里、はたして美羽は帰ってくるのか?



近年、国内の子供の行方不明者は年間1100人以上に上るそうです、これは驚き、そんな状態を物語にする意味はあると思いますが…

物語は豊・佐緒里夫婦の苦悩の日々を描き続けます、何度も押し寄せる希望と絶望の荒波、TV局の砂田は丁寧に取材を続けようとしますが、上司は目先の視聴率を稼げるスキャンダルを求めます、弟の圭吾は犯人扱いされ職を失います、警察も動いてはいますが成果は上がらない、と、延々と見せられる息苦しい物語、しかし、その間に少しの喜びや人の優しさも垣間見ることが出来ます、

といった映画なのですが…正直、映画としては希望の光がありません、観後感があまりにも悪いです、これだけの苦痛を濃密に描くなら、これだけ理不尽な社会を描き、マスコミやネットを皮肉たっぷりに批判するなら、それに見合った希望や喜びを提供するのが映画の役割だと思います、脚本か?監督か?製作か?誰の責にせよ、すべてを放り投げただけの結末を良しとは思えません、他の結末もあったはず、予定調和でも結構、娯楽映画としての役割を認識して欲しかったです、

石原さとみ、熱演の姿勢には好感、が、最も感極まるはずのシーンで涙が溢れ出ないのは惜しい、

めずらしく厳しい批評になってしまいましたね、



◆(自宅で鑑賞)「流浪の月」
(★★★!☆)(2022年日本)
幼い頃の事件体験が15年後にふたたび二人を引き合わせてしまう悲劇

05流浪の月

幼い頃に事件に巻き込まれた経験がある更紗、ある日、同僚と行ったカフェでその事件の当事者の男、文(ふみ)と出会う、恋人亮に暴行された更紗は文のもとへ逃げ込む、実は15年前、文は更紗を誘拐した犯人として逮捕されていた、しかし、その事件の真相は別にあり、文と更紗は心の絆で結ばれていたのだが…



「ミッシング」同様、救いようのない物語、更紗を誘拐した罪で少年刑務所へ送られた文、これは冤罪でした、マスコミや社会は文をステレオタイプの異常者として社会から抹殺、そして15年後、更紗と文の再開は新たな事件としてマスコミが情報を垂れ流し、警察はまたもや文を逮捕します、事の真相を語れない更紗、そして文にも逃れることが出来ない宿命があるのです、

スクリーンでも鑑賞済、出来栄えは実に良い映画です、広瀬すずも体当たりの演技、高評価も頷けますが、更紗の運命と文の宿命が重すぎて、2人のピュアな心持ちさえ汚されていく感じがどうしても支持できません…残念、

なぜ、この2本を続けて観てしまったのか?分からない…




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)映画 

2024年05月27日

先週も5本、「碁盤斬り」「トスカーナの幸せレシピ」「ロードハウス」「ゴヤの名画と優しい泥棒」「REBEL MOON 2」

〇(スクリーンで鑑賞)「碁盤斬り」
(★★★★!)(2024年日本)
清廉潔白に生きる武士に降りかかる冤罪と苦悩と復讐劇、囲碁愛好者は必見

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貧乏長屋に住む浪人の柳田と娘のお絹、柳田は囲碁の達人でひたすら清廉潔白に生きることを信条としている、縁があり大店萬屋の主(あるじ)源兵衛と知り合い碁を打つ仲になる、ある日、柳田と源兵衛が萬屋で碁を打った日に50両の金が消えうせる、萬屋の番頭は柳田に疑いをかけ、無実の柳田は憤慨、お絹は色街に身を沈めて50両を工面する、そんな折、柳田を訪ねて国元から使者がやって来る、柳田が藩を追われた理由と妻の悲劇も明らかになり、柳田は復讐を誓う・・・



とても面白かったです、“碁”という地味な素材、融通の利かない清廉潔白で誇り高い武士という難しいテーマを見事に紡ぎあげたのは草薙剛のキャラクター、金儲けに熱心な商人、軽薄な番頭、そして碁敵との死闘という時代劇らしい展開も、草彅剛にキャラクターで一段ギアアップ!!先週観た「鬼平犯科帳」も健闘しましたが、今作に軍配を上げます。

時代劇の見せ場=殺陣も少しありますが、今作の核心は“碁”を使って上手に盛り上げた映画的サスペンス、刀は抜かずとも映画的サスペンス満載、序盤から中盤、そしてヨセ(終盤)まで、碁盤とそれを挟む2人からこれほどのオーラが出るとは驚きでした、

これだけ“碁の闘い”を正面から見据えた作品は初めてではないでしょうか?少し碁を打つので分かりますが、安直なドラマによくある不自然な盤面配石は皆無(1か所だけ、腑に落ちない配石がありましたが、それはワタシの見損じでしょう)、そのリアリティがサスペンスを生み出していました、

清原果耶がこれまでで一番の好演、口角が良く上がっていました、斎藤工はちとミスキャストか?

碁を打つ人はより一層楽しめます、必見です、落語が原案というのも面白い、


(★★★★☆)(2018年イタリア)(原題:Quanto basta)
アスペルガー症候群の青年がその才能を料理で開花させます

05トスカーナ

シェフのアルトゥーロ、料理の腕前は一流だが血の気が多く、オーナーと喧嘩になり傷害罪で有罪に、罰として社会奉仕活動を命ぜられる、活動先は障がい者が集う施設、そこで料理を教えることになるが、生徒の1人グイドが味覚と料理に関する特別な才能を持っていることに気付く、1人では移動できないグイドに付き添って、トスカーナで開催される料理コンテストに2人で参加、順調に予選を突破するが、アルトゥーロにレストランシェフへの復帰話が舞い込む、アルトゥーロがグイドを残してコンテスト会場を去るが・・・



劇場公開時にスクリーンで鑑賞していますが、今回自宅で再鑑賞、やはり、とても観後感が良い作品でした、

血の気の多いアルトゥーロ、最初はグイドや他のアスペルガー症候群の若者たちに当たり散らしますが、グイドの清らかの心根に徐々に自らの欠点に気付き始めます、グイドの才能はズバ抜けていますが、日常生活ではとっぴおしもない行動を連発、周りをハラハラさせます、アルトゥーロが自らの殻を破るのと同じようなスピードでグイドもグイグイ成長していきます、

劇中では都合の良いことばかりが起こるわけではありません、あれこれトラブルや周りに迷惑もかけてしまう、それでもグイドの清らかな心根がハッピーエンドを呼び寄せます、

92分という上映時間も良い、劇場公開時はちょっと物足りなく感じたようですが、観返すとこれくらいがちょうど良い長さかな、ハッピーな気持ちになる1本、ぜひ鑑賞してください、



(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Road House)
フロリダのレストラン、用心棒に雇われた悩める格闘家の奮闘とマフィアの暗躍

05ロードハウス

地下格闘技家のダルトン、過去の試合で相手に過剰な攻撃を加えたことを悔やみ悩んでいる、ある日、フロリダの“ロードハウス”の女性オーナーから用心棒の話が舞い込む、気乗りしないダルトンだが結局引き受け、フロリダに向かう、その“ロードハウス”には血の気の多い客が連日押し寄せ、揉め事が絶えないが、ダルトンはその剛腕で次々と日々の事件を解決してゆく、しかし、その裏で地元マフィアがある企みを進めていた・・・



ダルトンは基本、銃や武器を使用しない、その両腕だけで相手をなぎ倒していくファイター、過去の試合でキレてしまい過剰な攻撃をした経験があり、努めて冷静に用心棒の仕事をこなしていきます、“ロードハウス”ではなぜか連日ヨッパライの喧嘩騒ぎに、しかし、それがエスカレートしていく裏には、地元を牛耳るマフィアのある魂胆がありました、地元警察もマフィアに取り込まれており、ダルトンは孤軍奮闘、殴って殴って殴りまくります、

“ロードハウス”では連日の喧嘩と共に、ステージのライブも開催、このライブがなんか面白い、ポップスにカントリー、カリプソ風にラップ風など、毎回違うテイストのライブ音楽をバックに乱闘騒ぎ、有名アーティストとも出ているのかな?知りませんけど、

しっかり仕上がっているので安心して鑑賞できます、真っ青なフロリダの海を満喫できる映画でもあります、ちょっとフロリダへ行きたくなりました^^)

副題は無用、


(★★★!☆)(2020年英国)(原題:The Duke)
気難しい英国老人が話題の名画を盗み出してしまう、ジェントルなコメディ

05ゴヤの名画

タクシー運転手のケンプトン、何作も戯曲を書いているが上演されたことはない、正義感が強すぎて、あちこちで騒ぎを起こしてしまう困った老人でもある、BBCのTV放送を無料で観られないことに憤慨し、老人の無料視聴を認めるよう運動を始めるが市民の反応は薄い、そこでケンプトンは話題のゴヤの名画「ウエリントン公爵」を盗み出し、その身代金を老人のBBC視聴料に充てることを思いつく・・・



1961年、英国の美術館から当時話題になっていたゴヤの「ウエリントン公爵」が盗まれました、この事件の真相を描いた物語、ですが、ホンワカしたコメディであります、

主人公のケンプトン、機転が利きお喋り好き、心根は優しい男なのですが、とにかく融通が利かない、不正や正義を曲げるものを見つけると正さずにはおれない性格、その性格のせいで損ばかりしているケンプトンがなぜか大胆な名画泥棒に成功、自宅に名画を隠して、政府に身代金を要求します、結局は逮捕されるのですが、裁判の結果は?そして事件の真相は、、、

警察が国際窃盗団の犯行と見立ててトンチンカンな発表をする下りが面白い、如何にも英国らしいブラックジョーク、妻役はヘレン・ミレン、めずらしく地味な老け役で最初は分かりませんでした、

ハートウォーミングな物語なのでぜひ鑑賞を、原題は「公爵」の意、



(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Rebel Moon - Part Two: The Scargiver)
「七人の侍」のスペースオペラ版、帝国軍の反撃に農民たちが立ち上がる

05レベルムーン2

帝国から反逆者として追われているコラは6人の仲間を集めて帝国軍を打ち破り、農村へ帰還、しかし死んだはずの帝国軍の提督は瀕死の重傷から生還、大軍を率いてコラたちの農村を襲う、農民たちは戦士たちの指導を受け、間に合わせの武器と数々の罠で帝国軍を迎え撃つが、圧倒的な戦力の差に戦士達も次々と倒れ、ついに農村消滅の危機を迎える・・・



サブスクで公開中のシリーズ2作目、パート1で集まった戦士たちが農民と協力して帝国軍を迎え撃つシークエンス、「七人の侍」にインスパイアされて制作されている本作、パート2では農民達が武器を取り、防御策を施して帝国軍と戦うという、「七人の侍」でのハイライトシークエンス、多数の農民と戦士も何人かが戦死、壮烈な戦いとなります、

もちろんパート3もあります、ここからは「スターウォーズ」的なお姫様救出劇になるみたいです、

休日のお気楽鑑賞に、結構楽しめます、





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2024年05月20日

先週は5本、「ベルリン天使の詩」「鬼平犯科帳 血闘」「アメリカン フィクション」「桐島、部活やめるってよ」「ザ キラー」

〇(スクリーンで鑑賞)「ベルリン 天使の詩」
(★★★!☆)(1987年西ドイツ・米国合作)(原題:Der Himmel uber Berlin)
ヴィム・ヴェンダース監督作品、制作当時に全世界でヒットした名作

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人類が誕生する前よりこの世界を見守ってきた天使のダニエル、親友の天使カシエルと共にベルリンの街で人々の心の声を聴き、哀しい人の心に寄り添っているが、人は誰も天使には気づかない、サーカス団の空中ブランコ乗りのマリオン、サーカス団が解散することになり途方に暮れている、そんな彼女にカシエルは心惹かれていく、米国から映画撮影にやって来たピーター・フォーク、彼だけはなぜかカシエルの存在を感じ取ることが出来るようだ、様々な人の心を覗くうちにカシエルは人としての生き方に興味を持ち、天使を止めて人間になる決意をするが・・・



天使カシエルはオーバーコートにマフラーを巻いたおじさんです、他の天使もいたって普通の人間、でも人は天使が見えません、天使は人の肩にそっと手を置くだけ、それでも敏感な人は安らぎや活力をもらうことが出来ます、でも天使でも防げない悲劇もあります、そんな時間を人類誕生前から過ごしてきた天使たち、人間の俗世間に紛れ込みたいという天使も多いようです、この辺りがとても人間っぽい天使たちです、

ヴィム・ヴェンダース監督の代表作品も、もともとは次回作の制作開始が遅れ、急遽制作が決まった中継ぎ作品だったそうです、よくあるお話、

今回はデジタルリマスター版を劇場で鑑賞しました、冒頭にデジタルリマスター作業のクレジットが入ります、天使の世界はモノクロ、人間世界はカラーで描かれており、公開当時は複雑なアナログ処理で画質が落ちてしまったそうな、それを今回はデジタルで修復、オリジナルとどれほど違うのか?ワタシには確認できませんが、価値ある修復作業と言えると思います、

コロンボ役のピーター・フォークが本人役で登場、


〇(スクリーンで鑑賞)「鬼平犯科帳 血闘」
(★★★!☆)(2024年日本)
ご存じ鬼平の若き日々の因縁が大量虐殺盗賊を生み出してしまいます

05鬼平

火付け盗賊改方長官の長谷川平蔵のもとに、若き日に世話になった恩人の娘おまさが現れる、おまさは鬼平の密偵になることを望むが鬼平はそれを許さない、おりしも江戸では大店に押し込み一族雇人を皆殺しにする強殺盗賊が暗躍、偶然手掛かりを掴んだおまさは盗人一味に潜入することに成功するが、身元がばれてしまい囚われの身になってしまう、、、



昭和の人ならだれもが知っている池波正太郎の「鬼平犯科帳」、時代劇チャンネルが新作3本を制作、うち「血闘」が劇場公開され、後の2本は時代劇チャンネルで公開されるようです、

「血闘」では、若き日の鬼平の素行の悪さや関わっていた人間の悪行が描かれます、そこから生まれた因縁が強殺盗賊を生み、鬼平に因果が降りかかるという物語、完全無欠の善人ではない鬼平の苦悩と悪を憎む決断がステレオタイプの時代劇以上の迫力を生み出しています、

しかし、殺陣は期待した程ではなかった、もっとリアルな殺陣も作れたと思いますが、TVドラマの延長線上の殺陣に留まっています、少しもったいない感じ、もうちょっと丁寧に作ってほしかったです、鬼平を松本幸四郎が、鬼平の若者時代を市川染五郎が演じる親子共演はそれなりに楽しかったです、

北村有起哉、迫真の演技で悪役を演じ切りました、



(★★★!☆)(2023年米国)(原題:American Fiction)
ありきたりなアフリカ系米国人表現を嫌い反発する、アフリカ系米国人小説家の物語

05アメリカンフィクション

インテリ小説家のモンクは最近作品を書き切れていない、大学でアフリカ系米国人表現に関する講義をしているが人気はさっぱり、大学から休養を申し渡される、認知症傾向の母親がいる実家に帰って兄妹とも久しぶりに言葉を交わすが、家族全員変わり者でブチ切れるモンク、編集者から原稿の催促を受け、パロディ・あてつけのつもりで書いた、ステレオタイプの黒人犯罪大衆小説が出版社の目に留まり、これが皮肉にも大ヒット作品となってしまう、、、



もちろんモンクも黒人ですが、どうも映画や小説の“ステレオタイプの黒人像”が気に喰わない、持論を展開するも共感を得れないで、独り悶々とする毎日、そこで世間を笑い者にしてやろうと書いた、通俗黒人犯罪小説が大ヒット、金銭的な問題も抱えていたモンクは信念と現実の板挟み、そこで初めて自らが持っていた黒人感の欠点にも気づくのですが・・・

通俗小説はバカ売れ、ついには文学賞受賞の噂も、ハリウッドからは巨額の映画化オファーが、と米国カルチャー産業を皮肉りながら、モンク自身の抱える自己矛盾も露呈させ、はて?これはどうして決着をつけるのか、最後はみんなぶっちゃけるのか!?と、とても楽しみにして観ましたが、ラストはワタシの期待通りにはなりませんでした、、、

う~ん、なんかラストが惜しいなあ、ラストさえしっくりくれば、、、ま、これも劇中で皮肉っている通りなのかな^^)



(★★★!☆)(2012年日本)
桐島が部活を止めたことから、学内に不安がさざ波の如く広がり崩れるバランス

05桐島02

バレーボール部のキャプテン桐島が部活を辞め学校にも来ていない、という噂が学内に広がる、突然の桐島の謎の行動、親友の菊地も理由は知らない、バレーボール部は抜けた穴を埋めるのに躍起になり、女子グループの仲にも亀裂が入る、菊地に恋する吹奏楽部の亜矢や、映画作りに励む映画部の前田の部活にも影響が出る中、桐島が学校に現れるという噂が流れる、、、



騒ぎの張本人 桐島は最後まで画面には登場しません、彼がなぜ部活を辞めるのか?その理由も語られません、噂、伝聞だけが校内に拡がる中で、それに振り回され右往左往する高校生の様を描くことがこの物語の核心です、その右往左往には必ずしも関連性は無く
(関連しているものもありますが)、それぞれが別のエピソードのような語り口で物語が進みます、

物語は金曜に始まって、たしか火曜日で終焉を迎えます、小気味よい展開、金曜日のエピソードが5回かな?繰り返し別の人物の視点で描かれていきます、この辺りは映画的レトリックにあふれていて面白かったです、

結局なんだったのか?桐島はどんな奴だったのか?よく分かりませんが楽しく鑑賞できます、今をときめく神木隆之介が映画マニアを好演、松岡茉優も比較的軽い役で出演、原作は小説すばる新人賞受賞作品、



◆(自宅で鑑賞)「ザ・キラー」
(★★★!☆)(2023年米国)(原題:The Killer)
クールでクレバー、完全無欠の暗殺者でも失敗はある、しかし復讐は失敗しない

05ザキラー

完璧な暗殺者のはずが、ちょっとしたアクシデントで任務に失敗、組織は彼を処断するためにアジトを急襲、アジトにいた恋人に危害を加える、復讐を誓った主人公の暗殺者は持ち前の冷静さと完璧な計画で次々と復讐を実行、組織のボス、襲撃した暗殺者と関係者たち、そして最後には暗殺を依頼したクライアントにまで迫っていくが、、、



まず冒頭の暗殺失敗はまったくの不運、だけではないようなミス、冷静に対応すれば結果が出たかもしれないが、狙撃に失敗して、その場から主人公は遁走、しかし復讐になると本来?の能力をいかんなく発揮、世界を駆け巡りながら恋人の復讐を次々と成し遂げていきます、ここまで出来るなら、最初の任務のバックアッププランも用意してたのでは?と思ってしまいます、どうもそこらが腑に落ちない、

主人公の暗殺前のルーティンが面白い、いかにもクールでクレバー、でも彼女の事になると燃え上がる熱い性格^^)悪くはないけど強引な展開、やはり設定のどこかに無理があるのかな、

休日のお気楽鑑賞にぜひ、




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2024年05月13日

先週は4本、「タイガー 裏切りのスパイ」「ゴジラ-1.0」「シン ゴジラ」「ラスト ナイツ」

〇(スクリーンで鑑賞)「タイガー 裏切りのスパイ」
(★★★!☆)(2023年インド)(原題:Tiger 3)
インドとパキスタンの衝突危機を救うインドのスーパースパイ タイガーの活躍

05タイガー

インドの諜報機関RAWのスパイ、無敵のタイガー、インドとパキスタンの緊張関係を緩和するためにパキスタンの女性首相が話し合いの意向を示す、しかしその裏でタイガーの仇敵がパキスタン軍部と共にクーデターを計画、危機を察知したタイガーだが、妻のゾヤがパキスタンの2重スパイである疑惑が浮上、妻を信じるタイガー、しかし証人を守る任務中にタイガーたちを襲ってきたのは、なんと妻のゾヤだった!!



インド映画でスパイ映画は初めて見ました、シリーズ3作目ですが初見でも十分楽しめます、世界観は007+MIP+ジョン・ウイックな感じ、ロケでヨーロッパ各地を飛び回るタイガーは007、敵地に乗り込む仕掛けとチーム編成はMIP、ガンフーアクションはジョン・ウイックな感じ、これだけ詰め込んでいるのでなんちゃってな部分も多々あり、本編は実質135分程ですが見応えあります、

背景にあるのはインドとパキスタンの長年に渡る憎悪敵対関係、何処の世界でも隣国とは仲が悪いようです、でもタイガーは平和と民主主義を尊ぶスパイ、物語からのメッセージも両国関係の平和裡な進展を望んでいます、

全編156分の長尺、でもあっという間です、時系列が行き来する出だしは少しモタモタしますが、アクションシーンが始まってからはノンストップ、エンドロールでしっかり踊る(インド映画のお約束)ので本編はそれほど長くないです^^)前の2作も観てみるかな、



◆(自宅で鑑賞)「ゴジラ-1.0」
(★★★★☆)(2023年日本)
アカデミー賞獲得のゴジラ映画最高峰作品、サブスク解禁であらためて鑑賞

05ゴジラ-1.0

昭和20年、敗戦濃厚の日本軍、特攻隊の敷島は不時着した島で恐竜のような生物に襲われる、整備部隊は全滅するが敷島は生き残ってしまう、引き揚げて東京でなんとか暮らす敷島、両親を失った典子と赤ん坊を引き取り、生活費を稼ぐために機雷掃海の危険な仕事に就く、そんな時、日本南方で米軍艦が謎の事故で大破、さらに巨大生物ゴジラが東京に上陸、東京の街を破壊し尽くす、敗戦国日本に軍隊はなく、米軍もソ連と対峙しており、ゴジラ殲滅作戦は民間の旧海軍兵士有志に託されることになる、ゴジラ上陸で典子を失った敷島は再び特攻作戦を実行する、



あらためて観て、本作のVFX技術の精度の高さを再確認、納得のアカデミー賞視覚効果賞受賞作品です、

水面のゴジラ、水中のゴジラ、軍艦の表現、昭和20年代の東京の再現、そしてそこに現れ東京を蹂躙するゴジラ、見事に昭和の世界にゴジラが踏み込んできて、東京を破壊し、暴れまわるインパクトある描写が成立しています、

先週観た「ゴジラ×コング 新たなる帝国」は、CGで作られた世界に人物だけが実写で入り込んだような世界観、それとは全く違う、現実世界にゴジラを連れてくる、これに成功したからこそのアカデミーの評価だと思います、

サブスクで鑑賞できます、ぜひ鑑賞してください、大人も子供も楽しめます、




◆(自宅で鑑賞)「シン ゴジラ」
(★★★★☆)(2016年日本)
「ゴジラ-1.0」前までは、個人的ゴジラ映画No.1作品、やはりこれも面白い

05シンゴジラ

東京湾から謎の巨大生物が蒲田に上陸、当初は上陸後に死んでしまうとみられていた巨大生物は変態を遂げてどんどん進化,東京を蹂躙して海に帰っていく、ゴジラと名付けられた巨大生物がふたたび鎌倉に上陸、最新装備の自衛隊の防衛戦をいとも簡単に突破するが、品川駅付近で活動を停止する、、、



こちらもゴジラ映画の傑作、日本映画で初めてゴジラがCGで描かれました、そのCGゴジラの出来がとっても良い、ゴジラの造形だけの出来でみれば「ゴジラ-1.0」よりこちらの方が好きかも、

物語はゴジラ映画王道の1つ、ゴジラvs自衛隊+日本政府の対応という話法ですが、人間ドラマ部分のリアリティが高く、CGゴジラと相まって相当精度の高い作品になっています、総理大臣が死んだり、米軍が核攻撃を目論むなど、これまでにないサスペンスも満載です、

「ゴジラ-1.0」と本作に共通するのは、自衛隊の武器兵器や太平洋戦争時の軍艦航空機が正確に愛情をもって比較的正確に描かれているところ、空想科学新兵器は出て来ません、両作ともなんとか納得できるギリギリのところでゴジラ撃退作戦が実行されます、好きやなあ、この感じ、

本作も、大人も子供も一緒に楽しめます、ぜひ自宅で鑑賞を、

過去記事はこちら ⇒


◆(自宅で鑑賞)「ラスト ナイト」
(★★★!☆)(2015年米国)(原題:Last Knights)
腐敗した政府に主君を謀殺された騎士団の復讐の物語

05ラストナイツ

中世の何処か、バルトーク卿は領民の安寧を願い領地を治めている、が、帝国の大臣からの賄賂要求を撥ねつけたために謂われなき罪に問われ、その場で自身の部下騎士団長ライデンにより首をはねられる、後継を頼まれていたライデンだが主君の首を落としたことから自暴自棄になり、酒浸りの毎日を送ることに、ライデンらの復讐を恐れる大臣は1年にわたりライデンの監視を続け、ついにライデンは心神喪失と判断、監視を解くが・・・



と、上の記事を読むともうお気づきかもしれませんが、「忠臣蔵」を下敷きにした中世ヨーロッパ版仇討ち物語です、大石内蔵助役の騎士団長ライデンは機が熟すまで酒浸りも毎日を送りますが、監視が解けると覚醒、部下たちも集結、綿密な計画のもとに少数精鋭で帝国の城に攻め込むことになります、

随所に「忠臣蔵」を思わせる台詞やシークエンスが登場、日本人俳優の伊原剛志が清水一学(吉良方の剣客)のような役回りで本格出演、英語の台詞もこなしています、他に韓国人俳優やアジア系も多く出演、多様性の忠臣蔵というところかな、まずまず楽しめました、




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2024年05月07日

先週は5本、「死刑台のメロディ」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「ロストフライト」「ゴジラ×コング」「群山」

〇(スクリーンで鑑賞)「死刑台のメロディ」
(★★★★!)(1971年イタリア)(原題:Sacco e Vanzetti)
1920年代に米国で実際に起こった冤罪事件を克明に追った名作、デジタルリマスターで鑑賞

04サッコバンゼッティ

第1次世界大戦後の不景気に喘ぐボストンではアカ(共産主義者)狩りが行われていた、ある夜、社会主義者のサッコと無政府主義者のヴァンゼッティが拳銃を所持していたため逮捕される、サッコが靴職人だったことから、検事は少しに前に発生した靴工場強盗事件の犯人として2人を起訴、無罪を示す証拠が多数あるにも関わらず強引に有罪判決へ持ち込む・・・



1971年制作の名作がデジタルリマスターで蘇っています、ネットでも鑑賞可能のようなので、ぜひ鑑賞をお勧めします、

戦後の不景気、共産主義の台頭という時代背景があるにせよ、100年程前の米国で実際に起こった冤罪事件の映画化です、イタリア人の2人は徴兵を拒否、それぞれが社会主義者と無政府主義者であるものの善良な市民、検察側は目撃証言を捻じ曲げ、偽の目撃者まで雇って冤罪事件を起こします、アリバイがあるにもかかわらず、判事もこれを認めず、陪審員は有罪と評決(陪審員は全員白人男性)、死刑判決が出ます、

2人の再審を望むデモが米国内や他の国にも広がり、州知事や政府にも脅威となりますが、それでも死刑は執行されました、後日、行政はこの事件が冤罪であったことを正式に認めています、100年前の米国ではこういうことが起こっていた、いや、日本でも冤罪事件が多発していた時代があります、いつの世も権力の暴走を止めることが重要です、

1970年代公開時、劇場で鑑賞しています、シーンはほとんど憶えていませんでしたが、タイトルバックに流れるジョーン・バエズの「勝利への賛歌」は印象的、当時の高校生はこの曲でジョーン・バエズを知りました、今回も彼女の歌を聞きに行ったような側面もあります、

邦題は酷い、内容と何の関連も見出せません、2人はラストで電気椅子に掛けられます、死刑台は出て来ません、メロディとは当時話題になった「勝利への賛歌」のことでしょうか?
フランス映画の名作「死刑台のエレベーター」(1958年)からの発想だと思いますが、ホント酷い邦題です、それでも再上演時も変わらないんですね、残念、、、


(★★★★☆)(2023年日本)
鬼太郎誕生前のエピソード、目玉のおやじがちゃんとした人型で登場^^)

04ゲゲゲの謎

昭和31年(1956年)、秘薬Mを武器に財界を牛耳った一族の当主が死亡、俗界から孤立した村で跡目争いが始まる、銀行員の青年水木は秘薬Mの謎に迫るべく村に出向く、そこで一族の後継者が次々と殺害されていく、通りがかりのよそ者、若き日の目玉おやじは犯人として捕らえられてしまう、しかし殺人は続き、水木は秘薬Mの秘密が隠されているという湖に浮かぶ島に潜入するが・・・



原作者水木しげる生誕100周年に制作されたTVシリーズがベースになっているようですが、1巻の物語としてもとても良い出来栄えでした、

秘薬Mは不老不死の秘薬、一族はこの秘薬製造のために大罪を犯している、青年水木は兵隊帰り、出世欲からこの事件に関わる、若き日の目玉おやじは生き別れになった妻を探して村に辿り着く、そして目玉おやじと水木によって暴かれる秘薬Mと一族の秘密、一族と村の命運は一族の若き2人にゆだねられるが・・・

横溝正史の小説のような世界観から妖怪と幽霊族(目玉おやじ)、それを狩る裏鬼道(人間側の武闘集団)の闘いへ展開、この闘いは戦争の虚しさ、人の強欲の虚しさに繋がっていきます、原作者水木しげるの想いがしっかり込められた上質な1本、鬼太郎も少しだけ出て来ます、観て損はなし!


◆(自宅で鑑賞)「ロストフライト」
(★★★!☆)(2023年米国)(原題:Plane)
悪天候のため不時着した島には反政府ゲリラが!乗客を救う機長の奮闘

04ロストフライト

東京へ向かう旅客機、会社側の無理なフライトプランで嵐に遭遇、落雷で飛行機能を失った機体は奇跡的にフィリピンの島に不時着する、機長は救援を求めるために奔走、ところがその島は反政府ゲリラが支配、フィリピン政府の救援が期待できないことが判明、機長は反政府ゲリラを出し抜いて乗客を救うことが出来るのか?



なんとも全体に荒っぽい展開です、はい、とっても荒っぽいです、それでも結構楽しく鑑賞できました^^)

嵐の中を突っ切るフライトプラン、落雷で全機能喪失も奇跡的に島の道路に着陸!?そして、こちょこちょと配線を触ると電源復活!?乗り合わせていた殺人犯は実は元傭兵で戦闘のプロ、なぜか繋がる廃屋の電話と、ツッコミどころ満載ですが、これが案外楽しんで鑑賞できます、107分という上映時間もちょうどエエ感じ、

航空会社の事故対策本部も相当へなちょこですが、ここもプロの直感で見事な救援対応、ゲリラとの銃撃戦も迫力ありました、なにより機長が無敵です、冷静沈着、そして肝が据わったゲリラとのやりとりでピンチを救います、

ま、細かいことは言わないで、休日ののんびり鑑賞を楽しみましょう、

(★★★☆☆)(2024年米国)(原題:Godzilla x Kong: The New Empire)
ゴジラとコングが同時に覚醒、ところが世界はもっと恐ろしい脅威にさらされる

04ゴジラコング

ゴジラは北極で、コングは地下空洞でそれぞれ安定した状態、未確認生物特務機関「モナーク」がこれをモニター管理している、ところが地下空洞で異常なパワーが発生、調査に赴いたモナークの一行は未確認の文明を発見、この文明はさらなる謎の文明からの脅威にさらされていた、コングが敵に立ち向かうが傷を負い地上に逃げ出すと、そこには宿敵ゴジラが待ち受けていた!コング絶体絶命の危機・・・



多くの怪獣と人類が共存している世界のシリーズ5作目だそうです、ゴジラは地上で他の怪獣をさっさと片づけてパワーチャージ、一方、コングは前作「ゴジラvsコング」からの流れで、コングと言葉を交わせる少女を救うために地下空洞で異生物たちと戦っていますが、そこに現れたのはより凶暴なコング!?

予告編でもなんとなくわかりますが、ゴジラとコングは地上軍、地下空洞軍との戦いに参戦することになるのはモスラがいたから!?と、もはや怪獣プロレス感覚の世界感は東宝ゴジラが昭和に歩んだ道と一緒^^)

今作を見て「ゴジラ-1.0」がオスカーの視覚効果賞を受賞した理由がよく分かります、「ゴジラ-1.0」は終戦後の東京にゴジラを登場させた、見事に東京の街中にゴジラを登場させた、水の表現なんかも秀逸、今作ではCG世界に実写の人間が飛び込んだだけ、その差は歴然、山崎監督にあらためて拍手!


◆(自宅で鑑賞)「群山」
(★★★☆☆)(2022年韓国)(原題:Ode to the Goose)
母の故郷を訪ねた男とその女友達の不思議な旅

04群山

売れない詩人ユンヨンは先輩の元妻ソンヒョンにぼんやりとした好意を抱いている、思い付きでユンヨンの母親の故郷である群山へバス旅行で出掛ける、そこで日本式家屋の民宿に泊まることに、そこには亭主の父と娘が暮らしていた、ユンヨンは娘に魅かれ、ソンヒョンは亭主に魅かれる、2人の危うい関係が揺れ動く・・・



監督のチャン・リュルは世界の映画祭の常連で、自身は中国朝鮮族3世だそうです、物語にも韓国人、朝鮮族、日本人など多様な人種が台詞の端々に出て来ます、そういうメッセージが含まれているのだと想像できますが、、、ほとんど理解できませんでした、

主人公のユンヨンの行動言動も不可思議、嘘なのか?幻想なのか?良く分からないまま、最後は時系列さえ分からなくなります、見事な裏切り、映画的レトリックと感じる隙さえない与えない難解な作品、一般の評価は高評価なので、もう一度しっかり観ようかな、、、とも思えない作品、難しい・・・







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2024年04月30日

先週は4本、「貴公子」「パトリオット」「レジェンド オブ フォール」「ペンタゴンペーパーズ」

〇(スクリーンで鑑賞)「貴公子」
(★★★!☆)(2023年韓国)(原題:The Childe)
圧倒的なテクニックで敵を倒していく謎の貴公子?ノンストップアクションムービー

04貴公子

フィリピンで暮らすマルコは母親の手術代を稼ぐために闇のボクシングで金を稼いでいる、父親は韓国人だが顔を見たこともない、金の工面に困ったマルコは知人に頼んで父親を捜してもらうと、すぐに父親が判明、父親は大金持ちの財閥オーナー、すぐに韓国から弁護士が来てマルコを韓国に連れ帰ることになる、その帰国途中の機内でチング(友達)と名乗る謎の男から声を掛けられる、韓国に到着すると、マルコ一行はその男の襲撃を受け、マルコは必死の逃亡を試みることになる、



マルコが帰国してからは1日の間に起こる出来事をノンストップで描いていきます、次々と現れる登場人物、めまぐるしく変わるマルコの立場、なぜマルコは韓国に連れてこられたのか?闇社会の人間ばかりがマルコにまとわりつきますが、だれが味方なのか?敵なのか?徐々にこの事件の裏側にある韓国財閥の跡目相続を巡る争いが露わになってきますが、もちろんそこは韓国映画です、その裏にもまた別の企みが潜んでいます、そしてそのまた裏にも・・・

自らをプロと名乗る謎の男は無敵の殺人マシーン、財閥のボディガードや敵対する工作員を次々となぎ倒し、執拗にマルコを追い続けます、高価なスーツを汚さず、汗もかかず、不敵な笑みを浮かべながら目的のためには人の命も顧みない貴公子!キャラとしてはどうもしっくりこない面もありますが、とにかくこういう男を相手にすると勝てそうな気がしない、ラストの絶体絶命のピンチも、ま、安心して観ていられます、

マルコは“コピノ”と呼ばれる韓国人男性とフィリピン女性の間に生まれた子供、その父親が・・・もうお分かりですよね、



◆(自宅で鑑賞)「パトリオット」
(★★★★☆)(2000年米国)(原題:The Patriot)
アメリカ独立戦争を舞台に描く家族愛の物語

04パトリオット

1763年、フランスとインディアンの闘いで活躍したベンジャミンは7人の子供と平穏な暮らしを楽しんでいる、やがてアメリカ独立戦争がはじまるがベンジャミンは戦争を嫌う、しかし独立派の長男が植民地軍に志願、さらに進撃してきた英将校に次男を殺害されるに至り、ベンジャミンは怒りに燃え、再び戦場に身を投じ民兵を率い英軍に打撃を与えるが、残虐な英軍将校の反撃に遭う、ベンジャミンら民兵と植民地軍は最後の決戦場で英軍と対峙することになる、



あまり知らないアメリカ独立戦争、1775年から1783年の8年間も領主英国とアメリカ13植民地が戦っています、

この頃の武器は小銃と大砲、騎馬兵といった感じでしたが、小銃は1発撃つたびに銃身を棒で掃除しなければならない代物、このせいか、まだまだ騎士道的闘いの色合いが濃く、両軍が整列して50m程まで近づいて、立ったままの姿勢で一斉射撃をするというなんとも残酷な戦闘、両軍兵士は微動だにせずバタバタと倒れていく様は悲しすぎます、そんな中、ベンジャミンは民兵を率いてゲリラ戦で対抗、英軍からゴーストと呼ばれ恐れられる存在、多くの犠牲を払いながらアメリカ独立を勝ち取ることに成功します、

歴史ドラマとしても楽しめます、英国とアメリカがここまで執拗に戦ったという歴史を再認識、

“パトリオット”は愛国者のこと、もしくは今の世界では迎撃ミサイルの名前(残念)

(★★★★☆)(1994年米国)(原題:Legend of the Fall)
第1次世界大戦時のモンタナで暮らす父親と3人兄弟の家族大河ドラマ

04レジェンドフォール

1915年頃の米国モンタナ、騎兵隊を率いて先住民と戦ったウイリアムだが、その戦いの意味に疑問を感じる、妻が出ていき、今は息子3人と先住民の家族と一緒に暮らしている、大学へ進学した三男サミュエルは婚約者のスザンナと共に帰郷、おりしも欧州大陸では第1次世界大戦が激化、正義感に燃える長男アルフレッドと血気盛んな三男サミュエルが志願を決意、次男のトリスタンは幼い頃にクマと対峙したこともある野生児、戦争に興味はなかったがサミュエルを守るために自らも志願、3人は前線で戦うことになり、アルフレッドは負傷、そしてサミュエルは戦死、サミュエルを守り切れなかったトリスタンは憔悴してわが家へ帰ってくる・・・



20世紀初頭の米国家族の大河ドラマともいうべき物語です、息子たちを失いたくない父親は戦争の残酷さを知っている、それでも志願する息子たち、三男の戦死、残されたスザンナと野生児トリスタンは結ばれ、同じく彼女に想いを寄せていた長男アルフレッドは家を出ていく、時が過ぎトリスタンもまた家を出ることになり世界を放浪、父親と婚約者だけがとり残されることになります、

同居している先住民の家族が重要な役回りを演じています、先住民の生き方を学ぶトリスタンは先住民の娘と結婚、スザンナも結局長男と結婚、アルフレッドは事業で成功、議員となり・・・と家族の歴史が紡がれていくのですが、最後には悲劇が訪れます、

「パトリオット」と合わせて、良心的な米国時代劇を楽しんでください、

(★★★!☆)(2017年米国)(原題:The Post)
政府の不正を暴く新聞社の矜持、スピルバーグ、トム・ハンクス、メリル・ストリープ

04ペンタゴンペーパー

地方紙ワシントンポストの社主は夫の後を継いだキャサリン、長年ワシントンの政治家と良い関係を維持している、おりしもベトナム戦争が泥沼化していた米国、NYタイムズ紙はニクソン大統領がひた隠しにしてきたベトナム戦争の実情を示す機密文書の一部を記事にする、政府は今後の記事の差し止めを請求、請求が認められると今後記事を掲載すると罪に問われることになる、一方、ワシントンポスト紙も機密文書の入手に成功、編集長は記事掲載に動くが、経営陣や銀行からは慎重論が噴出、しかし社主のキャサリンは記事掲載に踏み切り、裁判となるが・・・



ワシントンポスト紙は経営状態はあまり良くない、上場して資金を獲得することを決断した社主キャサリンですが、そんな時に沸き起こった機密文書漏洩事件、記事にすれば罪に問われ銀行が上場から手を引くことが予想されます、弁護士や取締役は記事掲載に反対、しかしキャサリンは報道機関としての新聞社の役割を守り抜くために記事掲載に踏み切り、裁判をすることを選びます、報道機関の経営者の矜持です、

民主国家の基本である“報道の自由”、権力側はいつの時代もマスコミと仲たがいをする構造になっています、そして報道の自由が無くなれば民主国家ではなくなる、このことは世界で未だ戦争行っている国の状況を見れば一目瞭然です、

日本でも一時、首相が報道の在り方に口を挟もうとしたことがありました、危ない危ない、どんなに劣化しようともマスコミは必要、ある意味、政府もマスコミも必要悪なのかもしれません、





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2024年04月22日

先週は5本、「あまろっく」「ジャンゴ」「オペレーション フォーチュン」「ブルックリンでオペラを」「こちらあみ子」

〇(スクリーンで鑑賞)「あまろっく」
(★★★★☆)(2024年日本)
65歳の父親の再婚相手は20歳!?尼崎を舞台にした家族愛の物語

04あまろっく

阪神尼崎駅近くで小さな鉄工所を営む竜太郎、母親が先に逝き、リストラされてブラブラしている39歳の娘優子と2人暮らし、何事にも楽天的な竜太郎が連れて来た再婚相手はなんと20歳の早希、なんとも滑稽な3人の生活が始まる、早希はこんな家族を持つのが夢だったと料理や家事に励むが、自分より若い母親の出現に優子は面白くない、が、ある日竜太郎を悲劇が襲い事態は急変、、、



阪神電車「尼崎」駅周辺で物語が進行、よくある街興し映画的な側面もありますが、物語として一級の仕上がりになっています、泣けました、

宣伝ポスターの印象では若い再婚相手が来た3人家族の「奥様は18歳」的なシチュエーションコメディかな?と思って鑑賞したのですが、なんのなんの、3人家族の生活はあっという間に終わってしまいます、そこからがこの物語の主題、優秀なのに人と馴染めない優子、暖かい家族という経験がない早希、2人の日常と生き抜くための葛藤が続く中、優子には縁談が、早希には竜太郎からのプレゼント!?が、鉄工所の経営はピンチになり、、、と上手に映画的サスペンスが重なって、

1995年のエピソードは少しあざとい感じもしましたが、エンディングが良く書けています、期待通りのラスト、予定調和なれど涙と笑いで鑑賞終了、

江口のり子はもはや名優、これは当然として、中条あやみの好演に拍手、鶴瓶師匠に頼り過ぎなかったところも成功の要因、なんか「パッチギ!」を思い出させる(江口のせいか^^)関西が舞台の映画としては出色の出来栄えです、ぜひの鑑賞をお勧めします、



(★★★★☆)(2012年米国)(原題:Django Unchained)
奴隷から解放され賞金稼ぎになった男の復讐劇、タランティーノ監督作品

04janngo

1858年米国南部、奴隷のジャンゴは賞金稼ぎのシュルツに買われる、ジャンゴが逃亡犯の顔を知っているからだ、2人は逃亡犯を追い詰め射殺、賞金を手にする、差別を嫌うシュルツはジャンゴを自由人にし賞金稼ぎ稼業を共にすることになる、ジャンゴには引き離された妻ブルームヒルダがいた、2人は彼女を救い出すために富豪の館へ乗り込むのだが、、、



タランティーノ監督による本格西部劇、とはいえ、タランティーノ感覚は健在で、物語はどんどん転がり、予想外の展開の連続、銃撃シーンも迫力満点の仕上がりになっています、

賞金稼ぎのシュルツは風変わりな人物、本業は歯医者で実は賞金稼ぎ、奴隷制に反対というよりは差別主義を嫌悪、ジャンゴを自由人にする証文を作ったり、奴隷の身のジャンゴの妻を救い出すために一計を図ったり、でも短気ですぐに銃をぶっ放す、如何にもタランティーノ好みのキャラクター、お勧めの1作です、

例によってタランティーノ自身もカメオ出演しています、あっという間に死んじゃうのがお約束、



(★★★!☆)(2023年英国米国合作)(原題:Operation Fortune: Ruse de guerre)
世界を舞台に活躍する3人のフリーエージェント、分かりやすいスパイ活劇

04フォーチュン

世界を支配できる「ハンドル」と呼ばれる謎の兵器が強奪された、英国MI6は敏腕フリーエージェントのオーソンに奪還を命じる、天才ハッカーのサラ、凄腕スナイパーのJJの3人とチームを組んで「ハンドル」を追い始めるオーソン、しかし、たびたび同業者スパイに先を越される失態続き、ハリウッドスターをチームに引き込んで武器商人に接近するが、、、



007シリーズを意識しているのかな、主人公のオーソンは高価なワイン、自家用ジェット、法外なギャラ、そして長い休暇を条件に仕事を引き受けるスパイ界のレジェンド、世界各国を飛び回って「ハンドル」を追いかけます、先を越す同業者、誰かが裏切って情報を流しているのではないかという疑念を起こさせますが、、、案外、あっさり解決、

ハリウッドスターをスパイに仕立てる件にも無理があるかと思いきや、ラストは結構面白いことになります、最後まで鑑賞してください、



〇(スクリーンで鑑賞)「ブルックリンでオペラを」
(★★★☆☆)(2023年米国)(原題:She Came to Me)
NYを舞台にした洒落たラブコメディ?

04ブルックリンでオペラを

大スランプに陥っているオペラ作曲家のスティーブン、美しく洗練された精神科医の妻のパトリシアとその息子との3人暮らし、セレブな生活だがすれ違いも多い、犬の散歩の途中で立ち寄ったバーでスティーブンは小型船の船長カトリーナと出会う、粗野なカトリーナに興味を覚えるスティーブン、2人は一夜を過ごす、そこからイマジネーションが沸き起こったスティーブンはオペラを書き上げ公演は大成功、しかし、その公演を見たカトリーナがスティーブンの前に姿を現す、、、



妻役をアン・ハサウェイが演じます、彼女が主役でNYが舞台のラブコメディなら間違いないだろうと鑑賞しましたが、少々予想とは違う物語でした、主人公はアンではなく、粗野な船長のカトリーナ、なるほどね、という感じ、

アン演じるパトリシアは潔癖症、完璧な精神科医であるのですが、彼女にもトラウマがある、息子の恋人は横暴な継父に縛られている生活、それを何とか解決したいパトリシアとスティーブンに文字通り助け舟を出すのがカトリーナでした、セックス依存症ですが男前の船長です、

う~ん、どうだろう、洒落てはいるがどうもなにかが足らないような気もします、結末もパトリシアの行く末も??あれでよかったのだろうか?

邦題は酷い、原題「She Came to Me」ならこの物語の主題がみえてくるのに、やっぱ出来栄えを観て思案したんでしょうね、アンがプロデュースにも参加しています、



◆(自宅で鑑賞)「こちらあみ子」
(★★★?☆)(2022年日本)(原題:Ghostbusters: Frozen Empire)
ちょっと変わり者のあみ子の世界は幸せで満ち溢れている、、、という訳ではない

04あみ子

舞台は広島、少し変わった感性の持ち主あみ子、父、妊娠中の母、兄と暮らしている、無垢だが授業中に大声を出したり、歌いだしたりするあみ子、中学生になってもその行動は変わらない、母のお産は死産になり父と母はふさぎ込む、その意味をちゃんと理解できないあみ子、兄は暴走族の仲間になり、面倒を見てくれていた同級生のノリ君とも喧嘩をしてしまう、母の病状は悪化、離婚、兄は家に寄り付かなくなり、あみ子はおばあちゃんの家に預けられることになる・・・



芥川賞作家のデビュー小説を映画化、あみ子は多動症というかアスペルガー症候群かな、周りとのコミュニケーションが上手ではありません、父も母もちゃんと愛してくれているのですが、2人も少しづつ疲弊していきます、不良になる兄、暴発する同級生、それでもあみ子はしっかり生きていけそうです、

タイトルは、劇中トランシーバーのおもちゃで遊ぶあみ子の台詞から、1台になってしまったトランシーバーであみ子は一生懸命に誰かを呼び続けます、

『こちら、あみ子です、どうぞ』、、、




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2024年04月08日

先週は5本、「オッペンハイマー」「バンク ジョブ」「海街Diary」「ツユクサ」「ゴーストバスターズ フローズンサマー」

〇(スクリーンで鑑賞)「オッペンハイマー」
(★★★★!)(2023年米国)(原題:Oppenheimer)
米国の原爆開発を率いた物理学者オッペンハイマーの苦悩と葛藤

04オッペンハイマー

第2次世界大戦末期、米国とナチスドイツは原爆開発競争にしのぎを削っていた、軍からマンハッタン計画(原発開発計画)のリーダーに指名された物理学者オッペンハイマー、様々な困難を乗り越え、優秀なスタッフを集め、多額の予算を投入して大規模な実験場を作り原爆開発に邁進、ついに原爆実験に成功する、しかし予想をはるかに上回る原爆の威力を目の当たりにして、オッペンハイマーは世界の崩壊を危惧するようになる・・・



オッペンハイマーの原爆開発成功物語というシンプルな映画ではありません、2つの大きな苦悩と葛藤があります、1つは原爆開発の是非と日本への原爆投下の是非という問題、ナチスへの切り札として開発していた原爆でしたが、1945年5月にヒトラーは自殺、目標は日本に変更されます、日本が負けることはもはや明白な時期、果たして投下が必要なのか?軍と対立するオッペンハイマーや開発スタッフは、冷戦時の水爆の開発にも反対します、

2つ目はオッペンハイマー自身や家族の経歴、米国共産党に入党していた過去があったため戦後赤狩り時代にソ連のスパイではないかと疑惑の目を向けられます、政敵の策略で聴聞会に掛けられたオッペンハイマーは物理学者としての権利をはく奪され原子力委員会から追放されてしまいます、

3時間という長尺、冒頭は少しウトウトしてしまいましたが、それ以降は時間の長さをあまり感じない映画的サスペンスの連続、開発計画を巡る主導権争い、開発を巡る軍との駆け引き、共産党疑惑、そして実験の成功と広島長崎への投下、戦後の水爆開発反対とスパイ疑惑、赤狩り、

原発開発成功者の伝記モノではない、アカデミー好みの内容になっています、映像効果と共に音響・音楽効果が凄いです、眠気も吹っ飛びます^^)

オスカー作品賞、監督賞、主演男優賞他、合計7部門受賞映画、必見です、



◆(自宅で鑑賞)「バンク ジョブ」
(★★★★☆)(2008年英国)(原題:The Bank Job)
一攫千金!銀行の貸金庫からの強奪に成功したが、貸金庫には思わぬ秘密が隠されていた

04バンクジョブ

借金で首が回らなくなっていたテリー、元恋人から銀行強盗の計画を持ち掛けられ乗ることにする、練り上げた計画は順調に進み、貸金庫から多額の現金を盗み出すことに成功するが・・・この計画には裏があった、英国王室のスキャンダルのネタ元を回収するための諜報機関の策略だったのだ、想定外の展開にテリーたちは窮地に追い込まれる、



事の発端は英国王室アン王女の暴露写真、これを回収するために諜報機関MI-5とMI-6が仕組んだ銀行強盗だったが、計画は失敗、どんどん事態は悪い方へ傾いていく、スキャンダルのネタ写真を持つ麻薬組織、ポルノ館に出入りする国会議員、裏帳簿を奪われたポルノ産業の帝王と悪徳警官などが、貸金庫から出回った写真と帳簿を巡って入り乱れます、

と、奇想天外な物語、結構楽しめるクライムサスペンスですが、、、

これがなんと実話ベース、アン王女のスキャンダルに端を発し、麻薬組織、ポルノ帝王、悪徳警官、国会議員など、多数の逮捕者を出した1971年の現実の事件が下敷きだそうです、なんとも物凄い事件です、観て損は無し、



◆(自宅で鑑賞)「海街Daiary」
(★★★!☆)(2015年日本)
舞台は湘南鎌倉、一緒に暮らすことになった三姉妹と末の四女の家族劇

04海街

鎌倉にある古い一軒家、幸、佳乃、千佳の三姉妹が暮らしている、長らく別に暮らしていた父親が無くなり、山形まで葬儀に出かける、そこには異母妹のすずがいた、継母とは血が繋がっていないため、幸はすずを鎌倉に呼び寄せることにする、すずも同意、姉妹4人の生活が始まる・・・



長女の幸は責任感が強く3人の妹の面倒を見ながら働いています、次女の佳乃は酒と男を愛するおおらかな性格、三女の千佳は自由奔放、そんな中で一緒に暮らす妹のすずとの交流、家族の記憶、時に悩み、挫折し、幸せを手放し生きていく4人、それぞれの人生のかけらを切り取りながら、姉妹は前へ進んで行きます、

綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すずと豪華キャストの4姉妹、脇もオールスターと呼べる俳優で固められ、しっかりした一編になっています、エピソード・シークエンスが細かすぎる感がありますが、ほっこりした観後感で観終わります、キャストのお陰かな、

是枝裕和監督作品、観て損は無し、



◆(自宅で鑑賞)「ツユクサ」
(★★★!☆)(2022年日本)
辛い思い出を抱えて小さな港町にやって来た女性の再生の物語

04ツユクサ

小さな港町で暮らす芙美、断酒の会に通っており、親友直子の息子航平と友達のような付き合いをしている、ある日、芙美の運転する車に小さな隕石が衝突、航平と共に隕石を見つけた芙美はそれをペンダントにする、それをきっかけに、閉じていた芙美の生活に少しずつ変化が現れる・・・


芙美がこの港町にやって来たのには理由がある、断酒の会に通うのも悲しい過去の出来事が理由のようだ、なにごとにも前向きに向き合い、明るく生きているように見える芙美にも心の闇があります、隕石ペンダントのお陰か?偶然知り合った陰のある男篠田にはなぜか徐々に心を開いていく芙美、小さな街で交差する人生模様、

小林聡美ならではの空気感がある物語、大きな事件も犯罪も奇跡も起こりませんが、心にチクチク刺さっていた棘がすっと消えていくような結末、芙美と篠田の不器用な恋物語もすっと入ってきます、平岩紙、江口のり子ももったいないくらいの好演、

ラストシーンだけはちょっと違和感あり、これが奇跡という事か?個人の感想です^^)



(★★★☆☆)(2023年米国)(原題:Ghostbusters: Frozen Empire)
なんでも凍らせる最強のゴーストがNYに出現!フルメンバーで挑むゴーストバスターズ

F04GB

うだるような暑さの夏のNY、ゴーストの出現が活発になり大忙しのゴーストバスターズのスペングラー一家、最年少の娘フィービーは未成年のため、市長から労働禁止令が出て、ゴースト退治に出動できなくなる、ひとり悶々とするフィービーは夜の公園で焼死した娘のゴーストと出会い、心を通わせるが、その先には最強のゴーストを復活させるための罠が待ち受けていた、



1980年代に大ヒット、2作が作られ、2021年に作られた3作目の続編、世代を超えて引き継がれている“ゴーストバスターズのお仕事”、基本は1980年代と変わらずの装備でゴーストを捕獲していきますが、今回の相手は最強、今までも武器は通用しません、

と、いう筋書きですが、最強ゴーストの登場はラスト30分ほど、そこに行きつくまでがどうもテンポが悪いし、最強ゴーストもチャーミングじゃない、この映画のゴーストはチャーミングであってほしい^^)フィービーはチャーミングだけどね、

ダン・エイクロイドはしっかり出演、ビル・マーレイはほぼカメオ出演、インド人、韓国人、アフリカ系と多民族編成で戦います、

個人的には2作目のシガニーが好き、




来週の映画記事はお休みします、






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