アドヴィタム

2025年02月03日

先週も5本、「室町無頼」「眠りの地」「アプレンティス」「ボーダーランズ」「アドヴィタム」

〇(スクリーンで鑑賞)「室町無頼」
(★★★★☆)(2025年日本)
大飢饉にも無策な幕府、業を煮やしたひとりの武士が世直しのために立ち上がる

01室町無頼

室町時代末期の1461年、大飢饉と疫病で都は未曽有の惨状を呈していた、が、時の幕府は無策無能、庶民の生活は苦しくなるばかり、農民一揆の機運が高まっていた、孤高の武士・蓮田兵衛は旧知の友で都の警護役・骨河道賢から一揆の企みを鎮めるよう頼まれる、金貸し一味の若者・才蔵は骨河に捕らわれるが兵衛が引き取り武者修行に出す、いよいよ一揆の機運が高まると、兵衛は骨河を裏切り意外な行動に出る・・・



応仁の乱前夜、室町時代の戦にフォーカスした珍しい時代劇です、一揆勢が都大路を駆け抜ける、鉄砲伝来前の弓矢と刀の戦闘シーンはなかなか観応えがありました、斬新なカメラワークとワイヤーアクションを使ったラストの一揆シーンは新しい時代劇演出!というところ、

歴史上最大の一揆の首謀者となった武士・蓮田兵衛は実在の人物のようですが、彼について書かれているのは歴史書にたった1行のみ、そんな氏素性不明の主人公は自由に生きる“アウトロー=無頼”というキャラクターを得て、生き生きと室町時代の都で躍動します、大泉洋当たり役、

苦しむ民に手を差し延べない幕府への憤り、これは現代でも沸き起こる感情なので、とっても感情移入しやすいです、ついつい無頼と一揆勢を応援してしまいました、観て損はなし、


◆(自宅で鑑賞)「眠りの地」
(★★★★☆)(2023年米国)(原題:The Burial)
家族経営の葬儀社が巨大企業グループの悪行と不正に挑む

01眠りの地

家業の葬儀社を営むオキーフ、良心的に地域に根差した経営を続けてきたが資金繰りが立ち行かなくなる、全国で葬儀社を営むローウェン・グループに事業の一部を譲渡することで合意するが、ローウェンは数か月しても契約書にサインしない、資金繰りに苦しむオキーフの弱みに付け込み、事業全体を買い叩こうとしているのだ、憤慨したオキーフは若手弁護士の助言で“負けない弁護士”ウイリーと一緒にローウェンを訴えることにするが・・・



実話をベースにした物語、家族経営のローカル葬儀社、それを買い叩いて全国展開を図る巨大企業、黒も白にしてしまう敏腕弁護士と、分かりやすいキャストが集合、弁護士のウイリーはオキーフの起訴を意気に感じて、専門外の裁判にも自信満々で臨みますが、相手の弁護士も有能、裁判の行方は混沌としていきます、もはや敗訴を覚悟したオキーフとウイリーですが、若手弁護士が逆転の糸口を見つけます、

タイトルの「眠りの地」は多くの無名黒人が眠る墓地エリアのこと、尊厳をもって臨むべき人の死を食い物にする巨大企業に一矢を報いたオキーフに拍手、痛快な物語です、原題は『埋葬』の意、

オキーフ役のトミー・リー・ジョーンズが“BOSS”にしか見えないのが、ちょっと残念^^)


〇(スクリーンで鑑賞)「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」
(★★★★☆)(2024年)米国(原題:The Apprentice)
現米国大統領トランプの半生を赤裸々に描いた、驚愕のフィクション

01トランプの創り方

若き日のドナルド・トランプ、父親の不動産業は不正を政府に訴えられ破産寸前、ドナルドは有名な悪徳弁護士ロイに接近、判事の弱みに付け込み自らのホテル事業を免税にし、NY市長を無能呼ばわりして、トランプタワーの税金免除を迫る、次々と事業を拡大するドナルドは両親や兄、妻、そしてついにはロイまでも見放し蹴落としながら自らの欲望を果たしていく、、、



いやはや、物凄い映画でした、トランプ大統領
(制作時は大統領候補)の生き様をこれでもかというくらい、辛辣に描いています、流石米国、こんな内容の映画が公開されたこと自体も驚きですが、、、もっと、驚くのはトランプ大統領のこれまでの悪行と非人間性、映画である以上フィクションなので、鵜吞みにして良いのか?という気持ちさえなくなるほどの酷さです、

両親や妻とのやり取りに相手を思いやる気持ちは1ミリもありません、頭の中は事業に成功することだけ、唯一の信条は『アメリカを偉大にしたい!』、ここだけは熱く語っています、

原題は『見習い』、ドナルドが弁護士ロイから教わった3つのルール、これを知ると今のトランプ大統領の言動が良く理解できます、
「攻撃 攻撃 攻撃」
「非を絶対認めるな」
「勝利を主張し続けろ」
これが今のトランプの原動力のようです、それがポジティブに働くと良いのですが、、、

米国と世界にとって悪夢のような4年間にならないよう、そして、米国民の安寧を祈らざるを得ません、


◆(自宅で鑑賞)「ボーダーランズ」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Borderlands)
どこかで見たようなストーリーのキッチュな賞金稼ぎスペースオペラ

01ボーダーランズ

賞金稼ぎのリリス、悪玉アトラスから誘拐された娘の救出を依頼される、渋々引き受けたリリスは辺境の惑星パンドラに向かう、そこにいた娘ティナを救い出そうとするが、ティナはとんでもない跳ね返り娘、そして、彼女こそが宇宙の運命を握る“キー”だった・・・



なんともキッチュな1作、ストーリーもキャラクターも既視感いっぱいで、評価もイマイチですが、、、ワタシは結構気に入りました^^)

観ているうちに、サイケでビビッドなコスチュームデザインが楽しくなるし、キャラクターもイケてる、、、ような気がしてくるから不思議です、赤毛の主人公リリスがケイト・ブランシェットだと気づくのにも時間が掛かりました、

何も考えずに、休日のお気楽鑑賞には絶好の1作、期待せずに観てください^^)


◆(自宅で鑑賞)「アドヴィタム」
(★★★!☆)(2025年フランス・ベルギー合作)(原題::Ad Vitam)
パリの特殊部隊を除隊した男が、妻を救うために奮闘

01アドヴィタン

憧れの特殊部隊に入隊したフランク、偶然遭遇した事件に独自判断で介入するが偶発的な銃撃戦となり、同僚を失ってしまう、非を責められたフランクはやむなく除隊、今は元同僚で妻のレオと自宅で出産準備中、そこに謎の部隊が侵入、レオは誘拐されてしまう、目的はフランクが介入した事件の真相を暴く証拠の隠滅、フランクはある証拠を隠し持っていたのだ、



物語に出て来るパリの特殊部隊はGIGN=国家憲兵隊治安介入部隊、テロ対策を主に任務としているエリート集団、エースだったフランクでしたが、ホテルでの思わぬ銃撃戦に巻き込まれます、犯人は不明、しかし、そこではフランス政府の諜報活動が行われていました、政府はこの事実を隠滅するためにフランクに襲い掛かってきます、闇組織からも政府からも追われるフランクは絶体絶命!?

とまあ、よくある物語、フランス映画テイストも薄く、アメリカアクション映画のような仕上がり、ま、癖のない仕上がりなので最後まで鑑賞できました、

これまた休日のお気楽鑑賞用作品、お試しあれ、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)