ゲゲゲの謎

2024年05月07日

先週は5本、「死刑台のメロディ」「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」「ロストフライト」「ゴジラ×コング」「群山」

〇(スクリーンで鑑賞)「死刑台のメロディ」
(★★★★!)(1971年イタリア)(原題:Sacco e Vanzetti)
1920年代に米国で実際に起こった冤罪事件を克明に追った名作、デジタルリマスターで鑑賞

04サッコバンゼッティ

第1次世界大戦後の不景気に喘ぐボストンではアカ(共産主義者)狩りが行われていた、ある夜、社会主義者のサッコと無政府主義者のヴァンゼッティが拳銃を所持していたため逮捕される、サッコが靴職人だったことから、検事は少しに前に発生した靴工場強盗事件の犯人として2人を起訴、無罪を示す証拠が多数あるにも関わらず強引に有罪判決へ持ち込む・・・



1971年制作の名作がデジタルリマスターで蘇っています、ネットでも鑑賞可能のようなので、ぜひ鑑賞をお勧めします、

戦後の不景気、共産主義の台頭という時代背景があるにせよ、100年程前の米国で実際に起こった冤罪事件の映画化です、イタリア人の2人は徴兵を拒否、それぞれが社会主義者と無政府主義者であるものの善良な市民、検察側は目撃証言を捻じ曲げ、偽の目撃者まで雇って冤罪事件を起こします、アリバイがあるにもかかわらず、判事もこれを認めず、陪審員は有罪と評決(陪審員は全員白人男性)、死刑判決が出ます、

2人の再審を望むデモが米国内や他の国にも広がり、州知事や政府にも脅威となりますが、それでも死刑は執行されました、後日、行政はこの事件が冤罪であったことを正式に認めています、100年前の米国ではこういうことが起こっていた、いや、日本でも冤罪事件が多発していた時代があります、いつの世も権力の暴走を止めることが重要です、

1970年代公開時、劇場で鑑賞しています、シーンはほとんど憶えていませんでしたが、タイトルバックに流れるジョーン・バエズの「勝利への賛歌」は印象的、当時の高校生はこの曲でジョーン・バエズを知りました、今回も彼女の歌を聞きに行ったような側面もあります、

邦題は酷い、内容と何の関連も見出せません、2人はラストで電気椅子に掛けられます、死刑台は出て来ません、メロディとは当時話題になった「勝利への賛歌」のことでしょうか?
フランス映画の名作「死刑台のエレベーター」(1958年)からの発想だと思いますが、ホント酷い邦題です、それでも再上演時も変わらないんですね、残念、、、


(★★★★☆)(2023年日本)
鬼太郎誕生前のエピソード、目玉のおやじがちゃんとした人型で登場^^)

04ゲゲゲの謎

昭和31年(1956年)、秘薬Mを武器に財界を牛耳った一族の当主が死亡、俗界から孤立した村で跡目争いが始まる、銀行員の青年水木は秘薬Mの謎に迫るべく村に出向く、そこで一族の後継者が次々と殺害されていく、通りがかりのよそ者、若き日の目玉おやじは犯人として捕らえられてしまう、しかし殺人は続き、水木は秘薬Mの秘密が隠されているという湖に浮かぶ島に潜入するが・・・



原作者水木しげる生誕100周年に制作されたTVシリーズがベースになっているようですが、1巻の物語としてもとても良い出来栄えでした、

秘薬Mは不老不死の秘薬、一族はこの秘薬製造のために大罪を犯している、青年水木は兵隊帰り、出世欲からこの事件に関わる、若き日の目玉おやじは生き別れになった妻を探して村に辿り着く、そして目玉おやじと水木によって暴かれる秘薬Mと一族の秘密、一族と村の命運は一族の若き2人にゆだねられるが・・・

横溝正史の小説のような世界観から妖怪と幽霊族(目玉おやじ)、それを狩る裏鬼道(人間側の武闘集団)の闘いへ展開、この闘いは戦争の虚しさ、人の強欲の虚しさに繋がっていきます、原作者水木しげるの想いがしっかり込められた上質な1本、鬼太郎も少しだけ出て来ます、観て損はなし!


◆(自宅で鑑賞)「ロストフライト」
(★★★!☆)(2023年米国)(原題:Plane)
悪天候のため不時着した島には反政府ゲリラが!乗客を救う機長の奮闘

04ロストフライト

東京へ向かう旅客機、会社側の無理なフライトプランで嵐に遭遇、落雷で飛行機能を失った機体は奇跡的にフィリピンの島に不時着する、機長は救援を求めるために奔走、ところがその島は反政府ゲリラが支配、フィリピン政府の救援が期待できないことが判明、機長は反政府ゲリラを出し抜いて乗客を救うことが出来るのか?



なんとも全体に荒っぽい展開です、はい、とっても荒っぽいです、それでも結構楽しく鑑賞できました^^)

嵐の中を突っ切るフライトプラン、落雷で全機能喪失も奇跡的に島の道路に着陸!?そして、こちょこちょと配線を触ると電源復活!?乗り合わせていた殺人犯は実は元傭兵で戦闘のプロ、なぜか繋がる廃屋の電話と、ツッコミどころ満載ですが、これが案外楽しんで鑑賞できます、107分という上映時間もちょうどエエ感じ、

航空会社の事故対策本部も相当へなちょこですが、ここもプロの直感で見事な救援対応、ゲリラとの銃撃戦も迫力ありました、なにより機長が無敵です、冷静沈着、そして肝が据わったゲリラとのやりとりでピンチを救います、

ま、細かいことは言わないで、休日ののんびり鑑賞を楽しみましょう、

(★★★☆☆)(2024年米国)(原題:Godzilla x Kong: The New Empire)
ゴジラとコングが同時に覚醒、ところが世界はもっと恐ろしい脅威にさらされる

04ゴジラコング

ゴジラは北極で、コングは地下空洞でそれぞれ安定した状態、未確認生物特務機関「モナーク」がこれをモニター管理している、ところが地下空洞で異常なパワーが発生、調査に赴いたモナークの一行は未確認の文明を発見、この文明はさらなる謎の文明からの脅威にさらされていた、コングが敵に立ち向かうが傷を負い地上に逃げ出すと、そこには宿敵ゴジラが待ち受けていた!コング絶体絶命の危機・・・



多くの怪獣と人類が共存している世界のシリーズ5作目だそうです、ゴジラは地上で他の怪獣をさっさと片づけてパワーチャージ、一方、コングは前作「ゴジラvsコング」からの流れで、コングと言葉を交わせる少女を救うために地下空洞で異生物たちと戦っていますが、そこに現れたのはより凶暴なコング!?

予告編でもなんとなくわかりますが、ゴジラとコングは地上軍、地下空洞軍との戦いに参戦することになるのはモスラがいたから!?と、もはや怪獣プロレス感覚の世界感は東宝ゴジラが昭和に歩んだ道と一緒^^)

今作を見て「ゴジラ-1.0」がオスカーの視覚効果賞を受賞した理由がよく分かります、「ゴジラ-1.0」は終戦後の東京にゴジラを登場させた、見事に東京の街中にゴジラを登場させた、水の表現なんかも秀逸、今作ではCG世界に実写の人間が飛び込んだだけ、その差は歴然、山崎監督にあらためて拍手!


◆(自宅で鑑賞)「群山」
(★★★☆☆)(2022年韓国)(原題:Ode to the Goose)
母の故郷を訪ねた男とその女友達の不思議な旅

04群山

売れない詩人ユンヨンは先輩の元妻ソンヒョンにぼんやりとした好意を抱いている、思い付きでユンヨンの母親の故郷である群山へバス旅行で出掛ける、そこで日本式家屋の民宿に泊まることに、そこには亭主の父と娘が暮らしていた、ユンヨンは娘に魅かれ、ソンヒョンは亭主に魅かれる、2人の危うい関係が揺れ動く・・・



監督のチャン・リュルは世界の映画祭の常連で、自身は中国朝鮮族3世だそうです、物語にも韓国人、朝鮮族、日本人など多様な人種が台詞の端々に出て来ます、そういうメッセージが含まれているのだと想像できますが、、、ほとんど理解できませんでした、

主人公のユンヨンの行動言動も不可思議、嘘なのか?幻想なのか?良く分からないまま、最後は時系列さえ分からなくなります、見事な裏切り、映画的レトリックと感じる隙さえない与えない難解な作品、一般の評価は高評価なので、もう一度しっかり観ようかな、、、とも思えない作品、難しい・・・







syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)