トスカーナの幸せレシピ

2024年05月27日

先週も5本、「碁盤斬り」「トスカーナの幸せレシピ」「ロードハウス」「ゴヤの名画と優しい泥棒」「REBEL MOON 2」

〇(スクリーンで鑑賞)「碁盤斬り」
(★★★★!)(2024年日本)
清廉潔白に生きる武士に降りかかる冤罪と苦悩と復讐劇、囲碁愛好者は必見

05碁盤斬り

貧乏長屋に住む浪人の柳田と娘のお絹、柳田は囲碁の達人でひたすら清廉潔白に生きることを信条としている、縁があり大店萬屋の主(あるじ)源兵衛と知り合い碁を打つ仲になる、ある日、柳田と源兵衛が萬屋で碁を打った日に50両の金が消えうせる、萬屋の番頭は柳田に疑いをかけ、無実の柳田は憤慨、お絹は色街に身を沈めて50両を工面する、そんな折、柳田を訪ねて国元から使者がやって来る、柳田が藩を追われた理由と妻の悲劇も明らかになり、柳田は復讐を誓う・・・



とても面白かったです、“碁”という地味な素材、融通の利かない清廉潔白で誇り高い武士という難しいテーマを見事に紡ぎあげたのは草薙剛のキャラクター、金儲けに熱心な商人、軽薄な番頭、そして碁敵との死闘という時代劇らしい展開も、草彅剛にキャラクターで一段ギアアップ!!先週観た「鬼平犯科帳」も健闘しましたが、今作に軍配を上げます。

時代劇の見せ場=殺陣も少しありますが、今作の核心は“碁”を使って上手に盛り上げた映画的サスペンス、刀は抜かずとも映画的サスペンス満載、序盤から中盤、そしてヨセ(終盤)まで、碁盤とそれを挟む2人からこれほどのオーラが出るとは驚きでした、

これだけ“碁の闘い”を正面から見据えた作品は初めてではないでしょうか?少し碁を打つので分かりますが、安直なドラマによくある不自然な盤面配石は皆無(1か所だけ、腑に落ちない配石がありましたが、それはワタシの見損じでしょう)、そのリアリティがサスペンスを生み出していました、

清原果耶がこれまでで一番の好演、口角が良く上がっていました、斎藤工はちとミスキャストか?

碁を打つ人はより一層楽しめます、必見です、落語が原案というのも面白い、


(★★★★☆)(2018年イタリア)(原題:Quanto basta)
アスペルガー症候群の青年がその才能を料理で開花させます

05トスカーナ

シェフのアルトゥーロ、料理の腕前は一流だが血の気が多く、オーナーと喧嘩になり傷害罪で有罪に、罰として社会奉仕活動を命ぜられる、活動先は障がい者が集う施設、そこで料理を教えることになるが、生徒の1人グイドが味覚と料理に関する特別な才能を持っていることに気付く、1人では移動できないグイドに付き添って、トスカーナで開催される料理コンテストに2人で参加、順調に予選を突破するが、アルトゥーロにレストランシェフへの復帰話が舞い込む、アルトゥーロがグイドを残してコンテスト会場を去るが・・・



劇場公開時にスクリーンで鑑賞していますが、今回自宅で再鑑賞、やはり、とても観後感が良い作品でした、

血の気の多いアルトゥーロ、最初はグイドや他のアスペルガー症候群の若者たちに当たり散らしますが、グイドの清らかの心根に徐々に自らの欠点に気付き始めます、グイドの才能はズバ抜けていますが、日常生活ではとっぴおしもない行動を連発、周りをハラハラさせます、アルトゥーロが自らの殻を破るのと同じようなスピードでグイドもグイグイ成長していきます、

劇中では都合の良いことばかりが起こるわけではありません、あれこれトラブルや周りに迷惑もかけてしまう、それでもグイドの清らかな心根がハッピーエンドを呼び寄せます、

92分という上映時間も良い、劇場公開時はちょっと物足りなく感じたようですが、観返すとこれくらいがちょうど良い長さかな、ハッピーな気持ちになる1本、ぜひ鑑賞してください、



(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Road House)
フロリダのレストラン、用心棒に雇われた悩める格闘家の奮闘とマフィアの暗躍

05ロードハウス

地下格闘技家のダルトン、過去の試合で相手に過剰な攻撃を加えたことを悔やみ悩んでいる、ある日、フロリダの“ロードハウス”の女性オーナーから用心棒の話が舞い込む、気乗りしないダルトンだが結局引き受け、フロリダに向かう、その“ロードハウス”には血の気の多い客が連日押し寄せ、揉め事が絶えないが、ダルトンはその剛腕で次々と日々の事件を解決してゆく、しかし、その裏で地元マフィアがある企みを進めていた・・・



ダルトンは基本、銃や武器を使用しない、その両腕だけで相手をなぎ倒していくファイター、過去の試合でキレてしまい過剰な攻撃をした経験があり、努めて冷静に用心棒の仕事をこなしていきます、“ロードハウス”ではなぜか連日ヨッパライの喧嘩騒ぎに、しかし、それがエスカレートしていく裏には、地元を牛耳るマフィアのある魂胆がありました、地元警察もマフィアに取り込まれており、ダルトンは孤軍奮闘、殴って殴って殴りまくります、

“ロードハウス”では連日の喧嘩と共に、ステージのライブも開催、このライブがなんか面白い、ポップスにカントリー、カリプソ風にラップ風など、毎回違うテイストのライブ音楽をバックに乱闘騒ぎ、有名アーティストとも出ているのかな?知りませんけど、

しっかり仕上がっているので安心して鑑賞できます、真っ青なフロリダの海を満喫できる映画でもあります、ちょっとフロリダへ行きたくなりました^^)

副題は無用、


(★★★!☆)(2020年英国)(原題:The Duke)
気難しい英国老人が話題の名画を盗み出してしまう、ジェントルなコメディ

05ゴヤの名画

タクシー運転手のケンプトン、何作も戯曲を書いているが上演されたことはない、正義感が強すぎて、あちこちで騒ぎを起こしてしまう困った老人でもある、BBCのTV放送を無料で観られないことに憤慨し、老人の無料視聴を認めるよう運動を始めるが市民の反応は薄い、そこでケンプトンは話題のゴヤの名画「ウエリントン公爵」を盗み出し、その身代金を老人のBBC視聴料に充てることを思いつく・・・



1961年、英国の美術館から当時話題になっていたゴヤの「ウエリントン公爵」が盗まれました、この事件の真相を描いた物語、ですが、ホンワカしたコメディであります、

主人公のケンプトン、機転が利きお喋り好き、心根は優しい男なのですが、とにかく融通が利かない、不正や正義を曲げるものを見つけると正さずにはおれない性格、その性格のせいで損ばかりしているケンプトンがなぜか大胆な名画泥棒に成功、自宅に名画を隠して、政府に身代金を要求します、結局は逮捕されるのですが、裁判の結果は?そして事件の真相は、、、

警察が国際窃盗団の犯行と見立ててトンチンカンな発表をする下りが面白い、如何にも英国らしいブラックジョーク、妻役はヘレン・ミレン、めずらしく地味な老け役で最初は分かりませんでした、

ハートウォーミングな物語なのでぜひ鑑賞を、原題は「公爵」の意、



(★★★!☆)(2024年米国)(原題:Rebel Moon - Part Two: The Scargiver)
「七人の侍」のスペースオペラ版、帝国軍の反撃に農民たちが立ち上がる

05レベルムーン2

帝国から反逆者として追われているコラは6人の仲間を集めて帝国軍を打ち破り、農村へ帰還、しかし死んだはずの帝国軍の提督は瀕死の重傷から生還、大軍を率いてコラたちの農村を襲う、農民たちは戦士たちの指導を受け、間に合わせの武器と数々の罠で帝国軍を迎え撃つが、圧倒的な戦力の差に戦士達も次々と倒れ、ついに農村消滅の危機を迎える・・・



サブスクで公開中のシリーズ2作目、パート1で集まった戦士たちが農民と協力して帝国軍を迎え撃つシークエンス、「七人の侍」にインスパイアされて制作されている本作、パート2では農民達が武器を取り、防御策を施して帝国軍と戦うという、「七人の侍」でのハイライトシークエンス、多数の農民と戦士も何人かが戦死、壮烈な戦いとなります、

もちろんパート3もあります、ここからは「スターウォーズ」的なお姫様救出劇になるみたいです、

休日のお気楽鑑賞に、結構楽しめます、





syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)