ライドライクアガール

2025年12月22日

先週も4本、「プラハの春」「ライド ライク ア ガール」「ミケランジェロプロジェクト」「ザ・エクスチェンジ」

(★★★★☆)(2024年チェコ・スロバキア合作)(原題:Vlny)
プラハの春前夜、報道弾圧に抵抗したチェコスロバキアのラジオ局員たちの奮戦記

12プラハの春

1967年のチェコスロバキア、政府による言論弾圧は日に日に強くなり、自由なラジオ放送が出来なくなりつつあった、国営ラジオ局の国際報道局長ヴァイナーはそれに抵抗、自らラジオで意見表明を繰り返し、当局から目を付けられる、そんな時、あらたに技術局員としてトマーシュが採用される、叔父の紹介で国営放送に就職したトマーシュだったが、叔父からは局内の情勢を探るよう指示される・・・



『プラハの春』以前の国営放送は、政府の検閲を受け、指定された原稿しか読めない状況、危機感を募らせるヴァイナー以下の局員は、日々の放送で出来るだけの抵抗をしています、しかし、共産党幹部ドゥプチェクが突如民主化推進を表明、さらに、ヴァイナーは大統領の不正の証拠を掴み、その報道により見事に大統領を退陣に追い込み、民主化運動を守ることに成功します、これが『プラハの春』です、

が・・・翌1968年8月に、ソ連軍指揮下のワルシャワ条約機構軍がチェコスロバキアになだれ込み占領、民主化運動弾圧を開始します、『不屈の報道』はこの時の放送を指しています、ソ連軍が放送局内に入ってくるまで、ラジオを通じて国民に冷静な対応と不屈の戦いを呼びかけ続けますが、チェコスロバキアは再び暗黒の時代を迎えることになります、、、

先達たちが勝ち取って来た『報道の自由』『言論の自由』が如何に脆いものであるかを痛感、『報道の自由』『言論の自由』の尊さを身近に感じることが出来る1作、ぜひ鑑賞してください、


(★★★!☆)(2019年オーストラリア)(原題:Ride Like a Girl)
オーストラリア最高峰のレースを制した実在の女性騎手の物語

12ライドライク

ペイン家の10人兄弟姉妹の末っ子として生まれたミシェル、幼い頃に母親を亡くし、競馬馬調教師の父親に育てられた、小さい頃から騎手になるのが夢だったミシェル、父親の元で学びながら成長、一刻も早くレースで乗りたいミッシェルに、父親はもう少し我慢して学ぶように説得する、が、ミシェルは家を飛び出し、馬主や調教師に自らを売り込む、しかし騎乗チャンスはなかなか訪れない、、、



オーストラリア最高峰のレース「メルボルンカップ」を女性騎手として初めて制したミシェル・ペインの半生記です、10人兄弟姉妹のうち8人が競馬騎手になったという一家、末っ子のミシェルは快活で勝気、家を出て単身騎手の道をまっしぐらに走りますが、新人女性騎手に騎乗のチャンスはなかなか巡ってきません、

すぐ上の兄は自閉症、でも彼は馬の気持ちが良く分かるという特殊な能力を持っており、調教師の元で働くことになります、この兄との2人3脚でミシェルも少しずつ騎手としての実績を積み上げていきますが、強気の騎乗が問題になり、さらにギリギリの競り合いの中、ミシェルは落馬、生死の狭間を彷徨よう事になります・・・

父と娘、兄と妹、10人の兄弟姉妹、競馬映画というより家族の物語の色合いが強いですが、実際のレース動画が上手くはめ込まれているレースシーンは迫力があり楽しめます、最後のレースは手に汗を握りますよ、がんばれ!ミシェル!


(★★★!☆)(2025年ノルウェイ)(原題:The Monuments Men)
WWⅡ末期、ナチスによる一級美術品略奪を防ぐために美術専門家が前線へ赴く

12ミケランジェロ

第2次世界大戦末期のヨーロッパ西部戦線、ナチスはヒトラーの命によりヨーロッパ各国から高価な美術品を略奪していた、もしこれらが失われれば美術的・歴史的価値の損失は計り知れない、事の重大さを大統領に訴えた美術館館長のフランクは、7人の美術専門家による「美術品救出チーム」を編成、戦いの最前線に赴きナチスの美術品略奪と破壊を食い止めるべく奮闘するが・・・



ヒトラーは美術的素養に恵まれていたようですが、美術大学入試に失敗、その反動か?『総統美術館』なる施設を建設、そこに所蔵する一級美術品を各国から略奪・収集していました、さらに戦況が悪化すると次々に貴重な美術品を破壊して撤退、失われた美術品は膨大な量に及んでいます、

この「一級美術品の絶滅危機」ともいうべき事態に対応するために選ばれた7人の美術専門家、ひたすら美術品を救うために危険を顧みず戦場を駆け巡ります、80年前にこういう価値観を持っていた米国、やはり偉大な国だったと感銘を受けます、

製作・監督・脚本を主演のジョージ・クルーニーが担当、民主党支持者としても有名な彼ですが、映画制作でもその良心的な意気込みを存分に発揮しています、評価は決して高くない地味な作品ですが、ワタシは好きです、ぜひ観て下さい、キャストも豪華ですよ、


(★★★!☆)(2022年ウクライナ)(原題:Obmin)
捕虜になった息子を救出するために敵地へ乗り込む父親の物語、ウクライナ制作の映画

12エクスチェンジ

2014年、ロシアによるウクライナ侵攻時、ウクライナでは分離推進派とウクライナ政府の戦いが勃発、コスチャは政府軍志願兵として戦闘に参加していたが捕虜になってしまう、分離推進派の親子はコスチャの父親が外科医と知り、身代金を要求、外科医オレクサンドルは軍の支援を受け身代金受け渡しに臨むが、手違いにより銃撃戦が発生、分離推進派の息子が瀕死の重傷を負う、オレクサンドラは敵兵とはいえ瀕死の若者を見捨てられず、緊急手術を施すのだが・・・



まず、この戦争の背景を簡単に理解する必要があります、直前にロシアがクリミア半島を一方的に併合、さらにウクライナ東部の親ロシア派が多く住む地域の分離独立を図り、これにウクライナ政府が対抗して起こったのがドンバス戦争です、ロシアの後ろ盾があるとはいえ、戦っているのは両軍ともウクライナ国民、いわば内戦状態だった訳です、劇中でもロシア語とウクライナ語が交錯、微妙な当時の関係が表現されています、

で、物語は政府軍と分離推進派の2組の親子の物語として転がっていきます、瀕死の息子を助けるには医薬品が必要になり、2人の父親はお互いの立場を乗り越え、2人の若者を危機から救う事で合意、分離推進派の拠点に忍び込み薬を盗み、コスチャを救い出しますが、、、

敵対する2人の父親が協力するというレトリックが良く出来ていると思いました、評価は高くないですが、この状況でのウクライナ映画、観る価値はあると思います、

今も続くロシアのウクライナ侵攻、クリミア半島併合から数えるともう10年以上、両国の関係は一時鎮静化していたのに、2022年2月のロシアの首都キーウ奇襲作戦が失敗、戦闘は長期化しています、どんな理由・利益があるにせよ、戦争になれば苦しむのは国民、一刻も早い終結を望みます、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)