レッドノーティス

2024年10月28日

先週は5本、「花嫁はどこへ」「サウンド オブ フリーダム」「ジョイランド」「いのちの朝」「レッド ノーティス」

〇(スクリーンで鑑賞)「花嫁はどこへ」
(★★★★!)(2024年インド)(英題:Laapataa Ladies)
取り違えられた2人の花嫁が自らの人生を切り拓く、ハートフルコメディ

10花嫁はどこへ

結婚式を終えて花婿の家に向かう列車には2組の新婚夫婦が乗り合わせていた、居眠りをしていたディーパクは、駅に着き慌てて新妻ジャヤの手を引いて下車、実家に帰り家族の祝福を受け、花嫁のベールを上げると、、、なんと、それは見たこともない花嫁プール、家族から叱責されるディーパクだが、とりあえずプールを実家に泊め、ジャヤを探すことにする、一方ジャヤは一人ぼっちで見知らぬ駅に降り立ち途方に暮れていた、、、



花嫁を取り違えたことから起きるコメディですが、物語はとても良く出来ています、同じ色の民族衣装にベールをしていたことから起こったハプニング、序盤から上手に撒かれた映画的レトリックが見事に決まり、とてもハッピーな気分で上等なエンディングを迎えます、

プールは利発で行動力があり社交的、ディーパクの畑での害虫駆除を手伝ったりしますが、なぜか自らの身元を偽っています、ジャヤは花嫁修業に専念してきた内気な娘、自分で仕事をしたことがないジャヤが見知らぬ土地で独り奮闘、徐々に成長していきます、

インドの結婚に関する風習は知りませんが、家父長制、男社会、女性の社会進出がまだまだ進んでいない様子、それに反発するプール、初めてのアルバイト料を手にして目を輝かせるジャヤ、賄賂まみれの警察署長に追い詰められ、プールは逮捕されてしまいますが・・・でも大丈夫、極上のハッピーエンドが待っています、ぜひスクリーンで楽しんでください、

あ、インド映画ですが124分と長くないし、踊りませんのでご安心を^^)


〇(スクリーンで鑑賞)「サウンド オブ フリーダム」
(★★★★☆)(2023年米国)(原題:Sound of Freedom)
子どもの人身売買組織を追う捜査官が孤軍奮闘、幼い姉弟を組織の手から解放する

10サウンドフリーダム

アメリカ国土安全保障省の捜査官ティム、子どもを性の対象とする組織犯罪を潜入捜査で追っている、米国内の買い手を摘発していくが、子どもを組織の手から救い出せない現実に苦悩を深めている、おとり捜査で1人の少年を救出、その少年から一緒に誘拐された姉も救い出してほしいと懇願されたティム、上司を説得し誘拐組織がある南米コロンビアへ飛び、組織の根絶を目指すが・・・



アクション映画ではありません、児童誘拐・人身売買・性的虐待という目をそむけたくなるテーマをキリスト教的良心で描いた実話ベースの物語です、子どもがいとも簡単に誘拐され、売られ、世界各地の買い手の元に運ばれる、今も年間数百万人の子どもたちが奴隷のような生活をおくっているという現実、この現実に真正面から切り込んだ1作、インディペンデント系映画としては異例の大ヒットとなっていますが、その内容の深刻と宗教的立場から賛否両論巻き起こっているそうで、制作から公開まで5年も掛かったとか、

このとっても重いテーマを、映画というエンターテインメントメディアだからこその手法で描き切っています、悲しい話ですが恣意的な残虐シーンはありません、エンドタイトルで主演俳優からのメッセージがあります、この映画を見る事で1人でも多くの子どもたちを救うための資金が集まる仕組みだそうです、子どもたちの未来のためにぜひ鑑賞してください、


〇(スクリーンで鑑賞)「ジョイランド」
(★★★!☆)(2022年パキスタン)(原題:Joyland)
家父長制と因習の中でもがき苦しみ、それでも奮闘するパキスタン女性たち

10ジョイランド

パキスタンの中流家庭一家、厳格な父親が家族の事一切を取り仕切っている、次男ハイダルの嫁ムムターズはメイクアップの仕事で家計を支え、夫は家事に専念しているが、父親や長男はそれを快く思っていない、父親と兄からの圧力でハイダルは仕事探しを始め、劇場のダンサーの仕事を見つけるが、そこでダンサーのビバと知り合い魅かれていく、やがてムムターズは妊娠し、仕事を辞めて家にいるよう義父に命じられ、家での鬱々とした生活が始まる、



これまた家父長制の中で息も出来ない人生を強いられている、パキスタン女性の生活をスクリーンであぶり出しています、まだまだ女性の権利や自由が蹂躙されているこの世界の現実、ムムターズもまた利発で能力もあるのに、家に縛られている我が身を嘆き悲しむことになります、誰も悪人はいないのですが、家父長制という家族制度の中では皆が息苦しい、

ハッピーエンドでないのが哀しいです、少しでも未来への希望を見出すのが映画の役割だと思うので少し残念な結末です、観後感は良くありませんが観るべき映画、



◆(自宅で鑑賞)「いのちの朝」
(★★★☆☆)(1961年日本)
頑固者の孤高の画家と彼を愛してやまない家族の物語

10いのちの朝

頑固者の画家小次郎、自らの画風を追求し、小品の“じゃがいも”の画ばかりを書き続けている、長女の春子や画家友達の村野からもっと大きな画を描いて売れば良いのにと諭されるが耳を貸さない、春子は次女の冬子をモデルにした大きな画を描くことを思いつき、小次郎に進言、次女の冬子は小次郎のお気に入り、小次郎は重い腰を上げて大作に挑むことを決める、



原作は武者小路実篤の小説「暁」、派手な演出や大きな事件はありません、丁寧な会話劇が淡々と進む感じは小津安二郎作品の空気感を感じさせます、モノクロ画面で観る宇野重吉、芦川いずみ、佐野朝夫、内藤武敏、山岡久乃などの顔ぶれが懐かしいです、冬子の淡い恋物語も今観ると新鮮、たまにはこんな良作日本映画も観てみましょう、


◆(自宅で鑑賞)「レッドノーティス」
(★★★!☆)(2021年米国)(原題:Red Notice)
秘宝泥棒を追うインターポール捜査官が罠にはまって、逃げながら追う!?

10レッドノーティス

インターポール捜査官のジョン、世界に3つあるという“秘宝の卵”を狙うブースを逮捕するが、罠にはまり自らも投獄される、無実を晴らすためにブースと手を組んだジョンは脱獄、二人三脚で3つ目の“秘宝の卵”を追う、秘宝ハンターのビショップもこれに参戦、三つ巴の争奪戦が始まる、



定番の秘宝を巡る冒険アクション、捜査官サスペンスと冒険アクションを足したような作りで結構楽しめます、明らかにインディージョーンズ2を意識したアクションシークエンスを観てニンマリ、ジョンとブース2人の裏切り裏切られの展開もウンウンという感じ、さらにその先にあるドンデン返しも洒落ています、

休日のお気楽鑑賞にピッタリ、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)

2022年03月14日

先週の5本、オススメは「Ribbon」「JUNK HEAD」「博士と彼女のセオリー」、お気楽に「アンチャーテッド」「レッド ノーティス」。

〇(スクリーンで鑑賞)「Ribbon」
(★★★★☆)(2021年日本)
女優のん、企画・主演・脚本・監督作品、期待以上の出来です

03Ribbon

コロナ禍の2020年初春、卒業制作展がコロナ禍で中止になった美大生のいつか、自宅に卒業制作を持ち帰り制作を進めようとするが、一向にやる気が出ず進まない、自宅で鬱々とし近所を散歩するだけのうんざりする毎日、それでも芸術は必要なのか?



女優のんがコロナ禍の世情を正面からしっかり切り取ったね、俳優の企画・主演・脚本・監督ということで、ちょっと危うさを感じながら鑑賞、出だしが抽象的なシーンだったので、不安的中か!?と焦りましたが、、、なんのなんの、しっかりテーマをつかみ取ってエンディングまで持って行きました、中盤までのユル~い会話劇も楽しいし、終盤はちょっとしたサスペンスもあり、そしてラストもちゃんとテーマを昇華、たいした才能です、

コロナ禍での流行語?『不要不急』、芸術は不要不急なのか?生きていく上で芸術は有益ではないのか?様々なジャンルのアーティストが抱えるコロナ禍の自己矛盾と憤懣、それを映画という芸術で答えを出すという、コロナ禍の世情をここまでしっかり捉えた作品は初めてじゃないかな、それだけでこの作品の意味はあります、

Ribbon=リボンは劇中の卒業制作のモチーフ、度々抽象シーンに登場、こういうのは苦手なのですが、、、鑑賞後にリボン⇒リボーン(再生)みたいな洒落なのか?と深読み^^)


◆(自宅で鑑賞)「JUNK HEAD」
(★★★★?)(2017年日本)
一人のクリエイターの情熱が凄い映画になりました、驚異の手作りコマ撮りムービー

03JUNKHEAD

環境破壊で地上に住めなくなった人類は地下に生活空間を開発、地下労働力として“マリガン”を生み出したが、マリガンは独自に進化、人類と争うことになる、それから1600年後、生殖能力を失った人類は地下のマリガンから生殖遺伝子を奪うべく一人の男が地下に送り込まれる、、、



なんとまあ、凄い映画でした、★4つですがそれ以上の怪作です^^)

作ったのは堀貴秀さんというクリエイター、なんと原案、絵コンテ、脚本、編集、撮影、演出、照明、アニメーター、デザイン、人形、セット、衣装、映像効果などほとんどの作業を一人でこなしています、コマ撮りアニメーション、総コマ数は14万コマとか、とても人のなせる業とは思えません、

そして、そのセンスが抜群なのです、セットや衣装、そして多数登場するマリガンや謎のクリーチャー達、独特のテイストですがセンスが光っています、脚本も台詞も洒落ていて面白い、コマ撮りで動くキャラクター達がラストでは生きているように見えてくるから不思議、

ちょっと曲者ですが、99分後にはきっとファンになっています、オススメです、


(★★★★☆)(2014年英国)(原題:The Theory of Everything)
難病ALSを煩った天才スティーブ・ホーキング博士と妻ジェーンの物語

03博士と彼女のセオリー

ケンブリッジ大学で物理学を学ぶ青年スティーブン、難解な証明を簡単に解いてしまう天才、詞を研究するジェーンと知り合い学生生活を謳歌するが、、、突然歩けなくなり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断され、余命2年と宣告される、落胆のスティーブンをジェーンが支え続けるが、、、



発症前のホーキング博士の躍動を見るとなんとも云えない気持ちになります、こんな天才にこんな難病が襲いかかるとは、、、神も厳しい試練を与えます、神を信じないホーキンス博士と信心深い妻ジェーンとの関係は終盤に思わぬ展開となりますが、それでも良き人生、2人の愛情物語と博士の奮闘に拍手、

余命2年と宣告された博士ですが、発症から50年以上研究を続け、2018年3月76歳で死去、ジェーンとの間に3人の子どもをもうけています、

ちなみにアインシュタインの『一般相対性理論』は『General Theory of Relativity』、原題はホーキング博士が目指したもっとシンプルで包括的なセオリー(理論)という意味かな?



〇(スクリーンで鑑賞)「アンチャーテッド」
(★★★☆☆)(2021年韓国)(原題:Uncharted)
伝説の黄金を巡るトレジャーハンターと殺し屋達の冒険談

03アンチャーテッド

ネイトはNYのバーテンダー、手先が器用で盗みも働く、そこへ現れたトレジャーハンターのサリー、行方不明になっているネイトの兄が遺した財宝のありかを示すヒントを探している、さらに女トレジャーハンターのクロエや、富豪、殺し屋が黄金の財宝の争奪戦を繰り広げており、ネイトもそれに巻き込まれていく、



全編、退屈せずに最後まで楽しめますが、、、なんか、既視感がありワクワクドキドキは少ないかも、出だしは若き日のインディ・ジョーンズ?地下迷宮を彷徨い、ラストは「グーニーズ」(古!!)を思い出しました、この映画の原作もゲームなんですね、そういうDNAは感じます、

でも、続編は決まっているようです、新たな人気シリーズになるかな?休日のお気楽鑑賞に、

原題の「Uncharted」は『海図に載っていない』というような意味だそうです、



◆(自宅で鑑賞)「レッド ノーティス」
(★★★☆☆)(2021年米国)(原題:Red Notice)
インターポール、FBIと美術品泥棒の秘宝を巡る虚々実々の駆け引き

03レッドノーティス

FBI捜査官ジョンはインターポールの敏腕捜査官ダスと組み、クレオパトラの秘宝を狙う詐欺師ノーランを逮捕するが、謎の黒幕ビショップの罠にはまりノーラン共々監獄送りとなってしまう、そこで「クレッパトラの3つの卵」にまつわる争奪戦の実情を聞き、自らの無実を証明するためにノーランと手を組みビッショップの裏をかくことにするが、、、



Netflix制作映画、そんな感じアリアリのお気楽クライムアドベンチャームービー、FBI、インターポール、詐欺師、美術品泥棒が入り乱れてのお宝争奪戦、相手の裏をかく駆け引きは2転3転、冒頭から仕掛けられていた映画的レトリックには気付かず、すっかり欺されました、

こちらも休日のお気楽鑑賞に、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)