十一人の賊軍

2024年11月18日

先週は4本、「十一人の賊軍」「ノーヴィス」「猿の惑星 新世紀」「猿の惑星聖戦記」

〇(スクリーンで鑑賞)「十一人の賊軍」
(★★★★☆)(2024年日本)
官軍と旧幕府軍との狭間で生き残りを図る小藩の策略に乗る10人の罪人たち

11十一人の賊軍

1868年、薩長を中心とする官軍が新発田藩に迫る、劣勢の旧幕府軍の奥羽越列藩同盟は新発田藩に出兵を迫るが、大老溝口は態度を決めかねている、と、官軍と旧幕府軍が新発田城下で鉢合わせする危機に、溝口は一計を案じ鷲尾ら4人の武士と罪人10人に国境(くにざかい)の砦に向かわせ、官軍を一両日足止めすることにする、無事任務を終えた暁には無罪放免にする、というのが罪人たちへの褒美であったが・・・



東映が久しぶりに送り出した本格時代劇、アイデアの源泉は黒澤明の「七人の侍」
(東宝作品)のような気がしました、タイトルに人数が入っているのもそういう意図かと思います、ま、東映作品なので表立っては謳ってはいませんが、

藩のために官軍と闘う覚悟の若い侍4人と、藩に恩義も何もない罪人10人、しかし無罪放免を条件にひと暴れしてやるぜ!という事になります、この辺りの心の動きは「七人の侍」、罪人のキャラクターはまずまずかな?それぞれの罪状は全部違います、この個性豊かな面々が漫然と攻めてくる官軍の裏をかいて大いに苦しめ善戦しますが、罪人にも一人また一人と死者が出ていきます、まったく「七人の侍」のサスペンス手法、罪人の剣の達人・本山力は宮口精二さんを彷彿とさせる熱演、

工夫されているのは血気盛んな若侍の内輪揉めと、家老溝口の巡らした策略の裏の裏、溝口は策略遂行に最後まで粘り切ります、が、無実の農民を斬首するシーンはいただけません、とくにインパクトがある訳でもなく、もっと溝口の狡猾さを揶揄的に表現した方が効いたかも、

罪人が10人でタイトルは「十一人の賊軍」、この映画的レトリックは観てのお楽しみですが、そんなに上手には機能するわけでありません、想定の範囲内、155分と長いのも??カットできるシークエンスはありそうに思えます、

アクション時代劇としてはまずまず楽しめます、観て損は無し、


〇(スクリーンで鑑賞)「ノーヴィス」
(★★★!☆)(2024年米国)(原題:The Novice)
狂気にも似た情熱でボート競技に打ち込む大学生の物語

11ノーヴィス

成績優秀なアレックスは常に挑戦し続けることに価値を見出している、大学に入るとボート部に入部、人の何倍も努力してレギュラーの座を勝ち取ろうとする、同じ新入生のジェイミーは新入生の中では唯一心が許せる友人、しかし、先輩の故障により空いたレギュラーの座を巡って、アレックスとジェイミーは激しく競う事になる・・・



大学ボート部ってこんなにストイックで厳しのかしら?と思わせる練習風景、それだけでもかなり違和感があるのですが、さらに輪をかけてアレックスのボートへの情熱と、レギュラーの座への執着は常軌を逸しています、昼夜を問わず練習に没頭し、同級生や先輩から疎まれ、友を失ってもひたすらボートをこぎ続けます、元々“困難なことに挑戦する”ことがアレックスの信条ですが、狂気を帯びていく彼女の心の壊れ方が怖いです、

そして、彼女がついに枠からはみ出してしまい、危険な行動に出てしまった時、、、彼女の心に残るものは・・・ラストシーンをどう理解するのか?ちょっと難解です、

小気味良いカット割りと心象シーン、音楽的演出はある程度成功しています、音響制作者の初監督作品だそうです、なるほど、


(★★★!☆)(2014年米国)(原題:Dawn of the Planet of the Apes)
ウイルスまん延で世界は滅び、わずかな人類とエイプ(猿)だけが残った世界

11新世紀

知能を持ったリーダ・シーザーが率いるエイプ(猿)達は森の奥深くで平和に暮らしていた、そこに突然人間が現れエイプの社会は騒然となる、急進派のエイプ・コバは人間の住む街を偵察、人間が武器を用意しているのを目撃、シーザーに戦いに備えるように進言するが、シーザーはあくまで平和的な交渉にこだわる、コバは人間から銃を奪い、シーザーの息子を篭絡しクーデターを起こしシーザーを銃撃、そのままヒトとの戦いに突入してしまう・・・



新シリーズの2作目、シーザーは高い知能を持ちエイプを統治しています、ヒトに危害を加えられた記憶が残っているコバはシーザーを倒し、ヒトとの戦いを選択、しかしシーザーは九死に一生を得、友好的な人間マルコムに助けられ、傷が癒えるまで潜伏、その間にコバは大きな犠牲を出しながらも、人間との戦いに勝利しますが、復活したシーザーは少数の仲間たちとコバの牙城に攻め込むという展開、

エイプと人間の戦い、人間同士の争い、エイプ同志の争いと、知能を持った人間と猿だけが戦を起こし、殺害を繰り返すという皮肉が物語のベースに流れています、

休日ののんびり鑑賞でOK、でも、アクションやCGの出来具合よりも、人間の愚かさや悲哀を強く感じることになります、猿の方がシンプルで賢明かも、人間ってやつは、、、


(★★★☆☆)(2017年米国)(原題:War for the Planet of the Apes)
シリーズ3作目、エイプの村が戦いがあり、人間に急襲されシーザーは息子を失ってしまう

11聖戦記

人間と全面戦争になり2年、シーザーたちは森の奥深くに潜伏、さらなる新天地を見つけようと旅に出る計画を立てていた、そんな時、人間の特殊部隊の襲撃を受け、“大佐”によってシーザーの息子が殺害される、人間との共存を求めていたシーザーだが復讐の鬼と化し、数人の仲間たちと“大佐”の後を追い、特殊部隊の野営地を発見するが、そこには多数のエイプが捕虜として強制労働を強いられていた・・・



シリーズ3作目は人間とエイプの団体戦、シーザーも捕らわれの身になりますが、仲間の奇策で脱出、いよいよ最終決戦に・・・という段になります、いつまでも愚かな人間、またもや人間同士の争いがあり、そこにエイプの氾濫と逆襲と、アクションが派手になった分、エイプのエイプらしい心の動きは弱くなってしまいました、これもまたシリーズの宿命、

なんとか鑑賞完了、人間とエイプの物語はこれにて終り、なのかな?







syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)