宮松と山下

2024年10月07日

先週は5本、「パリのちいさなオーケストラ」「ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ」「宮松と山下」「渇水」「犯罪都市PUNISHMENT」

(★★★★!)(2022年フランス)(原題:Divertimento)
女性指揮者を目指す少女の奮闘と、目の前に立ちはだかるガラスの天井

09パリの小さな

音楽好きの両親の元、才能にも恵まれたザイアとフエットトゥマの双子の姉妹、地元学校で活動するかたわら、パリ市内のエリート音楽院へ通う事になる、ザイアは指揮者への道を望んでいるが、女性指揮者が少ない時代、彼女の前には多くの壁が立ちはだかる、それでも有名指揮者に見いだされ、一歩一歩指揮者への階段を登るザイアに寄り添う友も出て来るのだが、コンクールで落選し傷心のザイアは立ち直れなくなる、



実在ベースの物語、1990年代、女性指揮者はほとんどいません
(21世紀でもわずか6%)、さらにザイアは移民の娘、格差社会、人種差別、女性蔑視と姉妹を巡る環境はとても厳しいものがあります、エリート音楽院では富裕層の生徒からあからさまな嫌がらせも受けます、今から30年程前のお話なのでさもありなん、しかし、ザイアの音楽への情熱は凄まじく、学校・音楽院・コンテスト・奉仕活動などあらゆることに挑んでいきます、脱帽、

ザイアの指揮するシーンでは自然と身体が動きます、これがとても楽しい、役者の演奏シーンも秀逸、音楽映画のもっとも重要なポイント=リアリティ満載の演奏シーンに魅入り聴き入ります、劇中で指揮者に必要とされる哲学的な人格論も興味深いです、

タイトルからイメージされるようなテンダーな(やわな)映画ではありません、ハードな練習、容赦ない競争社会、惨い現実、これでもかと何度も打ちのめされます、それでも、それでも至福のラストが待っています、とても良い映画です、必見!



(★★★★☆)(2024年日本)
1級の殺し屋として働く女子2人組、偶然遭遇した野良殺し屋と対峙することになる

09ベイビーわるきゅーれ3

簡単な仕事をこなすため宮崎へやって来たちさととまひろの2人組、さっと仕事を切り上げて宮崎観光と焼肉を楽しむつもりだったが、ターゲットを追い詰めると、そこにもう一人の殺し屋冬村が出現、いきなり銃撃戦となる、冬村にターゲットを奪われた2人は殺し屋協会から叱咤され、あらたに地元の先輩殺し屋みなみと七瀬が応援参戦、冬村を追う、冬村は地元殺し屋組合を一気に制圧、残党を率いて反撃、ちさととまひろは再び冬村と相まみえることになる、



殺し屋女子2人組のシリーズ3作目、一流ヒットマンの女子2人組という軽い設定とグダグダの会話、そして、とにかく人が死に過ぎる映画ではありますが、、、

ガンアクションと接近戦格闘アクションが観どころ、女子2人の脱力系会話を楽しみながら、一気にアクションシーンへと没入、この落差がとっても楽しい、主演2人の身体を張ったアクションもますます磨きがかかって楽しめます、現状邦画のアクションシーンとしてはトップクラスの撮影も素晴らしい、

ま、いろいろご意見はあるでしょうが、スクリーンに没入して女子ヒットマンの活躍を楽しみましょう、シリーズ1作目と2作目はサブスクで視聴可能です、順番に観るのも良いかも、



◆(自宅で鑑賞)「宮松と山下」
(★★★!☆)(2022年日本)
記憶喪失の男がエキストラ出演した映画で見つかり、元の生活に戻るのだが、、、

09宮松と

映画のエキストラで食いつなぐ宮松、来る日も来る日も何度も斬られ、何度も撃たれ殺される、そんな生活を京都で送る宮松を訪ねて谷という男が現れる、谷によると宮松の本名は山下で、谷と同じタクシー会社で働いていたと言う、言われるがままに東京に戻り、妹夫婦と対面、全く記憶が戻らない宮松だが、とりあえず3人での生活が始まる・・・



宮松のエキストラ生活が面白い、浪人役で斬られ、仕事終わりに居酒屋でビールを飲んでいるといきなり銃撃される、と、物語なのか?エキストラ出演の映画なのか?観ているほうを混乱させる映画的レトリックは良く出来ています、何回も騙されますので覚悟して観てください、ここが一番の観どころで、騙される快感がこの映画の源泉、

さて物語の核心は、なぜ山下は記憶喪失になってしまったのか?ですが、その答えはザックリと劇中で明かされる事になります、しかし、真実の輪郭が鮮明な訳ではない、ちょっとモヤっとしたまま迎えるエンディング、誤解なのか?惨事なのか?意味深長な作品なまま終わってしまうのが、どうなのか?これで良かったのかもしれません、



◆(自宅で鑑賞)「渇水」
(★★★!☆)(2023年日本)
水不足の酷暑、料金滞納者の水道を止める水道局員が巻き込まれる人間ドラマ

09渇水

水道局に努める岩切は、水道料金滞納者の家の水道を止めるのが仕事、水不足の夏、岩切は各戸を回り料金支払いを懇願、払ってもらえない場合は「停水執行」をする、それぞれの事情がある中で岩切は感情を押し殺して業務を遂行する、母親と2人の幼い娘がいる「停水執行」をした家、母親は金を稼ぐために家を出たきりなかなか帰って来ない、2人の娘は健気に必死に生きようとするが、水が無ければ生きていけない、、、



「停水執行」に至るまでには様々な人間ドラマがあります、料金を払わないから水道を止めても良いのか?水道局員にとってもストレス満載の仕事です、野放図な母親は金を稼ぐために身体を売っていますが、それも行き詰まります、幼い娘2人だけではもう生きていけない様子を観て、岩切は個人的な援助をしようと考えますが、それもまた上の娘の反感を買ってしまいます、岩切自身も家庭での問題を抱えており、徐々に彼の心も壊れていきます、

劇中の台詞、『太陽の光と空気はタダ、なら水もタダで良いじゃない』、なるほど、たしかにそういう気持ちにもなる物語です、

ラストがどうもしっくりきませんでした、たしかに岩切一人の力では解決できない問題ではあるのですが、、、映画的な心象シーンがうまく機能しなかったような感じです、



〇(スクリーンで鑑賞)「犯罪都市 PUNISHMENT」
(★★★☆☆)(2024年韓国)(原題:The Roundup: Punishment)
オンラインカジノ犯罪を摘発するのは、ITにめっぽう弱い鉄拳刑事

09犯罪都市4

フィリンピンで韓国人システムエンジニアが殺害される、違法オンラインカジノに絡んだ事件とみたソウル警察のソクトはIT犯罪課から助っ人を呼んで、デジタル捜査で組織に迫る、黒幕企業の社長が判明、そこから実行犯の用心棒を追い詰めるがすんでのところで逃げられ、ソクトは捜査から外されてしまう、用心棒は黒幕の社長も殺害、逃亡を図るが・・・



お馴染みマ・ドンソク演じる鉄拳刑事シリーズ4作目、今回の敵は闇組織の用心棒、元傭兵のドンチョル、冷静非情で格闘戦でも無類の強さを発揮、フィリピンや韓国内でも警察を圧倒します、立ちはだかるのはもちろん素手だけで悪党をなぎ倒していくマ・ドンソク!というお馴染みの展開ですが、、、剛腕鉄拳も結構見慣れて来たので、そろそろシリーズも幕引きかな?

小悪人が警察に協力、大掛かりな仕掛けでドンチョルを罠に掛けますが、この小悪人が面白い、結構笑わせてくれます、サブスク鑑賞でも良いかもね、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)