自由を愛した男

2024年12月30日

2024年最終週は4本、「型破りな教室」「銭天堂」「ひまわり」「自由を愛した男」

〇(スクリーンで鑑賞)「型破りな教室」
(★★★★!)(2023年メキシコ)(原題:Radical)
荒れる教室に現れた一人の教師、子どもたちの可能性を育むことに挑戦する

12型破りな教室

治安が悪いメキシコ北部、メキシコの小学校6年生のクラスに新任の担任教師ファレスが赴任、いきなり並んでいた机をひっくり返し、椅子も自分のデスクもなくして授業を始める、あっけにとられる生徒たちだが、徐々にファレスが投げ掛ける質問に興味を持つようになり、自主的に答えを模索するようになる、校長はファレスに全国学力テストで良い点を取るよう指示する、ファレスはこれを一蹴、生徒たちの中に特別な能力を持つ生徒を見つけ出し、独自のメソッドで可能性を広げようとするが、ついに教育委員会から目をつけられ停職処分になってしまう、、、



年末最終週に2024年最高の作品に出くわすとは思いませんでした、それもメキシコ映画、メキシコ版『金八先生』的な、でも実話に基づく物語です、

最初は戸惑っていた生徒たちも、徐々にファレスの質問に真剣に向き合うようになります、その過程で圧倒的にIQの高い生徒、哲学的思考が優れている生徒、コミュニケーション能力の高い生徒などがどんどん現れて来ますが、小学校を取り巻く環境は劣悪です、貧困、生徒をむしばむ麻薬組織、多くの弟妹の面倒を見るために学べない生徒など、理想はそう簡単には実現できないのが現実、ついには悲しい事件も起こります、ファレスも挫折、すべてを投げ出してしまいますが、生徒たちは最後に一致団結、素晴らしい結末を迎えることになります、

本編後の字幕で実際の全国学力テストの結果や、その後の生徒たちの行く末が報告されます、なにやら鑑賞者も誇らしい気持ちになれるひとときです、

最後に引用されたアインシュタインの名言が心に響きます、
『私の学習をさまたげた唯一のものは、教育である』
ぜひの鑑賞をオススメします、


〇(スクリーンで鑑賞)「ふしぎ駄菓子 屋銭天堂」
(★★★!☆)(2024年日本)
願いが叶う駄菓子を売る「銭天堂」、しかし使い方を誤ると恐ろしいことが起こります

12銭天堂

新米教師の等々力、生徒たちに寄り添う努力をしている、テストの点が悪く母親から塾を強制された雄太は偶然「銭天堂」を見つけ、そこで買った駄菓子「ヤマカン詰め」でテストの成績が急上昇、不思議に思った等々力も「銭天堂」の噂を耳にする、等々力の恋人陽子はファッション雑誌の編集部に就職、ファッションセンスが良くなる駄菓子を買うが、それは果てしない欲望の始まり、等々力の妹まどかが美大受験に向けて画が上手くなりたいと立ち寄ったのが「たたりめ堂」という謎の駄菓子屋、陽子も「たたりめ堂」で駄菓子を買うと、どす黒い欲望が陽子の身体を支配してしまう・・・



原作は児童小説だそうです、なんでも願いをかなえてくれる駄菓子屋主人と、登場する奇想天外な駄菓子の数々が楽しいです、が、そんな駄菓子も使い方を一歩誤ると、身を亡ぼす強烈なしっぺ返しが飛んでくる、という教育的指導がテーマのようです、

恋人陽子は駄菓子でセンスアップ、周囲を驚かせますが、モノに対する欲望は果てし無くひろがり、ついにはファッション怪物となってしまいます、なるほど、たしかにいるよね、こういう人、という感じです、

天海祐希がぷっくり太った「銭天堂」女主人を貫禄で演じます、対する人の欲望に付け込む悪役「たたりめ堂」の怪人よどみ、てっきり二階堂ふみかと思いきや上白石萌音でした、その怪演ぶりはお見事、

子どもならずとも、この教訓は受け止めておかないと行けません、
甘い言葉と駄菓子にはご用心、


◆(自宅で鑑賞)「ひまわり」
(★★★!☆)(1970年イタリア)(原題:I girasoli)
ロシア戦線で行方不明になった夫を探し出す妻、彼女が見つけた真実は

12ひまわり

ナポリで働くジョヴァンナ、アフリカ戦線へ出征する予定のアントニオと出会い恋におちる、結婚すると12日間の休暇を与えられるので2人は結婚、休暇を楽しむが、離れなくなった2人、アントニオは錯乱状態を装い兵役を逃れようとするが、病院で偽装を見破られ、より過酷なロシア戦線へ送られてしまう、そして、、、戦争が終わってもアントニオの消息はようとして知れなかった、ジョヴァンナは独りロシアへと向かう・・・



ソフィア・ローレンとマルチェロ・マストロヤンニ共演の名作と誉れ高い作品、

明朗快活で勝気なジョヴァンナはアントニオが生きていると信じ、ロシアまでアントニオを探しに出かけます、そこでアントニオを見つけるのですが、、、アントニオは瀕死の傷を負い雪原で死を迎える寸前にロシア娘に救われていました、一時記憶もなくしたアントニオはそのままロシアで暮らし子供までもうけていたのです、絶望するジョヴァンナは帰郷、それを追ってアントニオもナポリへ向かいますが・・・

悲恋の物語という事になりますが、今観ると2人の心の動きがどうもピンと来ないところもあります、ナポリでの再開の件はちょっと??公開当時は世界的にヒットした作品なのですが、半世紀を経て少し見え方が変わってしまったかもしれません、みなさんで確認してください、

一面ひまわりが咲き乱れるシーンが象徴的です、これは現在のウクライナのひまわり畑、今また戦火にさらされているのがホントに悲しい現実です、


◆(自宅で鑑賞)「自由を愛した男」
(★★★☆☆)(2024年フランス)(原題:Libre)
連続強盗犯と恋人と仲間、それを追いつめる刑事、フランス流友情物語

12自由を愛した男

ブルーノは恋人と相棒の3人で次々とスーパーマーケットを襲い、現金を強奪、しかし、決して人を傷つけず、優雅にふるまういで立ちで、現場の被害者たちをも魅了していた、刑事のジョルジュはそんなブルーノ一味を執拗に追及、一度は一味を逮捕、ブルーノは刑務所送りとなるが、見事に脱獄、ふたたび犯行を重ねていくが・・・



ブルーノは実在の人物のようです、人を傷つけない連続強盗で名を馳せ、自由を謳歌する義賊的キャラクターが大衆からの支持も得ていたようです、ま、ルパン3世とか「明日に向かって撃て」のブッチ&サンダンスのような強盗だったようです、

で、フランス映画らしく、ブルーノを追う刑事さえもが友情のような不思議な感覚で結ばれていきます、1970年頃まで流行ったフレンチ フィルムノワールの系譜のような物語になっています、

随所にフランス流情緒カットが挿入されます、これ好きならOK、ダメならダメ、という感じかな、ワタシは・・・微妙なラインで鑑賞しました、興味があれば鑑賞を、




syougai1pon at 05:30|PermalinkComments(0)